・鹿児島県霧島市にある「トヨタ車体研究所」の宮村 憲一社長の講演での情報です。
・「開発現場から見た今後の自動車産業の動向」(その1)についての報告です。
この講演内容は、今年8月に開催された鹿児島自動車関連産業ネットワークの第3回総会での講演記録(1/4回提供分)です。
宮村憲一社長の講演の様子
○今後の自動車の開発トレンドとそのトレンドを支える技術的背景
トヨタ自動車では、9月に軽自動車よりも小さい自動車を発売することとなっているが、自動車は“低燃費・小型化(ダウンサイジング)”へ移行していくと予測される。
自動車の将来を知るためには、“エネルギー”“軽量化”“環境”“車の進化(運転支援・安全支援)”が4つのキーワードとなってくる。
1) エネルギー
○ 電池が今後のキーパーツとなる。
○ トヨタはニッケル水素をリチウムに換えることを発表しており、間違いなく移行する
だろう。
○ トヨタは新原理の電池の開発着手も表明しているが、今後は、電池メーカー、自
動車各社総出での電池開発が加速するだろう。
技術的背景:現在イオン交換の媒体である液体を固体化する動きがある。
○ 酸素と水素の化学反応を利用し、排出物は水だけという燃料電池(フューエルセル)は、今後、世界の自動車の大半を占めるようになるだろう。技術的背景:セパレーターの開発、機密性が高く軽量な水素タンクの開発が進められている
○ トヨタは2020年ビジョンで、全車型へのハイブリッド搭載を標榜している。
技術的背景:100vの電源でハイブリッドを充電しようというプラグインハイプリッドの研究開発が展開中。 ※いずれにしろ、エンジンはいずれモーターに変わり、このモーターも誘導モーターが主となると考えられる。
2) 軽量化
○ 車両1台100㎏の重量減が約10%の燃費改善に繋がると言われている中、
車の小型化・軽量化(=ダウンサイジング)というのは、今後の大きなトレンド。
技術的背景:CAE、三次元のCADにより、設計技術が高度化。従来60㎏~80㎏といった車体の鉄の強度が、100㎏~150㎏が主流となってくるだろう。車体材料として、非鉄金属(アルミ、マグネシウム、カーボン)が活用されてくるだろう。
「トヨタ車体研究所」 会社概要
■ 資本金 3.03億円
■ 代表者取締役社長 宮村憲一
■ 従業員数 260名(男238名・女22名)
■ 売上高 37億53百万円(平成19年度実績)
■ 事業内容 ・自動車ボデー・ボデー部品の設計・試験・評価
・自動車部品・付属品の試作・製造及び販売 等
かごしま企業家交流協会
◇ http:// www.kagoshima-kigyouka.com