・鹿児島県霧島市にある「トヨタ車体研究所」の宮村 憲一社長の講演での情
報です。
・開発現場から見た今後の自動車産業の動向(その2)についての報告です。
この講演内容は、今年8月に開催された鹿児島自動車関連産業ネットワークの第3回総会での講演記録(2/4回提供分)です。
○今後の自動車の開発トレンドとそのトレンドを支える技術的背景
3)環境問題
○地球温暖化が非常に大きな社会問題となっている中、自動車業界においても、カーボンニュートラルの視点から、バイオプラスティック等による植物材料の活用が図られている。
現在、サトウキビ、トウモロコシは食料に直結するために少しトーンダウンしているが、ケナフという材料が、注目を集めている。ケナフは、「非常に細かい繊維」と「(繊維分以外のところから)リグ二ン」が採取可能で、リグニンは、硬化させ、プラスティック材料にしようとする動きが始まっている。
技術的背景:ナノファイバー技術を活用することで、300メガパスカルという強度を目指すプロジェクトが展開中。
4)車の進化(運転支援・安全支援)
トヨタ車体研究所(霧島市)
○自動車事故による死亡者数が1万人から6千人に減少したのにも、技術革新が 貢献していると考えている。
○テクノロジーで室内空間や歩行者を守る試みが継続。技術的背景:1台あたり約5000万のコストがかかる実車での衝突実験をしなくとも、3DCAD、CAEの導入により、予測可能な領域が拡大。
○加害性の低減(歩行者保護)が強化。技術的背景:車にぶつかった際のダメージを吸収できるボンネットを開発。
○居眠り防止をはじめとする予防運転機能が拡充するだろう。技術的背景:3DAD、CAEに加え、電子制御技術、センサー技術により進化中。
これらの4つのキーワードとともに、自動車産業は大きく変化していく。
鹿児島県の産業界においては、これらの変化に対し、産学館で知恵を出し合うことで、新しいアイディア、オリジナリティを創出し、鹿児島で何ができるのか、戦略を立てることが大事であろう。
例えば、材料を征するものが技術を征すると言われているように、鹿児島に優位性のあるケナフ(南国の植物)、杉、竹やシラスといった材料に着目した切り口や、ハイブリッド、燃料電池、電気自動車へと移行していく過程で発生が予測される暖房の熱源(従来エンジンの熱で暖めていた暖房は、モーター化することにより別の熱源を持つ必要が出てくる)に着目すれば、ヒートマネージメント、熱交換技術というのも、一つの切り口となるのではないだろうか。
かごしま企業家交流協会
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