・中国とのビジネスについて
・中国への技術市場調査訪問を終えて、
今回の訪問企業の内3社が、現在中国と取引がある企業でした。
その内1社は、2億円の売り上げの内、現在まで8千万円の代金回収ができていない。いろいろ口実をつけて、支払いを先送りされており、もう中国から撤退を考えているとのお話でした。
今まで関西の製造業で中国進出から撤退した企業の話は数多く聞いていましたが、中国との、あるいは中国でのビジネスの難しさを直に当事者から聞いたのは初めてでした。
例えば、中国では信用で物を売った場合、その買った物が買い手の役に立たなければ,一般的にはまずお金を払わない。
中国には「現金引換えではなく手形などの信用で物を売る」という考え方自体が存在せず、信用で物を買った買い手は単に預かっていると考えている場合が多い。信用で買い手に物を渡した以上はその代金を徴収するのは売り手の責任となる。それだけ中国と日本の商慣習の違いがあり、商売のやり取りが厳しいという現実がまだあるとの記事を読んだことがあります。
では、このような商慣習持った中国と、それを乗り越えてビジネスを行うには、どうすればいいのでしょうか。
・よく中国語のできることや日本語に堪能な通訳のいること、
・商習慣を心得ていること、
・有力な政府や党の人物との人脈のあること、
・あるいは投資するお金のあることだと言われます。
が、これで即、中国でのビジネスにつながるわけではないようです。それらは、あくまでも条件のひとつあり、中国はそんなにたやすい国ではない、基本的には日本人の手には負えない国であり、もっと泥臭い、人間対人間の勝負だとも言われます。
これまでの、日本企業の中国進出の失敗例としてよく言われていることは、
・進出目的が明確でない。(メーカーに誘われた、安い人件費が魅力との理由など)
・中国での適材適所の人材を選任していない。(安易な中国駐在員の選定など)
・中国人を過度に信頼する。(中国人現地責任者等にする。)
・人材育成をしない。(技術流失を恐れるあまり、スタッフの育成に力をいれない。)
・中国の市場をよく観ない。 などが言われています。
また、多くの企業が、中国進出時における懸念事項として、
・販売方法と回収問題 ・単独では経験・ノウハウがない、合弁では、相手先に
不安がある。
・中国を任せる、人材がいない、スタッフの確保と教育の問題
・人材と技術の流出に不安。 ・駐在員費用とコストメリット。
・協力工場とその技術レベル。中国国内部品の品質と安定供給
・工場の選定・インフラの問題。
・許認可・手続きの方法・法律の問題。コネがない。
・法律・制度の変更について。 ・将来の人民元の切上げによるコストアップ。
・進出の資金調達と投資の回収方法
・反日感情 ・情報の信頼性(政府発表) ・電力エネルギー問題など
を挙げています。
今回の訪問で、中国ビジネスにおいて、もっと大切なことは、何かという疑問に
対し、
・中国に、自分の頭脳となり味方となってくれる日本人協力者がいるかどうか。
・さらに、相手の裏を読み、中国・中国人を理解する助けとなってくれる中国人協力
者がいるかどうかだ、 とい話を今回お聞ききしました。
最後はやはり人なのです。
中国は「世界の工場」と言われ、日本の世界一の輸出国でもあります。
人口世界一の13億の国で、今発展途上のまっただ中にあり、商ビジネスのルールや仕組みもまだまだ未整備の面も多いとの印象は受けましたが、今回訪問した政府機関等の方々が、世界各国との国際的な取引の拡大策に重点を置いた施策を推進していることを考えると、欧米や日本からの企業進出、ビジネスはまだまだこれからも続くものと思われます。それに伴い先進国との技術・制度等について整合性のとれる国際基準に基づいた制度も時間はかかるが更に整備されていくだろうとの期待も感じました。
まだまだ隣国日本にとって、関係を切ることのできない、そして目の離せない国だと
思います。
今回をもって、中国技術市場調査訪問団の訪問記を一応終わります。
ぜひ、今回の訪問記についてのご指摘・ご質問等がございましたら、ぜひコメントを
お寄せください。お待ちしております。
かごしま企業家交流協会
◇ http:// www.kagoshima-kigyouka.com