対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「周期律の形成について」への案内

2005-11-10 | 周期律
 メンデレーエフの周期表は、ニュートン力学の形成過程におけるケプラーの惑星の法則と同じように、実体論的段階にある。これが最初の考えでした。「弁証法試論」の補論7として、「周期律の形成について」をアップしました(11/09)。 これはその案内です。

 武谷三段階論を方法にして、周期律の形成過程をまとめたものです。ベルセーリウス、メンデレーエフ、ボーア。これが、ニュートン力学の形成過程の、ティコ、ケプラー、ニュートンに対応する科学者です。メンデレーエフの周期表は、ケプラーの法則に対応します。同じように、ボーアの原子論は、ニュートンの運動方程式に対応します。ボーア原子論は周期律の外部で誕生したのではなく内部で誕生したこと、周期律の形成過程はボーアの原子論によって、実体論的段階から本質論的段階へと高まったことを主張しています。

 自然を認識していく論理的順序をとして武谷三段階論を見直したとき、武谷に固有の三段階論は、「実体論的段階」にあり、「本質論的段階」に高まっていないのではないかと思われました。これが、周期律の形成過程を把握しようと試みているときに、出てきた疑問でした。

 周期律の形成過程とニュートン力学の形成過程は、どちらも、同じように現象論的段階・実体論的段階・本質論的段階として把握できると考えます。しかし、そのためには、武谷の「実体」の考え方は修正されなければならないと思いました。メンデレーエフの周期表を実体論的段階と見るとき、その「実体」は、中間子のような「粒子」を意味しないし、ケプラーの太陽系のような「構造」を意味しないからです。

 わたしは、「実体」を「本質と偶有性」と捉えればよいのではないかと考えました。この考えは、メンデレーエフの「原子量」にも、ケプラーの「太陽系」にも通じていると思います。

 このように武谷の「実体」の考え方を克服して、わたしは周期律の形成過程の論理と歴史を捉えようとしました。「本質論的段階」にある武谷三段階論と対応しているのではないかと考えています。

 「周期律の形成について」弁証法試論補論7