ケプラーは、火星の位置Mを見いだす直前に、火星の位置として点Zを想定している。これまでふれてこなかったが、取り上げるとしよう。
まず、山本義隆を確認しておこう。(『世界の見方の転換』3)
(引用はじめ)
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したがって、残された問題は、火星までの距離がこのように(直径距離として、引用者注)与えられたときの火星の正しい方向、つまり真アノーマリーαを見いだすことにあった。ケプラーは、第58章で、その目的を「距離を観測結果に一致させるだけではなく、角度をも同様に正しく与えるような物理的仮説を見いだすこと」としている。物理的な考察からすると、磁力による変動は当然直径にそってであろうと考えられたので、はじめにケプラーは、図12.11で太陽Aから距離r=a(1+ecosβ)にある惑星の位置を半径BK上の点Zと想定した。しかし、その場合には真アノーマリーに無視しえない5.5分の食い違いが生じた。そこで、そのすぐ近くの点である、Kから長軸線HIにおろした垂線KL上で太陽Aからの距離がr=a(1+ecosβ)となる点を火星の位置Mととれば、正しい角度を与えることを見いだした。
(引用おわり)
点Zを捨て点Mを選んだ理由について見ていきたいと思う。
まず、山本義隆を確認しておこう。(『世界の見方の転換』3)
(引用はじめ)
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したがって、残された問題は、火星までの距離がこのように(直径距離として、引用者注)与えられたときの火星の正しい方向、つまり真アノーマリーαを見いだすことにあった。ケプラーは、第58章で、その目的を「距離を観測結果に一致させるだけではなく、角度をも同様に正しく与えるような物理的仮説を見いだすこと」としている。物理的な考察からすると、磁力による変動は当然直径にそってであろうと考えられたので、はじめにケプラーは、図12.11で太陽Aから距離r=a(1+ecosβ)にある惑星の位置を半径BK上の点Zと想定した。しかし、その場合には真アノーマリーに無視しえない5.5分の食い違いが生じた。そこで、そのすぐ近くの点である、Kから長軸線HIにおろした垂線KL上で太陽Aからの距離がr=a(1+ecosβ)となる点を火星の位置Mととれば、正しい角度を与えることを見いだした。
(引用おわり)
点Zを捨て点Mを選んだ理由について見ていきたいと思う。