認識には大きく分けて、認識外の何らかのものと関係をもっている要素と、このような認識同士を結び付け統一する働きをもつ別の要素がある。
前者を対象に対する指示を表出すると考えて、指示表出と呼ぶことにする。後者は人間主体の対象に対する関係を表出すると考えて自己表出と呼ぶ。簡潔にいえば、指示表出は指示の表出、自己表出は関係の表出である。
例えば、周期律の法則を考える場合、具体的な原子の構造や性質の周期性が指示表出にあたり、個々の元素の構造や性質を関連させ、法則として統一させるもの(周期表やパウリの排他原理)が自己表出にあたる。
武谷三段階論でいえば、現象論や実体論のうち構造に関する知識が指示表出である。一方、実体論のなかの法則性に関連する知識や本質論は自己表出である。
武谷三段階論と表出論がつながった。