『世界の見方の転換』においては、端緒と一般化は整合していない(理由5)。これのつづき。
第56章でケプラーは「目覚め」を一般化するとき、第40章の図を提示している。この図には楕円軌道が描かれていない。それは、楕円軌道上のF(端緒)やM(一般化)から始まる山本義隆の説明の反証を暗示しているといえるだろう。ケプラーの推論は、円周距離(正割)→直径距離(半径)→観測結果の順で進行し、円周距離(正割)は不可欠である。2つの線分を消してはケプラーの推論をたどれないのである。
山本義隆は2つの線分を消しているために、狭窄されたものになる。「円周距離(正割)→」が切り捨てられるだけではない。説明が「観測結果→直径距離(半径)」と逆行するのである。
山本義隆の説明の端緒と一般化の関係は整合していない。一般化で「直線AKの射影の長さ」(こちらは正しい)というならば、端緒では「直線EAの射影の長さ」というべきだったのである。
山本義隆は一般化のとき、点Mの離心アノーマリーを∠HBK=βだとして、β=∠HBMではないと注意している。この注意を端緒に適用するならば、点Fの離心アノーマリーは∠HBE=βであり、β=∠HBFではないと注意すべきだったろう。
山本の描く「目覚め」は次のようだった。
FA=FBsec(5°18′)=(1-0.00429) (1+0.00429)a≒a=EB
数値計算で、観測結果=半径が導かれている。しかし、最初の部分を正割から余弦に直してみると、
FAcos(5°18′)=FB
となる。一般化K点での余弦とずれている(Fは楕円上にある。Kは離心円上にある)。FBは直径距離(半径)ではないだろう。
つづく