対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

ラミーカミキリによる被害

2024-05-31 | 庭の草木
今日は雨が降ったり止んだり。モミジアオイを見に行くと、何本かあるうち、一本は枯れている。少し前にラミーカミキリがいた茎である。

今日も近くに何匹かラミーカミキリがいた。目を楽しませてくれるが、喜んでばかりいられない。何もしないつもりだが、モミジアオイの花は咲くだろうか。

アブダクションは第三次性か

2024-05-29 | アブダクション
米盛祐二『パースの記号学』(勁草書房)は五年ほど前に挫折したが、こんど改めて読み直してみると、だいぶわかるようになってきた。読み直すきっかけは『言語の本質』でパースの記号論が取り上げられていて、「アイコン(イコン)」と「アブダクション」が焦点になっていたことだった。

振り返ってみると、以前わからなかったのは、現象学のカテゴリー1次性・2次性・3次性の理解が不十分だったことだと思う。

パースのアイコン(類似記号)は記号の表(3×3=9)の真ん中の列(第2次性、対象との関係における記号)の一番上(第1次性)に位置づく。そして、その列には指標記号(インデックス)、象徴記号(シンボル)が続く。

その右側の列(第3次性、解釈内容との関係における記号)には上から、「名辞」、「命題」、「論証」が並ぶ。3次性と3次性が交差する欄(右下)に「論証」が位置しているが、「アブダクション」はこの表には載っていない。

「論証」のなかに、演繹・帰納・アブダクションが位置づく。「演繹・帰納・アブダクション」と「1次性・2次性・3次性」の関係が問題になるが、定説はないようである(はっきりしていない)。パースは、1アブダクション・2演繹・3帰納と考えたが、米盛祐二は異論を提起し、1演繹・2帰納・3アブダクションと想定している。いいかえればアブダクションをパースは論証(推論)の第1次性と想定しているが、米盛は第3次性と想定している。中山正和も第3次性と想定していた。

こちらはパースの考えでいいのではないかと思っているが、もう少し検討が必要である。

20年後の『演繹・帰納 仮説設定』

2024-05-28 | ノート
中山正和の『演繹・帰納 仮説設定』(1979年)を最初に読んだのは2000年頃である。地元の図書館が年に一回、在庫の本を無料で放出するイベントがあり、そのとき手にしたのである。なかなか読み進められなかった。難しかった。今思うと基礎がなかったと思う。パースの現象学のカテゴリーの表、記号の表(3×3=9)、3つの推論の位置づけの表があったが、ほとんど対処できなかった。またアタマの働きとして脳のモデルが提示してあったが、まったく関心がなかった。

20年経って、ようやくわかるようになった。

中山は推論(演繹・帰納)と発見(仮説設定)を分離して捉えていた。
推論(演繹・帰納)
〔W・R〕⇆〔W・S〕+〔I・S〕
発見(仮説設定)
〔S→O〕→〔I・S〕


これをこんど次のようにまとめた。
推論(演繹・帰納・仮説設定)
〔W・R〕⇆〔W・S〕+〔I・S〕←〔S→O〕


中山はパースがキリスト教の刷り込みによって、アブダクションを論理(コトバ)として捉えていると考えた。中山は、アブダクションは「論理」ではなく「発見」であり、発見(仮説設定)〔S→O〕→〔I・S〕をコトバによらない「仏の知恵」(いのちの知恵)として現れるという見解を示した。しかし、パースのアブダクションをあらためて検討すると、パースは「正しく推測する本能的能力」をアブダクションの基礎に見ていた。これは、「仏の知恵」(いのちの知恵)といってもいいものだと思う。

弁証法はJに隠れている

2024-05-27 | 弁証法
このブログの副題は「弁証法のゆくえ」になっている。これはもともとブログを立ち上げたとき、弁証法の理論を追究して行くことが、念頭にあったからである。ここ数年、弁証法の記事はほとんどなくなっている。いまの関心はアインシュタインの思考モデルとパースの探求の三段階論である。
   
   アインシュタインの思考モデルと複素平面 
弁証法を提起した枠組み「悟性―理性……理性―悟性」はEJAアブダクション(仮説)、ASディダクション(演繹)、SEA(帰納)インダクションに姿を変えている。弁証法(ひらがな弁証法)はどこにあるかといえばJの中に隠れている。

アジサイは貧弱になってしまった

2024-05-23 | 庭の草木
一昨年あたりからアジサイ(紫陽花)は貧弱になってしまった。寿命と思いたいが、剪定を間違えたのかもしれない。以前、アジサイは数本あり、広く花を咲かせていたが、今年は4つ花が確認できるだけである。

調べてみると、アジサイは1本だけ残っている。1本の茎に4つの花が咲きはじめている。回復するだろうか。

紅葉葵の葉にラミーカミキリがいた

2024-05-22 | 庭の小動物
モミジアオイ(紅葉葵)の茎が伸びてきている。近づくと、葉にラミーカミキリがいた。最初、葉の裏側にいたが、カメラを向けると、ありがたいことに、葉の表側に出て来た。

見ていると、他の葉にもいた。これよりも小さいもので、まだ幼い感じがした。近づくと、飛んで行ってしまった。まだ他にもいた。飛んで行ったカミキリよりも、成長した感じである。上のカミキリとの中間くらいだろうか。

模様には個体差があるという。パンダの顔のような胸部、タキシードを着ているような腹部、全体はキョンシーである。



ラジオ体操第1第2+第3

2024-05-21 | 日記
右肩の調子が悪い。右側の体側を伸ばそうと思うと痛みがある。散歩のとき、肩を回してみたりしたが、改善は見られない。この原因は、しばらくラジオ体操やらなかったからではないかと思い始めて、再開することにした。これまではラジオの放送時間(6時半とか、12時とか、15時)に合わせてやってきたが、ブランクがあったせいか、時間を忘れたりして、毎日やっているとは言えない状態であった。

最近、ラジオを軸にする必要はなく、YouTubeの映像でやればよいことに気づいた。随時、都合がいいのとき、庭に出てやるようにした。YouTubeのラジオ体操の映像はいくつもある。いままではラジオ体操は第1と第2だけと思っていたが、第3もあることを知った。まだおぼわっていないが、3つともやるようにしている。

中山正和のHBCモデルの修正

2024-05-20 | ノート
中山正和の脳モデルは自然のシステムの中に脳の機能を位置づけている。これはパースの考えとも相性がよかった。中山の「仏の智慧」は、推論(アブダクション)を自然本能によってとらえるパースの理解と等置できた。

中山正和の脳モデル(1979年)では、言葉検索〔W・R〕(前頭連合野)に推論の機能がある。コトバ記憶〔W・S〕(左脳)は倉庫のようなもので、言葉検索〔W・R〕から検索される受動的な装置のように想定されている(ようにみえる)。
  
  中山正和のHBCモデル
しかし、左脳には、どうやらそこには倉庫だけでなく作業所ものあるようである。
酒井邦嘉は次のような「脳の言語地図」を提起している(『チョムスキーと言語脳科学』2019年)。酒井は、言語機能は生得的だとする立場の研究者である。
  
  脳の言語地図 語彙・音韻・文法・読解の中枢

ここで「語彙」には、中山と関連付ければ、パロールとメタ・ラングが含まれている(比喩でいえばコトバ記憶〔W・S〕は複素数だった)。メタ・ラングは、直接、感覚ではとらえられないコトバで、中山は「時間」「心」「論理」などを挙げていた。これらは「花」や「鳥」などと同じように「名詞」と分類される言葉だが、メタ・ラングにはこれらとは違った種類のコトバも出現してきた。パロールやメタ・ラングの一部のコトバを結びつける働きをする接着剤のようなコトバである。(沢田充茂『現代論理学入門』参照)

語彙は大きく2つのグループに分かれる。
第1のグループは、「名詞」・「動詞」・「形容詞」などであり、第2のグループは「助詞」・「助動詞」・「接続詞」などである。このグループ分けは、時枝文法でいえば、「辞」と「詞」に対応する。第2のグループは、第1のグルーブと違って、外部の対象と関係するのではなく、内部のコトバを処理するためのコトバである。
第2のグループ(接着剤)の語彙には、第1グループの語彙を関連付けるために、それぞれ固有の結合の規則が備わるようになる。規則通りに正しく使用しなければ意味のある「文」(表現)をつくることはできなくなる。「文法」をつかさどる神経回路の形成である。

「〈彼〉が〈信念〉と〈勇気〉を〈もっている〉ならば、〈彼〉は〈その仕事〉を〈なしとげる〉だろう」
は意味をなす。しかし、
「〈彼〉と〈信念〉を〈もっている〉が〈勇気〉ならば、〈その仕事〉は〈なしとげる〉を〈彼〉だろう」(非文)
は意味をなさない。

酒井は、「文法」と「読解」は「前方言語野」、「語彙」と「音韻」は「後方言語野」にあると言っている。そして、語彙の意味→音韻→文法的な構造→読解という情報の流れを想定している。

中山正和の脳モデルを修正して、「検索機能」の一部を左脳に想定しておこう。左脳にはすでに文を作る検索機能がある。
では「推論」はどうなのだろうか。
パースの「記号」の分類(3×3=9の分類)と照らし合わせてみる。第3次性(その解釈内容との関係における記号)は、名辞(1)、命題(2)、論証(=推論)(3)である。ここで、「文法」と対応するのは、名辞(第1次性)と命題(第2次性)だろう。ここまでは左脳に想定してよいのだろう。論証(=推論)(第3次性)は中山正和のモデル通り、言葉検索〔W・R〕として前頭連合野に想定しておくことにしよう。