手元にある『出版ニュース』(2011年12月下旬号)が今年の出版界・読書界の10大ニュースを特集している。
その1つに「震災関連本相次ぐ、脱原発本も」とある。3.11以降、大震災、津波、原発事故などをテーマにした本は約700点刊行され、そのうち原発関係が約200点に及んだそうだ。それは実にさまざまな形態で発行された。
原発事故に関しては事故直後は、出版社の在庫本や復刻本、増補版などで当座の書店店頭は賑わっていたが、そのうちに続々と新刊本が各社から投入されるようになり、店頭では専門コーナーが作られた。
そんな大きな流れの中、小社ではまず震災関係の既刊本を打ち出し、あれこれの試みを経ながら2点の原発関係の新刊本を出すことができた。読んでいただいた人たちにはそれなりの何かを提示することが出来たのではと思っているが、はたしてこれが史上最大の未曾有の事態に向き合った企画と言えるかどうかは正直心許ない気がしていて、来年も引き続くテーマとして追求していきたいと思う。
関連して4月に日本出版取次協会がまとめた被災書店状況を記すと、被災書店数は787店。損害額約50億円。うち全壊・半壊は104店、浸水・水漏れ53店、商品汚損630店だった。ちなみに先月には取次から被災書店からの返品受け入れ要請があったので、もちろん了解の返事をしておいた。