「つちやたび」は1873年(明治6)創業の足袋(たび)の老舗で、現在の月星化成株式会社の前身にあたる。
1931年(昭和6)に「つちやたび株式会社」となり、1939年(昭和14)年に月星化成株式会社(本社・久留米市)に名称変更した。
このポスターは、昭和6年~7年頃のものとされる。「ムーンスター(月星)」という靴の宣伝ポスターだが、兵隊服に進軍ラッパ、日の丸の旗を子どもに持たせる絵柄は、当時の世相をよく反映している。
久留米市は筑紫平野にある城下町で、商工業の中心として栄えた。1907年(明治40)に第18師団設置後は、軍都としても発達。1922年(大正11)にはじめられた地下足袋生産はゴム靴、ズック靴、タイヤなど製造工業に発展し、月星化成、ブリジストンなどの創業により、日本一のゴム工業都市となった。
月星化成では、大正末期頃に建てられた皇室接待用の建物(約20坪)を現在、歴史資料館として保存活用しており、当時の地下足袋や靴、宣伝ポスターなど数百点を入れ替え展示している。希望すれば館内を案内してくれる。(大きさA1大、『平和を築くとき』解説ブックより)