我輩はまっ黒猫である~どこかで聞いたような?まあいいだろうこのブログを書いている気まぐれ爺じさんとの半年間に渡る智恵比らべについて記述してみよう
一昨年の夏の暑い盛りに雑草が生い茂り避暑に持って来いの草むむらで昼寝をしている時である
突然今迄聞いたことの無いあまりさえない声が頭元でしたかと思うと目の前がパッと開け明かりが差してきたビックリして起き上がるとなんと、大きな鎌を振り回している年の頃60歳になったかな(後にわかったのだが70歳だった)と思われる背が低いわりに腹が出っ張ったおじさんが(後に爺さんに格下げした)目に飛び込んできた、ワーヤバイ俺様は咄嗟に生まれつきの俊敏さで一目散に道路へ飛び出した、 この日を境に毎日のように朝からと昼からとバイクで出勤?し雑草取りと土の掘起しを始めだした、どうやら畑にするらしい、
この地には10数年俺様が縄張り争いで勝利してやっと手に(肉球のこと)入れた安住の場所だったのに、、、それでも夜は静かできれいなお月さんも見られ、囲い等も無く適度な木陰もあり、もようしたらすき放題トイレも済ますことが出来、俺様のパラダイスだった。
だが日が経つにつれ雑草はほとんど無くなり光景は一変しどうなる事かと心配になってきた、数日が過ぎ案の定恐ろしい光景を目にする事になった、土地の周囲におじさんが目の細かいネット(猫でも横文字は知っているのだ)を張り始めたではないか、高さ1mくらいだが周囲全てに張りめぐらして帰っていった、
でも家が建っていた頃の出入り口は低くすぐに入ることが出来少し安心した、この安心は大間違いだった、 翌日はこの土地の半分を畑にしていた80歳前くらいのおじさんと二人で唯一の入口に木製の扉を取り付け始めたのだ、エーッ もうダメだ、せっかく住み慣れたこのパラダイスを離れなければならなくなるとは、、ガックリしている俺様の耳に聞こえてきたのは、これで猫はもう入れないだろう、〇〇こもされずに済むだろう、しばらくして帰っていった。
ガックリしているわけにはいかない、額の狭い猫智恵をしぼって今夜のトイレと寝床の確保は何としても欠かせない、ふわふわとした土の感触が猫頭と肉球に蘇って来た、囲いの周りを歩いているうちに奥の方の石垣に面した処にネットと同じくらいの高さの土を盛った所があり上って見たら目前に障害物も無くピーンと簡単に飛び越える事が出来無事に我が楽園に入る事が出来た、ヤッターヤッター、ヤッターマンだ(マンではなく猫が正解)、よーし今夜はたっぷりとお土産を仕込もうと考える猫であった。
あれ、次の日も次の日もおじさんは来なかった、安心して来ないのか、病気にでもなったのかチョッと心配になった、猫心にも情けあり、エへへへへすぐ忘れてしまったニャー、数日間はパラダイスであった、ご存知かな楽園だったと言う事だよ。
久しぶりにバイクの音がしておじさんがやってきた、元気そうだった、心なしか少し腹が小さくなった様だ、畑作りの効果が出て来たのかな、同情は禁物とんでもない物をおじさんは持ってきたのだ、エーッ、俗に猫除けといってイボイボが長く板の上に付いているのを良く見かけるが(猫には余り効果は無いよ)このイボイボ状の物がなんと細い釘なのだ、間隔も肉球の太さを計算したような精巧な代物で痛さ百倍これを取り付けられたら大変だ、、、、しかしおじさんは場違いの塀の上に取り付けて満足そうにこれで良し、今度こそ猫は入れないぞと言って帰っていった。
俺様が侵入している場所もわからず頭の弱い人間様だと安心し、おじさんから爺じに格下げする事にした、今夜もふわふわの土にお土産をドカーンと仕込もう。
翌日爺じが来た、又猫が〇〇こをしているぞ何処から入ったんだろうと畑の中をうろうろし始めた、しかしなすすべもなくバイクで帰ろうとしたが急に戻って来た、俺様は爺じは帰ったものとばかり思い侵入しようとしている所を見られてしまった、アッ戻ろうとしたが時既に遅し、態勢はジャンプしてしまっていた。
翌日爺じは今までのネットの上に1m以上のネットを取り付けブロック塀の穴も塞ぎ今迄の無念を晴らすかのように徹底的に検証して帰っていった、我輩はついに爺じの智恵に負け引越しを余儀なくする羽目になり猫智恵以上の智恵は無かったことを思い知らされる事になった、今頃爺じは自己満足して枕を高くして寝ているだろう。
爺じの詩
猫の楽園爺じの声、諸行無常の響きあり、自己満足の茄子の花
おごれる猫必衰の理を諭す、おごれる猫久しからず、ただ冬の世の厳しさのごとし
たけき猫も遂に滅び 爺じ畑の偏に風に吹かれた塵に同じ 終り。