『少女系きのこ図鑑』ッ !!
「図鑑がもっと私的で個性的だったっていいじゃん」と、つねづね主張していた私だが、時代はいきなり自分の頭を飛びこえ、それどころか、さらに数千歩の彼方へと走り去って、今なお全力疾走中らしい。しかも作者は平成生まれの女性ときた。いやはや、きのこ女子パワーおそるべし。
「キノコを少女の姿に擬人化して、図鑑をつくっちゃおう!」
ひと昔前だったら、確実に妄想の部類に入っていた話が現実化してしまう。それが現代という時代なのか。まあ恐れ入ったわ。ていうか、えー、図鑑ってそもそもなんだったっけ?
『少女系きのこ図鑑』 玉木えみ 著
監修のきのこ評論家・飯沢耕太郎氏いわく「少女の、少女による、少女のためのきのこイラスト集」。
おなじみの食用キノコや毒キノコ、さらに冬虫夏草や粘菌、カビまでも含む107種類のキノコを、そのキノコをイメージして描いた少女を介して紹介してゆく。イラストのタッチはゆるりとして地味な水彩ベースながら、レトロ風味で漫画チック(死語)かつ乙女チック(これも死語)。
少女たちは、擬したキノコとともに描かれているので、どのようにイメージをデザインに落としこんでいったのか、見比べながら楽しむことができる。キノコはもちろんデフォルメされているけど、表紙を見てわかるとおり、きちんと写実ベースで特徴がおさえられてて、決してなおざりにはしていない。著者の並々ならぬキノコ愛がうかがえる。
少女の多くは、スカートや帽子などの服飾や髪などで、擬しているキノコの色彩や風合いを直接表現している。ただ、その中にも、ムジナタケ少女にタヌキのしっぽをつけたり、ヤマブシタケ少女は山伏衣装で身を包んでいたりと、やわらかい想像力やウィットを感じさせるものがある。
女性らしいパステル調の色彩を、透明感のある水彩で描くことで、キノコの「ぼんやりとした暗いところにあって、ちょっとブキミで、でもかわいくて」みたいな雰囲気が表わせているようだ。
ちなみに各キノコは一応分類順にならんでるし、説明書きもちょろっとあるけど、まさかこの図鑑に実用性を期待する人はいないでしょ?
パラパラと全体を通して眺めてみると、各ページが統一された色彩(ハナオチバタケはピンク、ソライロタケは青、みたいな)で表現されているので、とてもリズミカルで心地よい。うん、いい出来じゃねーの?
キノコ本豊作の2012年を締めくくるような、そんな快著であった。
タマゴタケ少女
テキスト。イラストの邪魔にならないように最小限ってかんじだけど、ときどき文学作品に登場する一節が載ってたりする。
マイナー系のセレクションがかなり渋い。「ナシ赤星病菌」「ヌルデうどんこ病菌」まであるのには感動した。
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ちなみにキノコ擬人化といえば、コチラ方面もございやすぜ、旦那。
『oso的キノコ擬人化図鑑』
三重のキノコ同胞、oso氏の作品。キャラ設定こまかい!『少女系』とネタがかぶってたりするのもあって、そーいう点でもおもしろい。
実は擬人化っていうのはネット上のサブカルチャー方面の方たちにとって、ひとつの分野として成立しているらしく、ありとあらゆるものが擬人化されている(擬人化まとめ)。
どっちかって言ったらあきれる人の方が多いだろうけど、日本のサブカル文化すげー、と私は素直に思う。
「図鑑がもっと私的で個性的だったっていいじゃん」と、つねづね主張していた私だが、時代はいきなり自分の頭を飛びこえ、それどころか、さらに数千歩の彼方へと走り去って、今なお全力疾走中らしい。しかも作者は平成生まれの女性ときた。いやはや、きのこ女子パワーおそるべし。
「キノコを少女の姿に擬人化して、図鑑をつくっちゃおう!」
ひと昔前だったら、確実に妄想の部類に入っていた話が現実化してしまう。それが現代という時代なのか。まあ恐れ入ったわ。ていうか、えー、図鑑ってそもそもなんだったっけ?
『少女系きのこ図鑑』 玉木えみ 著
監修のきのこ評論家・飯沢耕太郎氏いわく「少女の、少女による、少女のためのきのこイラスト集」。
おなじみの食用キノコや毒キノコ、さらに冬虫夏草や粘菌、カビまでも含む107種類のキノコを、そのキノコをイメージして描いた少女を介して紹介してゆく。イラストのタッチはゆるりとして地味な水彩ベースながら、レトロ風味で漫画チック(死語)かつ乙女チック(これも死語)。
少女たちは、擬したキノコとともに描かれているので、どのようにイメージをデザインに落としこんでいったのか、見比べながら楽しむことができる。キノコはもちろんデフォルメされているけど、表紙を見てわかるとおり、きちんと写実ベースで特徴がおさえられてて、決してなおざりにはしていない。著者の並々ならぬキノコ愛がうかがえる。
少女の多くは、スカートや帽子などの服飾や髪などで、擬しているキノコの色彩や風合いを直接表現している。ただ、その中にも、ムジナタケ少女にタヌキのしっぽをつけたり、ヤマブシタケ少女は山伏衣装で身を包んでいたりと、やわらかい想像力やウィットを感じさせるものがある。
女性らしいパステル調の色彩を、透明感のある水彩で描くことで、キノコの「ぼんやりとした暗いところにあって、ちょっとブキミで、でもかわいくて」みたいな雰囲気が表わせているようだ。
ちなみに各キノコは一応分類順にならんでるし、説明書きもちょろっとあるけど、まさかこの図鑑に実用性を期待する人はいないでしょ?
パラパラと全体を通して眺めてみると、各ページが統一された色彩(ハナオチバタケはピンク、ソライロタケは青、みたいな)で表現されているので、とてもリズミカルで心地よい。うん、いい出来じゃねーの?
キノコ本豊作の2012年を締めくくるような、そんな快著であった。
タマゴタケ少女
テキスト。イラストの邪魔にならないように最小限ってかんじだけど、ときどき文学作品に登場する一節が載ってたりする。
マイナー系のセレクションがかなり渋い。「ナシ赤星病菌」「ヌルデうどんこ病菌」まであるのには感動した。
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ちなみにキノコ擬人化といえば、コチラ方面もございやすぜ、旦那。
『oso的キノコ擬人化図鑑』
三重のキノコ同胞、oso氏の作品。キャラ設定こまかい!『少女系』とネタがかぶってたりするのもあって、そーいう点でもおもしろい。
実は擬人化っていうのはネット上のサブカルチャー方面の方たちにとって、ひとつの分野として成立しているらしく、ありとあらゆるものが擬人化されている(擬人化まとめ)。
どっちかって言ったらあきれる人の方が多いだろうけど、日本のサブカル文化すげー、と私は素直に思う。