ジョン:やあ、みなさん。リビングに居ながらお買い物が楽しめる「KIN・ショッピングTV」へようこそ!今日紹介するのはコレ!『世界きのこ大図鑑』だ!
マイク:ワオゥ!なんだいこのデカさ!自由の女神が小脇にかかえてそうだよ!
J:ビックリしたかい?縦が28センチ、横19センチ、厚みも5センチ近くあるんだ。数あるきのこ図鑑の中でもトップクラス。見てよこの貫禄。なんたって『大図鑑』だからね!
M:フー、こりゃすごいや。これなら家に泥棒が入ってきても一発で退治できるね。
J:おいおいマイク、せっかくの図鑑なのにそんな使い方をしちゃいけないよ。まあ武器として使うにしても、君の場合はこの図鑑を誰にも見つからない場所に隠しておいた方がいいかもしれないね。
M:?? そりゃどういう意味だい?
J:じゃないと浮気性のマイクはすぐにでも奥さんに退治されちゃうからね。
(マイク、肩をすくめる。観衆、笑う)
J:そんなことはいいとして、見てよ。この綺麗な表紙のキノコたちを。
M:ああ、とってもカラフルだ。まるでお花畑のようだよ。こんなにきれいなキノコがあるなんて!早く中も見せてほしいな。
J:マイク、そんなにせかさないで。この図鑑の売りはスケールの大きさだけじゃない。すぐれているのはそのビジュアル性だってことが一目でわかるよね。ちなみにこの図鑑、シカゴ大学出版から出版された『THE BOOK OF FUNGI』を日本語訳したものなんだ。約650ページはもちろんフルカラー。ヨーロッパやアメリカだけじゃない、世界中のキノコを載せているよ。
まあ前置きはこのくらいにしておこうか。さあ見てごらん、この中身を。
M:ウオゥ、これは……とても綺麗だ。写真が、すごく上手に撮れてて……なんかとてもリアルだよ。
J:その通り。収められているキノコは全部で600種。1ページにつき1種類ずつ、丁寧に撮られた白バック写真はそのキノコの特徴を的確にとらえていて、しかも原寸大で掲載されている。巨大サイズの図鑑にしかできない芸当だね。
M:あと……ページの余白がすっきりと映えてキノコをひき立てているね。なんていうのかな、とても上品で……図鑑を観ている僕をエレガントな気持ちにさせてくれるよ。
J:いいところに目をつけるね、マイク。レイアウトには細心の注意を払っているんだ。特に調べものじゃなくても、こうしてペラペラめくるだけでも楽しいよね。
さあ、写真やレイアウトもいいんだけど、見逃しちゃいいけないのが、キノコを解説するテキスト。そのキノコの分布や発生環境、発生頻度、胞子の色、食毒なんかが一目でわかるようになっているのとまた別に、名前の由来や生態、食味、分類学の知見など、豆知識がたっぷり詰まった解説がついているんだ。もちろん、日本語訳はていねいでとても読みやすいよ。
M:ふむふむ。たしかに読みやすそうだよ。これを読めば僕も賢くなるかな。
J:どうかなぁ。君は食味のところしか読まなさそうだからね。そうだ、頭の良くなるキノコがあったら探してみるといいよ。
М:ああ、こりゃまいったね。その口の悪さが治るキノコも探してみるよ。
(観衆、笑う)
J:さあ、これでこの本がどんなスゴイ図鑑なのかわかったかな?本来、こんなすごい内容の本を日本語訳なんかで出しちゃうと、専門書扱いで大変なお値段になっちゃうんだけど、今回は大まけにまけてのびっくり価格!
なんと!18900円!
さらに今回は、南米原産のキノコ・ガルガルから抽出した成分を元にしたサプリメント、女性の骨の健康を守る「ガルガルガール」のお試しセットもお付けして……
М:(ひじでジョンを小突きながら小声で)ジョン!ちょっと。
J:なに?なんだよ?
М:(二人、後ろを向いて、ひそひそ声で)18900円?むしろ高すぎてビックリだよ。こんなの買ったら女房にお小言もらった上に図鑑を口に突っ込まれて、返品させられちゃうよ。
J:(同じくひそひそ声で)いいんだって、持ち運べばダイエットできるんだから健康にもいいし。それに日本の最大クラス『北陸のきのこ図鑑』は400ページで15000円だったから、650ページでこの値段だったら格安じゃないか。
М:英語の原書が5000円で買えても?
J:シッ!それは内緒!いいね、ビッグマックのタダ券あげるから、今は黙ってて!
(マイク、渋々引き下がる。ふたり正面に向き直る)
さあみなさん。『世界きのこ大図鑑』いかがでしたか?注文をご希望の方はこちらの番号へファックスか電話でお申し込みください。番号にくれぐれもお間違えのないよう。なお、数に限りがございますので、できるかぎり早めの注文をおすすめいたします。
М:さあ、お時間です。今回の「KIN・ショッピングTV」いかがでしたか?
J:ショッピングを通じて、人々に金と奉仕の祝福がありますように!
M&J:それではみなさん、ごきげんよう、さようなら!
(観衆、満場の拍手)
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『世界のきのこ大図鑑』 ピーター・ロバーツ シェリー・エヴァンズ著 斉藤隆央 訳
イラストや縮小写真などで全体像をしめした上で、原寸大キノコを部分的に取り上げるなど、ページレイアウトに工夫がなされている。分布を表わす世界地図がわかりやすい。
ちなみに掲載キノコは分類順に並ぶ。新分類に対応。ただし、ベニタケ目がハラタケ目といっしょになっちゃってるなど、多少の違いはある。あと、たとえばハラタケ類の中での掲載順は、学名のアルファベット順になるので、日本のものとは順番が異なる。
テキストは、一番上に科・分布・発生地・発生環境・生え方・発生度・胞子の色・食毒の一覧表
次にキノコの大きさと、キノコの学名・英語名・あれば和名も(日本語名称のついていないキノコがたくさんある)。さらにメインの解説、類似種との見分け方、小さな文字での形態の解説、と続く。
形態の記述はあまり細かくないので、この図鑑だけでキノコを同定しようと思うとちょっと厳しい。大判のビジュアル系きのこカタログってのが、いちばん近い評価だと思う。
珍菌・キッタリアがある!
冬虫夏草のほか、地衣類まで載ってるのが珍しい。
カンゾウタケ:BEEFSTEAK FUNGUS(ビフテキ茸)
テングタケ:PANTHERCAP(豹の帽子)
などなど、英語名と、その命名理由を読むのがことに楽しい。その解説分はそこはかとないウィットとユーモアを感じさせるもので、このあたりはなにか、欧米に対する言い表せない劣等感を感じてしまったりする。
ニオイオオタマシメジ:FRAGRANT STRANGLER(かぐわしい絞殺者)はすごい名前だ。
あっ!誤植みっけ! 「発生度:まれによく発生する」(どっちやねん)
誤植探し楽しいかも(←まちがった楽しみ方)
和訳はこなれいるし、原文のテイストをうまく表現している(気がする)。ちなみに訳者の斉藤隆央氏は、あのゴルゴ13で有名な漫画家……とはなんの関係もない。
マイク:ワオゥ!なんだいこのデカさ!自由の女神が小脇にかかえてそうだよ!
J:ビックリしたかい?縦が28センチ、横19センチ、厚みも5センチ近くあるんだ。数あるきのこ図鑑の中でもトップクラス。見てよこの貫禄。なんたって『大図鑑』だからね!
M:フー、こりゃすごいや。これなら家に泥棒が入ってきても一発で退治できるね。
J:おいおいマイク、せっかくの図鑑なのにそんな使い方をしちゃいけないよ。まあ武器として使うにしても、君の場合はこの図鑑を誰にも見つからない場所に隠しておいた方がいいかもしれないね。
M:?? そりゃどういう意味だい?
J:じゃないと浮気性のマイクはすぐにでも奥さんに退治されちゃうからね。
(マイク、肩をすくめる。観衆、笑う)
J:そんなことはいいとして、見てよ。この綺麗な表紙のキノコたちを。
M:ああ、とってもカラフルだ。まるでお花畑のようだよ。こんなにきれいなキノコがあるなんて!早く中も見せてほしいな。
J:マイク、そんなにせかさないで。この図鑑の売りはスケールの大きさだけじゃない。すぐれているのはそのビジュアル性だってことが一目でわかるよね。ちなみにこの図鑑、シカゴ大学出版から出版された『THE BOOK OF FUNGI』を日本語訳したものなんだ。約650ページはもちろんフルカラー。ヨーロッパやアメリカだけじゃない、世界中のキノコを載せているよ。
まあ前置きはこのくらいにしておこうか。さあ見てごらん、この中身を。
M:ウオゥ、これは……とても綺麗だ。写真が、すごく上手に撮れてて……なんかとてもリアルだよ。
J:その通り。収められているキノコは全部で600種。1ページにつき1種類ずつ、丁寧に撮られた白バック写真はそのキノコの特徴を的確にとらえていて、しかも原寸大で掲載されている。巨大サイズの図鑑にしかできない芸当だね。
M:あと……ページの余白がすっきりと映えてキノコをひき立てているね。なんていうのかな、とても上品で……図鑑を観ている僕をエレガントな気持ちにさせてくれるよ。
J:いいところに目をつけるね、マイク。レイアウトには細心の注意を払っているんだ。特に調べものじゃなくても、こうしてペラペラめくるだけでも楽しいよね。
さあ、写真やレイアウトもいいんだけど、見逃しちゃいいけないのが、キノコを解説するテキスト。そのキノコの分布や発生環境、発生頻度、胞子の色、食毒なんかが一目でわかるようになっているのとまた別に、名前の由来や生態、食味、分類学の知見など、豆知識がたっぷり詰まった解説がついているんだ。もちろん、日本語訳はていねいでとても読みやすいよ。
M:ふむふむ。たしかに読みやすそうだよ。これを読めば僕も賢くなるかな。
J:どうかなぁ。君は食味のところしか読まなさそうだからね。そうだ、頭の良くなるキノコがあったら探してみるといいよ。
М:ああ、こりゃまいったね。その口の悪さが治るキノコも探してみるよ。
(観衆、笑う)
J:さあ、これでこの本がどんなスゴイ図鑑なのかわかったかな?本来、こんなすごい内容の本を日本語訳なんかで出しちゃうと、専門書扱いで大変なお値段になっちゃうんだけど、今回は大まけにまけてのびっくり価格!
なんと!18900円!
さらに今回は、南米原産のキノコ・ガルガルから抽出した成分を元にしたサプリメント、女性の骨の健康を守る「ガルガルガール」のお試しセットもお付けして……
М:(ひじでジョンを小突きながら小声で)ジョン!ちょっと。
J:なに?なんだよ?
М:(二人、後ろを向いて、ひそひそ声で)18900円?むしろ高すぎてビックリだよ。こんなの買ったら女房にお小言もらった上に図鑑を口に突っ込まれて、返品させられちゃうよ。
J:(同じくひそひそ声で)いいんだって、持ち運べばダイエットできるんだから健康にもいいし。それに日本の最大クラス『北陸のきのこ図鑑』は400ページで15000円だったから、650ページでこの値段だったら格安じゃないか。
М:英語の原書が5000円で買えても?
J:シッ!それは内緒!いいね、ビッグマックのタダ券あげるから、今は黙ってて!
(マイク、渋々引き下がる。ふたり正面に向き直る)
さあみなさん。『世界きのこ大図鑑』いかがでしたか?注文をご希望の方はこちらの番号へファックスか電話でお申し込みください。番号にくれぐれもお間違えのないよう。なお、数に限りがございますので、できるかぎり早めの注文をおすすめいたします。
М:さあ、お時間です。今回の「KIN・ショッピングTV」いかがでしたか?
J:ショッピングを通じて、人々に金と奉仕の祝福がありますように!
M&J:それではみなさん、ごきげんよう、さようなら!
(観衆、満場の拍手)
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『世界のきのこ大図鑑』 ピーター・ロバーツ シェリー・エヴァンズ著 斉藤隆央 訳
イラストや縮小写真などで全体像をしめした上で、原寸大キノコを部分的に取り上げるなど、ページレイアウトに工夫がなされている。分布を表わす世界地図がわかりやすい。
ちなみに掲載キノコは分類順に並ぶ。新分類に対応。ただし、ベニタケ目がハラタケ目といっしょになっちゃってるなど、多少の違いはある。あと、たとえばハラタケ類の中での掲載順は、学名のアルファベット順になるので、日本のものとは順番が異なる。
テキストは、一番上に科・分布・発生地・発生環境・生え方・発生度・胞子の色・食毒の一覧表
次にキノコの大きさと、キノコの学名・英語名・あれば和名も(日本語名称のついていないキノコがたくさんある)。さらにメインの解説、類似種との見分け方、小さな文字での形態の解説、と続く。
形態の記述はあまり細かくないので、この図鑑だけでキノコを同定しようと思うとちょっと厳しい。大判のビジュアル系きのこカタログってのが、いちばん近い評価だと思う。
珍菌・キッタリアがある!
冬虫夏草のほか、地衣類まで載ってるのが珍しい。
カンゾウタケ:BEEFSTEAK FUNGUS(ビフテキ茸)
テングタケ:PANTHERCAP(豹の帽子)
などなど、英語名と、その命名理由を読むのがことに楽しい。その解説分はそこはかとないウィットとユーモアを感じさせるもので、このあたりはなにか、欧米に対する言い表せない劣等感を感じてしまったりする。
ニオイオオタマシメジ:FRAGRANT STRANGLER(かぐわしい絞殺者)はすごい名前だ。
あっ!誤植みっけ! 「発生度:まれによく発生する」(どっちやねん)
誤植探し楽しいかも(←まちがった楽しみ方)
和訳はこなれいるし、原文のテイストをうまく表現している(気がする)。ちなみに訳者の斉藤隆央氏は、あのゴルゴ13で有名な漫画家……とはなんの関係もない。