先日11月30日、NHKの番組『所さん!大変ですよ』でキクラゲの特集を放送していた。
キクラゲ栽培キットで楽しみつつ健康生活、栄養満点・ダイエットにもキクラゲが効果的、キクラゲ栽培で窮地を脱したシイタケ農家、など、最近、じわじわとキクラゲの注目度が高まっているというような内容だった。
さてここで気になったのが「キクラゲ栽培」は儲かる!という話。
番組では脱サラして菌床キクラゲ栽培を始め、今や年商一億円をあげる人の紹介があった。番組内では、キクラゲを作って売るだけではなく、キクラゲ菌床を他のキクラゲ生産者に販売したり、あるいはノウハウや施設なども提供したりすることで大きな売り上げを出している、とのことだった。
私もきのこ生産者の端くれでありながら、うかつにも最近のキクラゲ動向をぜんぜん把握してなかったので、ちょっと調べてみた。
◎キクラゲとは?
ここで言うキクラゲは主にアラゲキクラゲのことを指す。中華料理によく入っているコリコリするタイプのキクラゲだ。肉質が硬く丈夫なので、栽培から出荷まで扱いやすいのが特徴。他にもアラゲキクラゲの白色変異タイプが『白きくらげ』として売られている。また、『本きくらげ』の名でアラゲとは別種の(ノーマル)キクラゲを栽培している生産者もわずかながら存在しているようだ。こちらはプルプルとした食感を楽しむことができる。
ちなみにシロキクラゲというキノコも存在する。これはさっき出た「白きくらげ」とはまったく違い、アラゲ&ノーマルとはちょっと縁が遠い別の種類のキノコだ。こちらも栽培もできるらしいが、どのレベルまで実用化してるかは不明。さらについでに言うと中国産シロキクラゲ(銀耳)として出回ってるものはアレきっとシロキクラゲじゃないよな。ハナビラニカワタケの白いヤツって感じ。
◎アラゲキクラゲの栽培特性
ここは最も生産量の多いアラゲキクラゲ菌床栽培に的をしぼって話す。
・培養日数が短い(種菌を植えつけてから60日ほど。ちなみにシイタケだと90日以上)
・暑さに強い
・発生には高い湿度が必要
特に「暑さに強い」という強みを生かして、夏に栽培するのが一般的。秋から春までしか収穫しないシイタケ農家の裏作としてピッタリだというのが普及の大きな要因になったと思う。わりと簡単なハウスでも水をビシバシかけまくればなんとか栽培できてしまうので、初期投資にお金もかからない。
◎キクラゲの生産状況
近年、生産量を急速に伸ばしている。農水省の統計を見ると、平成22年に14.67tだった乾物キクラゲの生産量は6年後の平成28年に59.57tに、155.3tだった生キクラゲの生産量は682tに達している。いずれも4倍以上という急増ぶりだ。ただし、国内のキクラゲ供給は大半をいまだ中国からの輸入に頼っていて、その量は乾物で2350t(平成28年)と圧倒的。日本のキクラゲ消費に占める国産品の割合はいまだ5%にすぎない。
ちなみに生産地域は暑い地域が目立ち、とくに九州で多い。
◎キクラゲの消費
従来はほとんどを乾燥品に頼っていたが、近年は生キクラゲとしての流通も目立つようになり、スーパーの店頭でもよく見かける。ただ、扱いがメジャーになったかと言えば、それはやや微妙かもしれない。平成25年から27年までのわずか2年で生キクラゲの生産量が倍増しているが、翌28年に頭打ちになっているところを見ると、ひとまず落ち着いたと見るべきではなかろうか。キクラゲは生で売った方が利益率が高いけど、パッケージと販路をどうするかが悩むところだろう。
一方で乾燥品は業務用としても使われるために根強い人気。中国産は常々安全性を疑問視されているが、なにせ安いからねぇ。末端価格はネット上で調べるかぎり中国産が100gあたり200~500円、国産が1300~3000円くらい。やはり歴然とした差がある。
……後編はこちら
キクラゲ栽培キットで楽しみつつ健康生活、栄養満点・ダイエットにもキクラゲが効果的、キクラゲ栽培で窮地を脱したシイタケ農家、など、最近、じわじわとキクラゲの注目度が高まっているというような内容だった。
さてここで気になったのが「キクラゲ栽培」は儲かる!という話。
番組では脱サラして菌床キクラゲ栽培を始め、今や年商一億円をあげる人の紹介があった。番組内では、キクラゲを作って売るだけではなく、キクラゲ菌床を他のキクラゲ生産者に販売したり、あるいはノウハウや施設なども提供したりすることで大きな売り上げを出している、とのことだった。
私もきのこ生産者の端くれでありながら、うかつにも最近のキクラゲ動向をぜんぜん把握してなかったので、ちょっと調べてみた。
◎キクラゲとは?
ここで言うキクラゲは主にアラゲキクラゲのことを指す。中華料理によく入っているコリコリするタイプのキクラゲだ。肉質が硬く丈夫なので、栽培から出荷まで扱いやすいのが特徴。他にもアラゲキクラゲの白色変異タイプが『白きくらげ』として売られている。また、『本きくらげ』の名でアラゲとは別種の(ノーマル)キクラゲを栽培している生産者もわずかながら存在しているようだ。こちらはプルプルとした食感を楽しむことができる。
ちなみにシロキクラゲというキノコも存在する。これはさっき出た「白きくらげ」とはまったく違い、アラゲ&ノーマルとはちょっと縁が遠い別の種類のキノコだ。こちらも栽培もできるらしいが、どのレベルまで実用化してるかは不明。さらについでに言うと中国産シロキクラゲ(銀耳)として出回ってるものはアレきっとシロキクラゲじゃないよな。ハナビラニカワタケの白いヤツって感じ。
◎アラゲキクラゲの栽培特性
ここは最も生産量の多いアラゲキクラゲ菌床栽培に的をしぼって話す。
・培養日数が短い(種菌を植えつけてから60日ほど。ちなみにシイタケだと90日以上)
・暑さに強い
・発生には高い湿度が必要
特に「暑さに強い」という強みを生かして、夏に栽培するのが一般的。秋から春までしか収穫しないシイタケ農家の裏作としてピッタリだというのが普及の大きな要因になったと思う。わりと簡単なハウスでも水をビシバシかけまくればなんとか栽培できてしまうので、初期投資にお金もかからない。
◎キクラゲの生産状況
近年、生産量を急速に伸ばしている。農水省の統計を見ると、平成22年に14.67tだった乾物キクラゲの生産量は6年後の平成28年に59.57tに、155.3tだった生キクラゲの生産量は682tに達している。いずれも4倍以上という急増ぶりだ。ただし、国内のキクラゲ供給は大半をいまだ中国からの輸入に頼っていて、その量は乾物で2350t(平成28年)と圧倒的。日本のキクラゲ消費に占める国産品の割合はいまだ5%にすぎない。
ちなみに生産地域は暑い地域が目立ち、とくに九州で多い。
◎キクラゲの消費
従来はほとんどを乾燥品に頼っていたが、近年は生キクラゲとしての流通も目立つようになり、スーパーの店頭でもよく見かける。ただ、扱いがメジャーになったかと言えば、それはやや微妙かもしれない。平成25年から27年までのわずか2年で生キクラゲの生産量が倍増しているが、翌28年に頭打ちになっているところを見ると、ひとまず落ち着いたと見るべきではなかろうか。キクラゲは生で売った方が利益率が高いけど、パッケージと販路をどうするかが悩むところだろう。
一方で乾燥品は業務用としても使われるために根強い人気。中国産は常々安全性を疑問視されているが、なにせ安いからねぇ。末端価格はネット上で調べるかぎり中国産が100gあたり200~500円、国産が1300~3000円くらい。やはり歴然とした差がある。
……後編はこちら