今年の梅雨は極端にキノコが少なかった。
今まで、空梅雨で出ないという年はあったけど、雨が降ってるのに出ないというのは初めてかもしれない。これは異変だと思う。
今まで、空梅雨で出ないという年はあったけど、雨が降ってるのに出ないというのは初めてかもしれない。これは異変だと思う。
特に少ないのはイグチ・ベニタケ・テングタケといった大型菌根菌だ。彼らはブナ科(ナラ・カシ・シイなど)やマツ属の樹木と連係して地下に大きなネットワークを築くことで知られている。
そもそも、それらのキノコが減っているのは今に始まったことじゃないように思う。この10年、20年、年によって豊作凶作はあるものの、年を追うごとにだんだん少なくなっているように感じる。
なぜ減っているのか?原因を考えてみた。
①気象の不安定化(地球温暖化?)
②森林の高齢化が進んだ
③森林に落ち葉がたまりすぎた
④人が採りすぎた
⑤シカなどの動物に食われている
⑥松枯れ・ナラ枯れ
⑦キノコの発生に大きな周期性がある
⑧中国大陸からの大気汚染(PM2.5、酸性霧)
たぶん④と⑤は違う。
キノコ狩り人口がゼロに近い地域でもキノコが減っているし、獣がいない都市公園でもキノコが減っているから。
キノコ狩り人口がゼロに近い地域でもキノコが減っているし、獣がいない都市公園でもキノコが減っているから。
⑧は日本海側から松枯れやナラ枯れが進行したことを理由に、キノコの実地的な研究で知られる小川眞さんが提起していたが、根拠としては薄い気がする。
やはり⑥の松枯れ・ナラ枯れは無視できない。キノコが樹木を地下でつなげてネットワークを作るというのを拡張解釈すると、菌類は樹木の栄養貯蔵庫の役割を果たしているとも考えられる。松やナラが減れば、栄養の貯蓄が減り、キノコも細るはずだ。
②と③も地味だが大きい。
今、人里近くで見られるキノコは、その多くが里山に適応したものだ。
里山は長い間、人が落ち葉や柴、薪炭、材木を搾取し続けたために、木は大きく育たず、落ち葉もたまりすぎるようなことがない、やせた山だった。
しかし今、里山はおそらく何百年かぶりに、豊富な樹木と腐植(腐った落ち葉などが降り積もった層)を蓄えている。
やせた里山に適応したキノコたちはこの変化に対応できていないのではないか?
また、老木と若い木を比べたとき、キノコが多いのは若い木だと思う。木が切られずに高齢化した森それ自体が、キノコの発生にとってマイナスではなかろうか?
①は言わずもがな。
夏の極端な高温はキノコはもちろん、樹木にもマイナスだろう。
それにくわえて、暑いと単純にキノコの干からびたり腐ったりが早く、我々の山に行く意欲が失せるという点も見逃せない。
また、キノコにとって良い環境を作る朝霧や夕立ちは、ここ20年を見ただけでも極端に減った、というのが私の印象だ。
⑦の周期性は、私が適当に考えだだけなのであまり意味はない。もしかしたら松枯れやナラ枯れの流行は定期的に起こるかもしれないから、そういう意味では正しいかもしれんけど。
結論
キノコが減ったのは、②と③の森林環境の変化に①気候変動と⑥松枯れ・ナラ枯れが重なって、ナラ・松の菌根菌ネットワークが弱体化したからではなかろうか。