2月11日。
浅草のブラックの会(感想はこちら)を仲入で抜け出し、
地下鉄で三越前へ。
お江戸日本橋亭の「鈴々舎馬桜独演会」。
毎年この日にやっているらしい。
東京に住んでいた頃、GWの独演会はよく行っていたのだが、
この日のに行くのは初めてかも。
「真田小僧」(玉々丈):△+
あとで馬桜が言うには「使える前座が払底していた」ということで
二つ目である彼が前座。
以前にも(確か馬桜独演会で)見たことがあるが、
その時に比べると、落ち着いてネタを捉え、演じている感じ。
子どもが最初出てきた時、明るく可愛らしく、
子どものネタにありがちな嫌らしさがあまりなかったのが良い。
後ではどうしても、お金を取るために思わせぶりな言い方をせざるを得ないネタであり、
最初から嫌らしいと個人的には不快で気分良く笑えないので、
ちょうど良かった。
科白は少し粗く、もう少し仕込んでおけばウケをとれるかな、と
感じるところはあった。
「らくだ」(馬桜):○+
マクラで談志からこのネタを習った時の話や
志ん朝から習った時との比較など。
「自分の弟子については他でも見る機会が多いから、上げる時に細かく注意しないが、
他の弟子については細かく見る」
というのは、なるほど、と思った。
マクラで駱駝の話と酔っ払いの話を両方するのは少しくどいかな。
個人的には駱駝の話だけで良いと思った。
ネタはほとんど談志、少し志ん生と松鶴、とのこと。
「丁の目の半次」が屑屋に対して「嫌がってるな」と繰り返しており、
ここはオリジナル(左談次の口癖)らしいのだが、
個人的にはこれは半次の性格と少し合わないような気もする。
「相手がどう思っているか」を慮る要素はあまり入れない方が、
半次には合っているのでは、と思う。
屑屋が大家の所から戻ってきて
半次に対してややキレて見せるのは良いな。
自然だし、ここで一つややキレて見せることが
後で酔って色々言っていく端緒になる印象。
特にそれで転換が弱くなる、という程でもない軽いキレ方だったし。
「かんかんのう」を見ての大家の恐怖はあまり感じられなかった。
個人的にはあの大家がそこまで恐がる、という強烈な印象が欲しい。
飲んでいくところは普通に。
松鶴に比べて「徐々に酔いが進んでいく」「抑えていた物が出てくる」感じは弱いが、
らくだに対する思いを陽気に発散し、
その発散が徐々に半次に対して向くようになってくる、という印象。
屑屋が自分の生活を云々する(昔は表通りの旦那だったのに、など)のは
個人的にはあまり好きではないので、
これはこれで好み。
漬物樽にらくだを入れていく際に
「からかさの~骨はボキボキ」と唄いながら、というのは面白いな。
これが屑屋の唄う種類の唄か?というのは、その時はあまり感じなかった。
途中で店に入って金をせしめる。
半次が子どもの話を聞き付け、屑屋に話してまず自分で店の主人と応対し、
その後で屑屋に早桶を運び込ませる流れには違和感があった。
松鶴の「らくだ」の印象かも知れないが、
聞き付けた屑屋が半次に言ってすぐ運び込み、そのまま主人と話をする、で良いと思う。
個人的には、ちとダラダラする印象。
途中で気付かずにらくだを落とし、焼き場で気付いて戻って願人坊主を担ぎ込む。
そのまま放り込んで見ていると願人坊主が熱さで踊りだし、
それを見て「かんかんのうを踊ってやがる」というサゲ。
途中で底が抜けて落としたことが分かりづらかったこと、
「肩を持ち替える」云々は(ダレ場を作る意義はあったかも知れないが)
流れが悪くなったと感じたことはあるが、
これはこれで良いサゲだと思う。
「亡き人を偲ぶ」(馬桜):○+
談志の死を受けて、
元々弟子だった立場からの思い出話など。
釈台を出し、メモを読みながら。
「立川談志の正体」を読んでの批判から始まる。
ブラックの「談志論」にはあまり触れず(そこまで読んでいないのかも知れない)、
ブラック自身の1回目の破門の「本当の」話。
談志も同時期に前座だった寿楽も亡き今、真相はブラックと馬桜しか知らないところだが、
ブラック自身の説明よりも馬桜の話の方が真実味があるな。
「上納金」の前提となった(談志の話が本当かどうかは兎も角)
プリンスホテルやヤマハ楽器での落語会の話、
馬桜が落語協会に復帰する際の話、
文楽が絶句した直後の話、
小朝の「36人抜き」で抜かれた側での話、
など、非常に興味深かった。
約45分。
東京かわら版には「15時から17時」と書かれていたが、
終演は17時半。
満足でした。
浅草のブラックの会(感想はこちら)を仲入で抜け出し、
地下鉄で三越前へ。
お江戸日本橋亭の「鈴々舎馬桜独演会」。
毎年この日にやっているらしい。
東京に住んでいた頃、GWの独演会はよく行っていたのだが、
この日のに行くのは初めてかも。
「真田小僧」(玉々丈):△+
あとで馬桜が言うには「使える前座が払底していた」ということで
二つ目である彼が前座。
以前にも(確か馬桜独演会で)見たことがあるが、
その時に比べると、落ち着いてネタを捉え、演じている感じ。
子どもが最初出てきた時、明るく可愛らしく、
子どものネタにありがちな嫌らしさがあまりなかったのが良い。
後ではどうしても、お金を取るために思わせぶりな言い方をせざるを得ないネタであり、
最初から嫌らしいと個人的には不快で気分良く笑えないので、
ちょうど良かった。
科白は少し粗く、もう少し仕込んでおけばウケをとれるかな、と
感じるところはあった。
「らくだ」(馬桜):○+
マクラで談志からこのネタを習った時の話や
志ん朝から習った時との比較など。
「自分の弟子については他でも見る機会が多いから、上げる時に細かく注意しないが、
他の弟子については細かく見る」
というのは、なるほど、と思った。
マクラで駱駝の話と酔っ払いの話を両方するのは少しくどいかな。
個人的には駱駝の話だけで良いと思った。
ネタはほとんど談志、少し志ん生と松鶴、とのこと。
「丁の目の半次」が屑屋に対して「嫌がってるな」と繰り返しており、
ここはオリジナル(左談次の口癖)らしいのだが、
個人的にはこれは半次の性格と少し合わないような気もする。
「相手がどう思っているか」を慮る要素はあまり入れない方が、
半次には合っているのでは、と思う。
屑屋が大家の所から戻ってきて
半次に対してややキレて見せるのは良いな。
自然だし、ここで一つややキレて見せることが
後で酔って色々言っていく端緒になる印象。
特にそれで転換が弱くなる、という程でもない軽いキレ方だったし。
「かんかんのう」を見ての大家の恐怖はあまり感じられなかった。
個人的にはあの大家がそこまで恐がる、という強烈な印象が欲しい。
飲んでいくところは普通に。
松鶴に比べて「徐々に酔いが進んでいく」「抑えていた物が出てくる」感じは弱いが、
らくだに対する思いを陽気に発散し、
その発散が徐々に半次に対して向くようになってくる、という印象。
屑屋が自分の生活を云々する(昔は表通りの旦那だったのに、など)のは
個人的にはあまり好きではないので、
これはこれで好み。
漬物樽にらくだを入れていく際に
「からかさの~骨はボキボキ」と唄いながら、というのは面白いな。
これが屑屋の唄う種類の唄か?というのは、その時はあまり感じなかった。
途中で店に入って金をせしめる。
半次が子どもの話を聞き付け、屑屋に話してまず自分で店の主人と応対し、
その後で屑屋に早桶を運び込ませる流れには違和感があった。
松鶴の「らくだ」の印象かも知れないが、
聞き付けた屑屋が半次に言ってすぐ運び込み、そのまま主人と話をする、で良いと思う。
個人的には、ちとダラダラする印象。
途中で気付かずにらくだを落とし、焼き場で気付いて戻って願人坊主を担ぎ込む。
そのまま放り込んで見ていると願人坊主が熱さで踊りだし、
それを見て「かんかんのうを踊ってやがる」というサゲ。
途中で底が抜けて落としたことが分かりづらかったこと、
「肩を持ち替える」云々は(ダレ場を作る意義はあったかも知れないが)
流れが悪くなったと感じたことはあるが、
これはこれで良いサゲだと思う。
「亡き人を偲ぶ」(馬桜):○+
談志の死を受けて、
元々弟子だった立場からの思い出話など。
釈台を出し、メモを読みながら。
「立川談志の正体」を読んでの批判から始まる。
ブラックの「談志論」にはあまり触れず(そこまで読んでいないのかも知れない)、
ブラック自身の1回目の破門の「本当の」話。
談志も同時期に前座だった寿楽も亡き今、真相はブラックと馬桜しか知らないところだが、
ブラック自身の説明よりも馬桜の話の方が真実味があるな。
「上納金」の前提となった(談志の話が本当かどうかは兎も角)
プリンスホテルやヤマハ楽器での落語会の話、
馬桜が落語協会に復帰する際の話、
文楽が絶句した直後の話、
小朝の「36人抜き」で抜かれた側での話、
など、非常に興味深かった。
約45分。
東京かわら版には「15時から17時」と書かれていたが、
終演は17時半。
満足でした。