先週、久し振りに東京に行ってきた。
新橋演舞場（勘九郎襲名）は高い席しか残っておらず、
国立小劇場の文楽は見たい第二部は売り切れていたため、
魅かれるメンバーが揃った池袋演芸場へ。
平日ということもあり、
開場時にはあまり並んでいなかった。
それでも開演時にはそこそこ埋まり、
昼の部の最後には立見が出るような入り。
「やかん」（木りん）：△－
前座。木久扇の弟子らしい。
上下がやや深いところ、語尾がフェードアウトするところが気になる。
早めに直した方が良いと思う。
「泣き塩」（ちよりん）：△＋
女性。珍しいネタ。
やや説明が多い。
ある程度は仕方がないネタだが、人物描写的な部分はもう少し減らせると思う。
あと、これは好みの問題ではあるが、
何となく芝居がかっており、会話として不自然な感じがする。
この分かりにくいネタで、ある程度反応があったのは良かった。
「奇術」（アサダ２世）：△＋
相変わらず。
この日は紐のマジックだけで、あとは延々、Mr.マリックの話。
「テーブルマジックと大規模なもの、
マジシャンによって得意不得意がある」
といった話は興味深かった。
「駒長」（龍玉）：△＋
きっちりやっていた。
田舎者の悪口を言うのに「何かってえとアホと言う」という台詞を入れ、
サゲにつなげていたのは良い工夫と思う。
おかみさんの「騙す心算」から「手に手をとって逃げる」ところへの変化が
もう少し明確に描かれる方が好み。
「猿後家」（文雀）：△＋
初めて見る人。
クセはあるが、意外に悪くない。
このネタも、江戸で見るのは初めて。
上方では「奈良名所の言い立て」がメインになってくるが、
「猿廻し」という一般名詞を言ってしまう形でもあり、
言い立ての印象は弱いな。
「キセル漫談」（ひびきわたる）：△
ベタなダジャレを幾つか出し、
その後様々なキセルで様々な音を出してみせる。
凄いのか凄くないのか、よく分からない芸だなあ。
キセルというものがあまり身近なものでないから、
「もしかしたら、キセルさえあれば誰でも出来るのでは？」なんて
（そんなことはなかろうが）思ってしまう。
「新版三十石」（白酒）：○＋
初めて見たが、いやあ、凄いネタだわ。
落語「三十石」とは何の関係もない。
田舎者の浪曲師が、虎造でお馴染みの「石松三十石舟」をうなる、という、
「夕立勘五郎」のようなネタなんだが、
この訛りが元の「三十石舟」を知らないと聞き取れないだろう、という酷さ。
また、途中で痰を吐いたり
孫からの携帯に出たり、とやりたい放題。
如何にも寄席向きのネタではある。
「波平行安」（伯楽）：△－
トツトツと話していく。その雰囲気は悪くない。
山岡鉄舟を巡る話で、特に面白い訳ではない。
途中で「勝海舟」と言っていて、少し混乱した。
「太神楽」（仙三郎社中）：△＋
傘・茶瓶・花笠。
やはり凄いな。
傘は、鞠などの位置が安定するのが好み。
若干上下動していた。
「抜け雀」（喬太郎）：○
人物描写・台詞など、濃くきっちり描かれており、
よくウケていた。
「名人」という言葉の重みについて所々演者の私情が入っていた。
ウケていたし、満腹もしたのだが、違和感がないでもない。
サゲの「駕籠をかかせた」で緩和し切らなかった。
所詮は落語、であり、
サゲで現実世界に戻せないほど濃厚に描写するものでもないのかも知れない。
あと、おかみさんの「バカ！！」は少しキツ過ぎるかな。
「棒鱈」（左龍）：△＋
きっちり演っていたと思うしウケてもいたが、
特にどうってことはない。
難しいネタだな。
田舎者の侍が、ハラからは田舎者・野暮天として作れていないからかも。
このあたりで「田舎者ネタ、付きまくっていないか？」と気付いた。
「権助魚」（雲助）：○－
安心して楽しめる。
旦那の遊び人らしさが、最初の「出かける」という台詞から出ていて可笑しい。
権助も基本的には実直なんだが、
ややおかみさんを弄っている雰囲気もあった。
そういうものかも知れない。
「三味線漫談」（小円歌）：△＋
少し声の調子が悪そう。
それでも歌い、弾き、漫談でウケさせ、
最後は「かっぽれ」。
良い色替り。
「火事息子」（馬石）：○－
マクラで田舎者ネタが被っていることを軽く話し、
火消しの話からネタへ。
このネタが好きなので、定席でやってくれて嬉しい。
親旦那がメインで、まあ、悪くなかった。
火事見舞いに他家の息子が代わりに来たのを見て
自分の勘当した息子を思い出すところは、
少し表情付け・間の取り方がクサいかなあ。
番頭が勘当した息子を親旦那に合わせようとする真情、
それを受けた親旦那が「そうやっていつも私をへこませようとする」と言いつつ
会いたいと思うところ、よく描写されていた。
母親の台詞がちと長い。「火をつける」は少し言い過ぎかと思う。
また、涙を拭く仕草でいちいち袖口を持ち直す動きが気になった。
このネタ、少し襦袢を長めにしておかなければいけないのかも。
この後引き続き夜の部を見た。
新橋演舞場（勘九郎襲名）は高い席しか残っておらず、
国立小劇場の文楽は見たい第二部は売り切れていたため、
魅かれるメンバーが揃った池袋演芸場へ。
平日ということもあり、
開場時にはあまり並んでいなかった。
それでも開演時にはそこそこ埋まり、
昼の部の最後には立見が出るような入り。
「やかん」（木りん）：△－
前座。木久扇の弟子らしい。
上下がやや深いところ、語尾がフェードアウトするところが気になる。
早めに直した方が良いと思う。
「泣き塩」（ちよりん）：△＋
女性。珍しいネタ。
やや説明が多い。
ある程度は仕方がないネタだが、人物描写的な部分はもう少し減らせると思う。
あと、これは好みの問題ではあるが、
何となく芝居がかっており、会話として不自然な感じがする。
この分かりにくいネタで、ある程度反応があったのは良かった。
「奇術」（アサダ２世）：△＋
相変わらず。
この日は紐のマジックだけで、あとは延々、Mr.マリックの話。
「テーブルマジックと大規模なもの、
マジシャンによって得意不得意がある」
といった話は興味深かった。
「駒長」（龍玉）：△＋
きっちりやっていた。
田舎者の悪口を言うのに「何かってえとアホと言う」という台詞を入れ、
サゲにつなげていたのは良い工夫と思う。
おかみさんの「騙す心算」から「手に手をとって逃げる」ところへの変化が
もう少し明確に描かれる方が好み。
「猿後家」（文雀）：△＋
初めて見る人。
クセはあるが、意外に悪くない。
このネタも、江戸で見るのは初めて。
上方では「奈良名所の言い立て」がメインになってくるが、
「猿廻し」という一般名詞を言ってしまう形でもあり、
言い立ての印象は弱いな。
「キセル漫談」（ひびきわたる）：△
ベタなダジャレを幾つか出し、
その後様々なキセルで様々な音を出してみせる。
凄いのか凄くないのか、よく分からない芸だなあ。
キセルというものがあまり身近なものでないから、
「もしかしたら、キセルさえあれば誰でも出来るのでは？」なんて
（そんなことはなかろうが）思ってしまう。
「新版三十石」（白酒）：○＋
初めて見たが、いやあ、凄いネタだわ。
落語「三十石」とは何の関係もない。
田舎者の浪曲師が、虎造でお馴染みの「石松三十石舟」をうなる、という、
「夕立勘五郎」のようなネタなんだが、
この訛りが元の「三十石舟」を知らないと聞き取れないだろう、という酷さ。
また、途中で痰を吐いたり
孫からの携帯に出たり、とやりたい放題。
如何にも寄席向きのネタではある。
「波平行安」（伯楽）：△－
トツトツと話していく。その雰囲気は悪くない。
山岡鉄舟を巡る話で、特に面白い訳ではない。
途中で「勝海舟」と言っていて、少し混乱した。
「太神楽」（仙三郎社中）：△＋
傘・茶瓶・花笠。
やはり凄いな。
傘は、鞠などの位置が安定するのが好み。
若干上下動していた。
「抜け雀」（喬太郎）：○
人物描写・台詞など、濃くきっちり描かれており、
よくウケていた。
「名人」という言葉の重みについて所々演者の私情が入っていた。
ウケていたし、満腹もしたのだが、違和感がないでもない。
サゲの「駕籠をかかせた」で緩和し切らなかった。
所詮は落語、であり、
サゲで現実世界に戻せないほど濃厚に描写するものでもないのかも知れない。
あと、おかみさんの「バカ！！」は少しキツ過ぎるかな。
「棒鱈」（左龍）：△＋
きっちり演っていたと思うしウケてもいたが、
特にどうってことはない。
難しいネタだな。
田舎者の侍が、ハラからは田舎者・野暮天として作れていないからかも。
このあたりで「田舎者ネタ、付きまくっていないか？」と気付いた。
「権助魚」（雲助）：○－
安心して楽しめる。
旦那の遊び人らしさが、最初の「出かける」という台詞から出ていて可笑しい。
権助も基本的には実直なんだが、
ややおかみさんを弄っている雰囲気もあった。
そういうものかも知れない。
「三味線漫談」（小円歌）：△＋
少し声の調子が悪そう。
それでも歌い、弾き、漫談でウケさせ、
最後は「かっぽれ」。
良い色替り。
「火事息子」（馬石）：○－
マクラで田舎者ネタが被っていることを軽く話し、
火消しの話からネタへ。
このネタが好きなので、定席でやってくれて嬉しい。
親旦那がメインで、まあ、悪くなかった。
火事見舞いに他家の息子が代わりに来たのを見て
自分の勘当した息子を思い出すところは、
少し表情付け・間の取り方がクサいかなあ。
番頭が勘当した息子を親旦那に合わせようとする真情、
それを受けた親旦那が「そうやっていつも私をへこませようとする」と言いつつ
会いたいと思うところ、よく描写されていた。
母親の台詞がちと長い。「火をつける」は少し言い過ぎかと思う。
また、涙を拭く仕草でいちいち袖口を持ち直す動きが気になった。
このネタ、少し襦袢を長めにしておかなければいけないのかも。
この後引き続き夜の部を見た。
