どうもそれ以外の本ばかり読んでいる。
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「草や木のように生きられたら」笑福亭松之助
草や木のように生きられたら [ 笑福亭松之助(2代目) ] |
「人生のこと」「芸のこと」「日々のこと」の三章立て。
日々酒を欠かなかった師だが、
酒を断ち、様々な仏教関連の本や僧の言葉に触れた体験が
芸や芸人、他の落語家に対する見方に反映されているように感じる。
勿論難しい話だけでなく、
子ども時代や入門後、
師匠や4代目米團治没後の演芸会社を移っていく際の体験などが描かれていて興味深い。
もしかすると、他で語られていることもあるのかも知れないが、
上方落語界最長老として、さらには上方演芸界全体でもほぼ最長老に当たる師の目から見た
当時の演芸界やその裏側に関する話がいろいろ描かれている。
「芸のこと」は落語界に関する話や「笑い」に関する分析的な話、
「日々のこと」はエッセイ風に。
ただそこには、タイトルの「草や木のように生きられたら」に通じる、
「自分の意思で生きているのではなく、生かせてもらっている」感覚がベースにある。
「前進座80年」中村梅之助
前進座80年 [ 中村梅之助 ] |
父翫右衛門が創立した「前進座」に所属し、
結局昨年に亡くなるまで一貫して「前進座」の看板役者であった筆者の思い出話。
特に生まれた頃や戦中・戦後、長十郎の追放といったあたりの話が興味深い。
全体に「この年にこんな演目をやった」といった話が多く、若干、しんどい。
また子である梅雀退座の辺りの話については、
本当はもっと書くべきことがあるのだろうが秘められていることもあるのだろう、という印象。
史料的価値はあると思うけど、
読んでいてあまり面白くはない、というのが個人的な感想。
梅之助という役者の価値観や演劇観はあまり書かれていないので、
その辺りが知りたければ他の本を読んだ方が良いのだろう。