朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

第603回田辺寄席

2012年04月24日 09時14分40秒 | 落語・講談・お笑い


日曜は田辺寄席へ。
天気が悪かったこともあり、あまり混んでいなかった。
それでも100人程度は入っていたのかな。

「開口0番」は「八度狸金玉仇討」ということで、
狐と狸の騙し方の違いなどを見せる。
客席との掛け合いが面白かった。


「十徳」(ちきん):△

「年越し落語会」などで見たことはあるが、
落語を見るのは初めて。

案の定、上手くないし、きちんと稽古もしていないのだろう、と思う。
師匠が悪い。
まあ、そんな師匠を選択したのだから仕方がないが。

何とも言えないフラはある。
文枝っぽい語尾の伸ばし方、口調が妙で可笑しかった。


「短命」(竹林):△

タバコをやめた話など。
結局は卑下するマクラなのだが、
そこに愛嬌とやや自信が見えるところは悪くない。

ネタは雀松か文我あたりから来ているのだろう。
言い方や口調の強弱、間の付け方、表情などを
「客がどのように感じるか」をきっちり考えた上で
構築し、丁寧に演じなければならないネタなのだと思うが、
そのあたりがけっこういい加減、
というか気で進めていく竹林にはあまり向かないネタなのでは、と思った。
全体にタラタラした印象。

テキストとしては、
隠居が「2年くらい前に越してきた」は入れない方が
やはり良いと思う。


「無妙沢」(文太):○-

登山が流行っている話、夏と冬で異なる、といったマクラ。
初めて聞いたが、けっこうネタっぽい。
よく喋っているマクラなのかも。
噺家らしいマクラ。

ネタは久し振りに聞いたが、
外の吹雪、中の温かさが感じられる2人の最初の会話から、
空気が出来ているところが流石。

お熊と伝六(だったか)の会話、
お熊夫婦の会話に緩急、緊迫感があって良い。
金を切って見せるところは
テキストとして、ちと油断し過ぎている感じがするなあ。
もう少し油断している面をその前で見せるか、
或いは陰で切るなど、もう少し緊張しているようにした方が良いと思う。

弾が伝六に当たるか当たらないかを客席に問う。
個人的には好きでない。
客席から「当たる」方が選択され、サゲに向かう。
あまり良いサゲとは思えない。
「玉子酒」と「弾」も係っているかも知れないが、
それでも「夢オチ」はなあ。

# 元々「伝吉」だが、後の「植木屋娘」とかぶるので「伝六」に変えた、と
 後の抽選会の際に言っていた。
 さらっと言っていたが、これをあっさり出来るあたり、
 科白ではなく気が身に付いているのだろうな。


「持参金」(銀瓶):○

夫婦で一緒に寝るか、といったマクラ。
ともすれば下品になりそうなところ、
さらっと喋れるのが良い。

ネタは前にも聞いたが、やはり面白く作られていると思う。
「昔の人は上手いことを言っている」がサゲまでつながっているが、
ここは以前に聞いた時程利いていなかった。

お鍋の顔の言い立ては不愉快になることもあるのだが、
やはり「ここ(気持ち)がいい」の繰り返しで上手く緩和できている。
次の日に番頭さんとの会話で「宜しいわ」と言う際にもつなげるのは、
個人的には不要と思う。
心持が良いから、ではなく、
特に気にせず、巡り合わせだからそれで構わない、と言う方が
この若い男の気性に合うと思う。

ストーリーを知っていると
どうしても途中で「同一人物」と分かるのでは、と気になり、
そう連想させる恐れのある科白が引っ掛かるのだが、
実際には客は「同一人物」とか感じずに楽しんで聞くのかも知れない。

人物が全体に若く、金物屋の佐助さんなど、
調子乗りのベースにある年輪も欲しいのだが、
そこはあまり感じられなかった。


「植木屋娘」(竹林):△+

「出来ちゃった婚」から「出来ちゃった年季明け」の話。
「持参金」と「植木屋娘」って、かなり強く付くんだな。
本来は避けるべきネタ並べなのだと思う。

ネタは、文枝や笑福亭のライン、かな。
和尚さんがやけにふわふわした印象で、これはこれで面白い。
幸右衛門は特に恐くなく、良いレベル

幸右衛門が「去年18、今年19」といったお光に関する形容を繰り返すのが
少しクドい印象。
家内にして、お光にして、お寺で和尚さんにして、
挙句飲ませるためにやって来た伝吉にも言っている。
言い方を変える、抜く、あるいは言わない、といった手をつけず、
全く同様に言われると、少ししんどいな。
特に、伝吉に言う必要はないと思う。
「2人きりにして、手を出させよう」と思っている時に、
手を出すことを抑制しかねないことは言わないだろう、と思うし。

お光に「伝吉さん」と言ってその反応を見るところを濃くやっていた。
父親が娘を可愛がり、その余り少し弄う様子が出ており、
これはこれで良かった。

幸右衛門がお寺に入る時に、
和尚さんが「幸右衛門」と間違って「伝吉」と呼び掛ける誤りを2度犯していた。
これ、お寺に入る時の人物の気を明確に作れていたら、
振った時に和尚も間違えないと思う。
気が抜けているのかなあ。

サゲの「根は拵えもの」は、やはり好きになれない。
「本堂が危ない」は入れたい科白だと思うので、
最後を伝吉と和尚の会話にするのは手だろうが、
伝吉がイヤな人に見えてしまうので、サゲは変えた方が良いだろう。

その後抽選会まで。
文太が、楽しそうにちきんを弄っていた。
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