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小説から始めるけど、いつも断っている通り、あんまりというか、かなりタイムリーではない。小説は特に、読みだして止まらないようなら読むし、かなり放ってしまうものが多い。拾い読みには向かないし(読み返すのでなければ)、その時の気分がかなり影響している。
殺人者の健康法/アメリー・ノートン著(文藝春秋)
かなり偏屈なノーベル賞作家にインタビューする形式の会話もの。ほぼ戯曲である。これが意外な展開を見せて……。
漂流/吉村昭著(新潮文庫)
無人島に漂流したものが、苦闘の上に生還するお話。本当にすさまじい執念を感じる。
きらきらひかる/江國香織著(新潮文庫)
ホモとアル中が結婚して、その夫婦生活を綴っている。なんだか今風に、時代の方がこの小説に追いついているのではないか。
台湾漫遊鉄道のふたり/楊双子著(中央公論社)
グルメものかと思いきや。百合小説と言われるものだった。男の僕が読んでも面白いので、普遍性があるのではなかろうか。確か角田光代が紹介したので読んだが、そうでなければ読まないものだったので、二重に良かった。
街とその不確かな壁/村上春樹著(新潮社)
買ってはいたが読んで無かったな、と手に取って、久しぶりに村上ワールドにどっぷりつかった感じ。なんとなく、懐かしさも感じた。
楢山節考/深沢七郎著(新潮文庫)
これは向井万起男さんが日本文学の最高傑作として本書をあげていて、むむむ、と思って本棚を見たらあったので読んでみた。映画やドラマとは、確かに一味違うものだった。寓話だけど。
水死/大江健三郎著(講談社)
大江作品は読みにくいので嫌いなのだが、最後なのでいいだろう。それに読みにくいけど、慣れはするのである。なるほどなあ、とも思えるし。
ゆがめられた昨日/エド・レイシイ著(ハヤカワミステリ文庫)
黒人差別のある中、殺人容疑をかけられ逃げながら自分で事件を解決するよりない窮地に陥った男の話。あんがいに面白かったので。
運命/国木田独歩著(岩波文庫)
古いのだが、必ずしも古くさくはないし、不思議さもあるし、感動もある。一言でいうと、文章が上手いとはこういうものだろう。
怖い話と短い話/結城昌治著(中公文庫)
嫌な感じが残るものも多いが、ひねりが利いていて面白いのである。