昨夜、NHK日曜美術館で「ベラスケスのラス・メニーナス」を観た。今年の4月頃に放映し、その再放送とのこと。どうして観なかったのか記憶にない。
司会が小野正嗣・高橋美鈴さんに変わって、どうも前向きに観る気が失せたのか。別に何が悪いというのでもなく、これという理由もない。相性が合わないぐらいの感じ。
しかし、テーマがベラスケスなら見逃すことはなかったはずだが・・。まあ、わたしの耄碌が進行しているだけなのかもしれない。
ゲストが『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画家の荒木飛呂彦さん。読んだことはないが、美意識高い系の漫画家として有名だ。
後半になんと、『ベラスケス 宮廷のなかの革命者』(岩波新書)を5月に上梓された大高保二郎氏が登場した。70歳を越えたようには見えない若々しい方で驚いた。著書で読んだ内容のことを仰っていたが、本放送の翌月に出版する自著についてなんの紹介もなかったのは不思議(追記:出版前の本を紹介したら宣伝になります。そんなことNHKはできませんね。9・9記)。
ベラスケスの後世の画家への影響についてふれていて、パブロ・ピカソが70歳以降の晩年になってから『ラス・メニーナス』を50回近くも模写していることを知った。
番組でもその一部を紹介していたが、ピカソらしい表現の『ラス・メニーナス』で興味をもった。単純なオマージュではなく、同じ画家としてのベラスケスの精神、内面を、ピカソが解釈して絵画にした。そんな印象をもったが、まったく異なるモチーフで、ピカソは『ラス・メニーナス』に取り組んだのかもしれない。
なお、ラス・メニーナスとはスペイン語で「女官」をさし、『 Las Meniñas 』と表記する。スペイン語に " meniña " という語はなく、ポルトガル語で「少女」を意味する " menina " からきている。恐らくスペイン語で「少女」を意味する " niña " と混同したものと思われる。以上、ウィキペディアより。総称として、「王宮に仕えるために貴族から選ばれた少女」という意味の言葉。わたしはあえてタイトルに「侍女たち」と書いた。必ずしも貴族だけなく、さまざまな人間が王女マルガリータの世話をしていたので・・。
▲ピカソの『ラス・メニーナス』No.1(1957)キュビズムの時代に描いたのが最初とのこと
▲ピカソの『ラス・メニーナス』の連作、ほんの一部。晩年になってから次々と描かれた。実に面白く、分かる。素晴らしい!
画家にとって『ラス・メニーナス』は、見過ごすことのできない傑作なのであろう。印象に残った作品をピックアップしてみた。
▲サルバドール・ダリの『ラス・メニーナス』 ユニークだが、一応画家として、おつきあいしておく「観」があるか
▲アメリカの写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンの『ラス・メニーナス』 頽廃的で危険な香りが漂う
▲やはりというべきか。わが森村泰昌氏もとっくに挑戦済みであった これは実物を見たい