小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

五輪開催へ、IOC決定の不可解

2020年03月19日 | エッセイ・コラム

新型コロナウィルス、その感染の勢いは欧米に転じ、浸潤力を増している。ウィルス禍が及ぼす経済への影響も、同じく世界で猛威を振るいはじめた。経済的損失は、これからもボディブローのように、経済の中枢に痛手をあたえ続けるだろう。

WHOが「パンデミック」を宣言した日はまだ浅いのだが、いろいろな意味で、今度のウィルス感染による被害は、人間の理解を超えた複雑さや混迷が極まりない。アメリカのトランプ大統領も考え方を改め、各州に非常事態宣言を通告。英国はじめ欧州各国からの入国を禁止した。トランプの強気を、弱気にさせた理由・背景になにがあったのか?

一方、我が国はどうも迷走というか、混沌への途を突き進んでいる気がする。そう、オリンピックの開催であるが、もはや延期もしくは中止が真っ当な選択だと思われる。ところが支持者は少ないのに、実施強硬論は未だにくすぶっている。ウィルス感染は終息していないのにだ・・。

インバウンドを当て込んだ事業は行き詰まり、日本経済のあらゆる分野で膨大な損失が見込まれている。だからこそ、起死回生のオリンピック開催なのだろうか・・。

そんな中、オリンピックによって不況回復を目論むステークホルダー(利害当事者&経済学者)を歓ばす、素っ頓狂なニュースが飛び込んできた。昨日、夕刊の記事(東京新聞3・18)に、世界経済の繁栄を忖度する(?)IOCは、以下の声明を出した。

「東京五輪に向けて変わらず全力を尽くす。大会まで四か月以上ある段階で抜本的な決定を下す必要はない。いかなる推測も逆効果だ」

IOCはどういう根拠で世界情勢を分析し、いかなる合議手続きで決定したのか分からない。四か月も経てば世界は平常に戻り、「パンデミック」は収束されるという見込みをたてた。だから、「いかなる推測も逆効果」との声明なのだろう、大した自信である。原文を確かめたわけではないが、「抜本的な決定」さえも不必要だとする、その科学的根拠とはなんぞや?

バッハ会長の力強い決意のあらわれは結構なことだ。が、世界各国のアスリートたちのことを配慮したとは、とても思えない。普通だったら、今は、国内での選抜にしのぎを削っている時期だとおもう。各国の事情はしらないが、体育館などは閉鎖されているかもしれない。いや、競技会そのものを中止した国もあるだろう。すでに、東京オリンピック出場が決まっている選手はいるんだろうが、全体の何パーセントなんだ? 

IOCはもはや、自分の都合、権益しか考えない団体になり下がったのか・・。

さて、中国の感染拡大は、そのピークを越えたらしいが、新型コロナウィルスそのものを克服したわけではない。ワクチンさえも未開発で、今後の感染をとても制御できるとは思えない。世界的に見て、この新型ウィルスの感染力、伝播速度を考えると、あらゆる予断は許されないはずだが。

もう、ここまで来たのだ。世界からアスリートが東京に集まり、オリンピックという祭典が行われる。あらかじめ計画されたシナリオは変更なく、実行にうつされるでしょうよ。

面白い、見ものだ。欧米の強豪アスリートたちが来なければ、日本選手のメダル獲得も増えるんじゃないかな。たぶん、安倍首相は表彰式に出席して、笑顔でメダル授与をするだろう。連日の日本選手の活躍でマスメディアも大いに活況を呈するに違いない。地の利をいかして、東京オリンピックを成功させてください。

 

古い写真を整理していたら、インドのものがでてきた。ベナレスのガンガーだ。その日の出を写した。対岸には誰もいない(不可触民がわずかにいる)。記事とはまったく関係ないが、書いたときの荒ぶる感情を鎮静化するんじゃないかと、読んだ人も多少癒されるんじゃないか、と。


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