今朝の東京新聞によると、アメリカの失業率は7,3%から7,2%に改善されたとあった。(9月雇用統計・米労働省)
景気動向の指標となる「非農業部門の就業者数」は、前月19万3千人増だったが、9月は14万8千人増。
伸びは鈍化したものの、10万人以上の雇用があった訳であるから状況はわるくない。
もっとも「市場予測は18万人増となっており、雇用情勢は依然として楽観できない」というロイター通信の補足分析を紹介していた。
ところで、先週、債務上限問題で民主党オバマ政権と野党共和党のチキンレース的な駆け引きが注目されていた。
最悪の場合、デフォルト(債務不履行)となり、リーマンショックなみの金融危機になると喧伝されていたが・・。
しかし、私を含めて大方は「それはない」と予測していた。
案の定、共和党が折れて、かえって政治的ヘタレぶりが強調された感もある。
なにが問題かというより、今後の行く末はどうなるのか?
やはりオバマケア(医療保険制度改革)である。
これの目玉は、「従業員数が50人超の企業は、週労働時間が30時間を超える従業員に適切な医療保険を提供する義務を負う」というもの。
今回、この義務の発効を当初予定の2014年1月から2015年1月に先送りされたこともあるが、現在のアメリカの雇用状況は決して悪くはないと思う。
2015年以降、国民皆保険が定着し、かつ雇用状況つまり失業率も一けた台で推移していたら、アメリカ経済は5年間ほどは堅調だとみなしていいだろう。
そのままで行けば2016年の大統領選は、現状だとクリントンということになる?
なんだかんだ云っても、アメリカ経済はなぜ骨太にみえるのだろうか。
あのアメリカ発のリーマンショックをいとも簡単に乗り越え、大胆な金融緩和で株価や雇用も元に戻した。いまや住宅建設業界において、高級住宅地へのちょっとしたバブリーな投資が盛んになっているという。これらに関してはオバマよりバーナンキに分があるかもしれない。(もちろんアベノミクスとは似て非なるものです)
かつての国力はないものの、アメリカのGDPは日本の約3倍はあり、軍需・情報・知識集約型産業等は追随をゆるさない。
日本の国債発行高は約1千兆円であるが、アメリカはなんと1700兆円もある(※データは2013年のもの。当初1400兆円として記載したが訂正。オバマ政権になって、急伸した。そのほとんどが外貨建)。
これはかなりの経済的な脆弱だと思うのであるが、債務に上限を設定する健全さをもちつつ国際金融を牛耳っている。(債務上限制度を日本政府は見習うべきだ)
先の問題で格付会社がランクを下げるという報道があったが、アメリカ国債の信用度は世界トップクラスを維持している。
また、なんといってもドルが国際基軸通貨であることが強みだし、やろうと思えば際限なく紙幣を印刷できる。量的緩和だって制限なく続けられる。
だがアメリカの経済力に死角がないわけではない。それはここには書かない。(金融の本質論を書けないということもあります)
とうぜんアメリカだってそのことの怖さを知っている。
それにしても揺らぎのないアメリカの自信はどこからくるのだろうか・・。
リーマンショック以降、このわたしが経済書をいろいろ読むようになった。が、アメリカ経済の底力の要因がどこにあるのか。腑に落ちる解釈をあたえてくれる経済書になかなか出会わない。
最近自分なりに、どうやらアメリカの強さと自信、その根拠はこれだろうと思うに至った。
もしアメリカが二進も三進もいかなくなったら・・。
つまりドルが基軸通貨でなくなり、国際政治及び軍事的覇権を他国に奪われることになる、と予測できるその瞬間に、アメリカは金本位制にチェンジするだろうと思う。※
奥の手をもっているか、いないか。実質的な強靭さと、サプライズというインパクト。
というより、持てる者の強さか。
金本位制になってたまるかという人は多い。それはありえない、馬鹿げているという経済学者もたくさんいると思う。しかし、そのことのメリットは計り知れない、と考えるあるいは予測している人は、海の向こうのアメリカではけっこういるらしい。
日本では、とうぜんそのデメリットの凄さを、日銀総裁が知っていてもどうすることもできない。
最後に、2015年がアメリカの分水嶺になる、と私はかんがえる。
※ちなみにアメリカ公的機関の金保有量は8133tで断然トップ。
2位のドイツが3395t。3位はIMFで2814t、4位がなんとイタリアで2451t、5位はフランスで2435tで、各国の外貨準備に占める金保有の割合はほとんど70%以上である。
6位が中国で1054tだが外貨準備に占める金保有の割合は1.6%だ。日本は9位766tで、同じく金保有割合は3.1%である。(2012.8月現在・世界ランキング統計局より)