九月一日
私には、カンケイ無いと言いつつも、ついつい見てしまう。そう、世界陸上!ヤッパリスプリンター魂が、うずいてしまう。それにしても、織田裕二があんなに陸上が好きだとは、知らなかった。私は織田さんとは何の面識もないが、織田さんが選手の事を、みんな知り合いのように、応援している!外国の選手の名前を、友達のように応援してる!私は、外国選手、特にケニアの方々などはみんな同じ顔に見える。何を特徴にしてよいのか、さっぱり判らない。でも名前を覚えてみても、明日からの生活の糧になる訳でもないので、無駄な努力はしない。
今日は九月一日。主人の「燈籠上げ」そして十ヵ月の月命日。八月一日からお仏壇の横に吊してあった燈籠を、九月一日の夕方、河原や、お墓の傍で燃やす。祖谷地方では、一年吊したり、二年吊したり、まちまちだ。例の如く、夕べお坊さんに電話をした。何年吊したら一番良いのか、知りたかった。お坊さんは、「一年吊したら、燃やしていいんですよ」と教えて下さった。今の私には、お坊さんの言葉は竹野内豊の存在以上に、重い。教え通りに、夕方お墓で燃やした。燈籠は、プラスチックも混じっていて、少し摩訶不思議な気分だった。燈籠の由来を、詳しく知りたかった。何時の頃から、人工的になったのか…。ヒトツキの間、共に手を合わせてきた燈籠。燃えカスの中から、細い番線が浮き上がってきた。丁度全てが燃やし終わった頃、ぽつんぽつんと雨が、降り出した。主人のお墓の前に、座っていた八十四歳の私のおばさんに、空を見上げながら私が、言った。「火の始末、心配しなくていいね。丁度、雨降ってきたわー」おばさんがこちらを見て、言った。「雨、降らんけん、カラダがだるいわー」 ヤッパリ、会話が成立しなかった。ガックリ。最近、特に感じる。お正月に、親戚の家で雑談で、話した内容がふと、ヨミガエッテきた。私がおばさんに聞いた。「去年のレコード大賞、誰だったっけ?」おばさんが、答えた。「猫舌か、猫舌は痛いわ」おばさんは、まだ耳が遠くなっていることを、自覚していない?でもそんなこと、自然の事で当たり前。めちゃくちゃ変換される、会話も愛おしい。夕暮れの視界の中に、そばの小さな花のじゅうたんが白く拡がってくる。柔らかな花が、群れをなして拡がる。遠い昔から、受け継がれた険しい斜面の、光景。土地が枯れる事を、命より重く生きて来たで在ろう。祖先の魂が、息付いている。生きる為に、鍬を打つ。土地を守り続けて来た。白黒の世界に白の点が拡がる。九月一日終了。後一時間で明日。相変わらずイッコウに減らなかったお供えを、私の口に押し込みながら、主人との一身同体をかみ締めている。
私には、カンケイ無いと言いつつも、ついつい見てしまう。そう、世界陸上!ヤッパリスプリンター魂が、うずいてしまう。それにしても、織田裕二があんなに陸上が好きだとは、知らなかった。私は織田さんとは何の面識もないが、織田さんが選手の事を、みんな知り合いのように、応援している!外国の選手の名前を、友達のように応援してる!私は、外国選手、特にケニアの方々などはみんな同じ顔に見える。何を特徴にしてよいのか、さっぱり判らない。でも名前を覚えてみても、明日からの生活の糧になる訳でもないので、無駄な努力はしない。
今日は九月一日。主人の「燈籠上げ」そして十ヵ月の月命日。八月一日からお仏壇の横に吊してあった燈籠を、九月一日の夕方、河原や、お墓の傍で燃やす。祖谷地方では、一年吊したり、二年吊したり、まちまちだ。例の如く、夕べお坊さんに電話をした。何年吊したら一番良いのか、知りたかった。お坊さんは、「一年吊したら、燃やしていいんですよ」と教えて下さった。今の私には、お坊さんの言葉は竹野内豊の存在以上に、重い。教え通りに、夕方お墓で燃やした。燈籠は、プラスチックも混じっていて、少し摩訶不思議な気分だった。燈籠の由来を、詳しく知りたかった。何時の頃から、人工的になったのか…。ヒトツキの間、共に手を合わせてきた燈籠。燃えカスの中から、細い番線が浮き上がってきた。丁度全てが燃やし終わった頃、ぽつんぽつんと雨が、降り出した。主人のお墓の前に、座っていた八十四歳の私のおばさんに、空を見上げながら私が、言った。「火の始末、心配しなくていいね。丁度、雨降ってきたわー」おばさんがこちらを見て、言った。「雨、降らんけん、カラダがだるいわー」 ヤッパリ、会話が成立しなかった。ガックリ。最近、特に感じる。お正月に、親戚の家で雑談で、話した内容がふと、ヨミガエッテきた。私がおばさんに聞いた。「去年のレコード大賞、誰だったっけ?」おばさんが、答えた。「猫舌か、猫舌は痛いわ」おばさんは、まだ耳が遠くなっていることを、自覚していない?でもそんなこと、自然の事で当たり前。めちゃくちゃ変換される、会話も愛おしい。夕暮れの視界の中に、そばの小さな花のじゅうたんが白く拡がってくる。柔らかな花が、群れをなして拡がる。遠い昔から、受け継がれた険しい斜面の、光景。土地が枯れる事を、命より重く生きて来たで在ろう。祖先の魂が、息付いている。生きる為に、鍬を打つ。土地を守り続けて来た。白黒の世界に白の点が拡がる。九月一日終了。後一時間で明日。相変わらずイッコウに減らなかったお供えを、私の口に押し込みながら、主人との一身同体をかみ締めている。