秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ   SANE著

2007年09月09日 | Weblog
日曜日
今日は、日曜日。ゴンが吠える事もなく、8時まで取り敢えず爆睡できた。得をした気分になる。膝を付いて這わずに起床した。本日も欅の葉っぱのあいだから太陽が、顔を出している。どんなに暑い一日になっても、仕事がなければ、家から出る必要はない。ひとりになってから、我が家の新憲法は私が、握っている。何をしても叱られることもなければ、止めてくれる人もない。一匹猿と一緒だ。群れないということは、それなりの覚悟がいる。ドラゴンボールのベジータを思いだした。まあ、彼のように手の平から光線は出せないが、汗なら出る。
10時半位に、突然無性に『冷麺』が食べたくなった……が 私は一人になってから、自分の為の料理が作れなくなってしまった。誰かが、一緒に食べてくれたら作れる。楽しく作れる。どんなに食材に溢れていても、作らなくては何の意味も持たない。言葉にしなくては伝わらない愛情や、行動を起こさなければ変わらない自分自身と、それは同じこと。我ながらナイスな表現!新憲法のもと、拍手して、自画自賛!とにかく、冷麺が食べたくて、必ず誰かは、居る場所に電話をかけた。この場所で、お昼を作る回数が増えた。目指すはコテージ管理棟!
管理人は、元船乗りさん。元船乗りさんは、妻に一目ぼれして祖谷に永住している。彼は最近髪形を短くした。一瞬、何かあったのかと勘ぐったけど、ただ暑いだけではないのかな?と勘ぐるのを止めた。彼はコテージに訪れる全ての祖谷好きの方々の為に?いろんなものを用意している。大量の本はテラオの兄さんが、並べていたというより、積んでいた。読書好きな人、大歓迎!木切れで何か造りたい方は、心配御無用。庭先に沢山あります。草刈りがしたい方も、玄関に草刈り機があります!ギターもあり尺八もあり、囲碁将棋、究めつけは自転車!お客様第一で、こんなに沢山の物の宝庫!彼は村のゴミ置場を、宝島と呼んでいた。
広いコテージで、二人で鑑定団を見ながら、冷麺を食す。県道から少し上に上がっただけなのに、ここは下界の音が少しするだけ。沢山の木々が、太陽を遮っている。ホースの先から飛び出している、オーバーフローした水の音と、風の渡る微かな音。鳥たちの囀り。
一時間が、数時間のように錯覚するのは、何故だろう。宮の内の和尚さんを呼ぼうかと思ったが、和尚さんも単純に冷麺一杯では、迂回路を通ってまでここには来ないだろう(一人で山は登れても)冷麺を食べて椅子にもたれたまま、管理人は食後の居眠りをハジメタ。ドンドンうしろに倒れていく。サスペンスドラマの死体に、見えた。
私は帰りながら冷蔵庫に忘れた食材を思いだした。キュウリには、未練はないが、豚肉は気になる。まだ百グラムは残っていた?それだけ取り返す為に、5分引き返すのは、ガソリンの無駄だと思い諦めた。ガソリンの値上がりが、こんなところで私を苦しめる。夕方、ゴンと散歩をしていると、自転車に乗った不審人物と遭遇!管理人だった!切り過ぎた髪を労って、帽子を被っていた。
あの自転車は、管理棟に飾っていたもの?突然遭遇したので、豚肉の事を言うのを、忘れてしまった。死体のように見えた身体は、シャキット起き上がり、軽快に自転車を漕いでいた。同一人物と思えなかった。
去年の今頃、コテージで主人と二人で食べたアイスクリームの味を思いだしながら、どんぐりの葉っぱの道を歩く。二人で過ごした季節。最期の時間に向けて、私は去年の時間を毎日追い掛けている。今までの人生の中で、一番辛い「秋」をかみ締めている。何気ない日常の何気ない優しさに済われながら、私は「秋」をかみ締めている。合掌

初秋

2007年09月09日 | Weblog
辞書ひくや 酔ひの手元に 秋灯下

        奥祖谷慕情     作詞  宮内 誠二

    1 山へ行こうよ 新緑の
      想いはるかに 奥祖谷を
      熱き想いを  胸に秘め
      山は三嶺の  コメツツジ
      君と一緒に  見た花だ

    2 山へ行こうよ 秋山の
      真紅に燃える コメツツジ
      尾根道たどる 縦走路
      山は三嶺と  天狗塚
      君と一緒に  歩いたね

    3 山へ行こうよ 雪山の
      吹雪とどろく 雪道を
      彷徨い歩いて たどり着く
      山は天狗の  頂に
      君と一緒に  登ったね

    4 山へ行こうよ 奥祖谷の
      残雪残る   峰峰を
      思い出探して 山のたび
      山は三嶺か  天狗塚
      君と一緒に  登ろうよ