ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

善管注意義務

2023年03月07日 22時51分35秒 | 商法
企業法務に対応していると、取締役らの善管注意義務という点に幾度となく触れることになります。
経営者らは、いかに自分らが責任を負わないために何をするかということを考えるので、必然といえると思います。

このような視点についてまさにおあつらえの本がありました。
善管注意義務

会社の責任

2018年01月16日 22時46分47秒 | 商法
会社法について

会社が第三者に不法行為をしてしまったことにより損害賠償をした場合、株主らはこれによって会社の財産が下がったのは取締役らの責任だとして株主代表訴訟をしたとします。

この場合、第三者が会社に対して責任追及するのと、株主らが取締役らに責任追及する場合とで、重なる部分が出てくるように思います。

本来不法行為責任は、不法行為と過失の立証が難しいですが、第三者が会社に対して請求し、これに成功した場合、この不法行為や過失は、結局取締役会や取締役らの決定と執行に基づくものであるため、株主らが取締役に責任追及する場合に重なると思われます。

会社に対して不法行為責任を追及する第三者は、429条によって取締役らに責任追及することも可能ですので、この場合も重なるような気もします。


1 会社←第三者
2 取締役←第三者

1は不法行為ですので、不法行為と過失に重点が置かれると思います。
2は故意、重過失による損害賠償責任であり、結局は任務懈怠責任ですので、任務懈怠の立証に重点が置かれると思います。

不法行為が、会社に対する注意義務違反にある場合、この注意義務違反は、取締役らが決定・執行した結果によるものでもありますので、429条の任務懈怠も、注意義務違反が善管注意義務違反に該当するかどうかを検討することになると思います。
また、過失については、任務懈怠に対するもので足りるため、不法行為責任に比してハードルが下がると思います。


会社←取締役←株主ら

この場合は、423条の会社に対する任務懈怠責任の追及ですので、取締役の任務懈怠の立証に重点が置かれると思います。

売却

2014年04月10日 23時10分42秒 | 商法
「東京チカラめし」68店舗を売却 三光マーケティングフーズ

日経新聞から

「三光マーケティングフーズは10日、牛丼店「東京チカラめし」の直営店の約8割にあたる68店舗を売却すると発表した。売却先はカラオケ店などを運営するマック(東京・新宿)で、売却額は未定。三光マーケは新会社「チカラめし」(東京・豊島)を6月2日付で設立して68店を移管し、新会社の全株式をマックに譲渡する。

 三光マーケは2011年に東京チカラめしの展開を開始。焼いた牛肉をのせる「焼き牛丼」が人気を集めた。ブームが一巡すると客数が大きく減少し、事業を継続するか撤退するかの判断を迫られていた。同社は残り20店の運営は継続するものの、主力の居酒屋事業に経営資源を集中させる。」


マックというからマクドナルドかと思いましたが、違いましたww。

この店、一度も行ったことがありませんが、吉野屋みたいにチープな感じがしましたし、入りやすそうでもありませんでしたので、行きたいと思ったことがありませんでした。


ファストフードは、牛丼系とは違いますが、モスバーガーが一番。

平成25年新司法試験商法の失敗

2013年10月26日 23時25分56秒 | 商法
以前にも書きましたが、私は商法第1問で失敗をやらかしました。


設問1で、譲渡制限株式の譲渡において、単に取締役会決議が無かったと勘違いしていました。

なので、取締役会決議の見なし決議の話や株主名簿の話に触れられていませんでした。

ここは2011年の予備試験ではばっちり書いたのに、新司法試験では書き逃すという失態です。



私は、取締役会決議が無いが、株主名簿に載っていない譲受人を会社が株主として取り扱うことは認められるか、という点のみを論じました。

ここは結論は認められないとして、相当厚く論じましたが、半分も点数が入っていないでしょう…。



ただ、それ以外は、大きく外れることは無かったので、沈むまでの致命傷には至りませんでした。

この問題にきちんと食らいつけていれば、民事系は+10点はあったのかなぁ、と思います。

会社法

2013年06月24日 22時46分03秒 | 商法
会社法の設問1は、点数が無いかもです。

承認擬制に気付いていませんし、名義書換未了についても触れていません。

会社からFを株主として取り扱うことが認められるかどうかしか書いていません。


設問2(1)も、Fを株主として取り扱うことはできないから、招集方法に瑕疵があることに触れています。

その後は、Fを株主として取り扱うことはできることを前提に書いていますが、取り扱うことができるならば、と仮定を書いた記憶がありません。
逆に、Fを株主として取り扱えないのならばという風には書いた記憶があります。


設問1は、Fを株主として取り扱うことの当否であって、効力ではないので、Fを株主として取り扱うことも良いというのが前提で読んでくれればいいのですが…。


去年の取締役の選任の当否みたいで、不安定な質問の仕方だと思いました。


設問3も事後的に株式発行の無効事由を何を書いたのか覚えていません。
Aを特別利害関係人としたような気もしますが、当たるのか疑問です。


うーん。商法は失敗か。


設問2(1)は共有の話、106条の話はかなり厚く書きました。
設問2(2)は不当利得です。

取締役の責任

2013年04月29日 22時45分06秒 | 商法
取締役の責任で、429条の悪意、重過失の対象について。

商法の答案で

429条は、法が定めた特別の責任であるから、任務懈怠について、悪意、重過失があればよく…

と書いたら、

理由になってません、

とのコメントが来た。


百選71によると、

株式会社が経済社会において重要な地位を占めていること、しかも株式会社の活動はその機関である取締役の職務執行に依存するものであることを考慮して、第三者保護の立場から、取締役において悪意または重大な過失により右義務に違反し、これによって第三者に損害を被らせたときは…

てことですから、

取締役に権限が集中することから、法は取締役に特別の責任を課し、第三者を保護すべきことから…
の方がいいのかな。

経営判断原則

2013年04月29日 22時31分22秒 | 商法
会社法の取締役の責任追及(423条)で注意すべきこと。


任務懈怠
推定される条文はないか。
いかなる任務、義務があるか。
これを客観的に懈怠したか。
経営判断原則があるか。
法令違反は常に任務懈怠と考えるべき。
法令違反に経営判断原則は無い。あるとしたら、過失の有無。

過失
過失も検討する。ただし、過失を否定する事情はない、と簡単に切る。
法令違反での任務懈怠があれば、過失で経営判断原則を論じるのは可能。

損害
いかなる損害かを論じる。

因果関係
任務懈怠と損害の因果関係、

結論
損害賠償責任を負う。とする。
単に責任を負う。としない。

分割、合併

2013年04月21日 12時49分31秒 | 商法
ようやく組織再編当たりの知識の整理が付きました。


事例で考える会社法にこの辺りの詳しい問題が載っていました。


新設分割や吸収分割の無効主張の原告適格者は、承認をしなかった債権者も含まれるが、いかなる債権者のことを指すかが難しいですね。



不法行為に基づく債務の債権者は、各別の催告が必要ですが、知れたる債権者のみに限定されます。

知れていない債権者を解釈によって広げることもできるようですが、条文の文言に反するので、説得性に欠けるような気がします。



知れていない債権者は、両当事会社に請求できるため、各別の催告は不要であるとする見解が立法担当者のようです。

これに対して、知れていない債権者は、催告を受けることができないが、保護を図るため、催告を受けることができたのに受けなかった債権者に含まれるとする見解もあるようです。



しかし、知れていない不法行為債権者が催告を受けなかった債権者に当たるとすると、承認をしなかった債権者にも含まれることになってしまい、分割無効の訴えが提起できてしまいます。


これは、会社分割において、不法行為債権者の存在を認識できないのに、無効の訴えを提起されるおそれがあるというのは、法的安定性を害するように思います。


条文上、知れたる債権者と規定し、知れていない債権者を除外したのは、意図的であり、上記のような不都合性を解消し、また当該債権者には、両当時会社に対して請求できるため、不都合はないからと考えられます。

会社法

2013年02月13日 23時07分29秒 | 商法
親子関係にある会社で、その関係を悪用して、子会社の損失によって親会社かわ利益になるような取引をした場合に、親会社を事実上の取締役理論によって、損害賠償請求をするという考えがあります。

しかし、これって、法人は取締役になることができないとする、331条1項1号に思いっきり反しないですかね!?


法人格否認の法理や親会社の取締役らに第三者責任として追及する方がいいように思いました。

会社法

2012年10月17日 20時39分07秒 | 商法
会社法では定款記載事項の一つに会社の目的があります。

一方、登記にも目的を登記しなければなりません。


定款は株主総会の特別決議で変更ができます(466条、309条2項11号)。



さて、齟齬が生じた場合に、一方を信じた場合の相手方はどうなるんでしょう?

目的の範囲は広く解するのが判例ですが、それでも解せないぐらいの行為とか。




定款の目的を変更したから、定款を信頼して取引をした。
しかし、登記にはそのような目的は記載なく、目的外の取引であった。

このような場合は、登記が不実記載と考えて、908条2項で保護されるのかな。




では逆は?
登記を変更したから、登記を信頼して取引をした。
しかし、定款にはそのような目的の記載はなく、目的外の取引であった。

このような場合は、908条1項後段で保護されるのでしょうか。


もしそうなら、会社法は定款より登記により決することを重視しているんですかね。

株主総会不存在

2012年10月15日 22時05分02秒 | 商法
取締役の選任決議が不存在の場合に、後の株主総会で新たな取締役を選任する決議をした場合。

無効原因ではなく、不存在になるというのが判例です。



取締役を選任する株主総会が不存在の場合において、この取締役によって構成される取締役会は正当な取締役会とはいえず、かつ、その取締役会で選任された代表取締役も正当に選任されたものではなく、株主総会の招集権限を有しないから、取締役会の招集決定に基づき代表取締役が招集した株主総会で新たな取締役を選任する決議がなされたとしても、その決議はいわゆる全員出席総会としてされたなどの特段の事情がない限り法律上存在しない、株主総会不存在になる。

合併比率の不公正による無効主張

2012年10月03日 23時35分21秒 | 商法
会社法において、合併無効の訴えの無効原因は明文無く重大な瑕疵に限定されると解されています。

そして、合併比率の不公正は判例では、無効原因にはならないとされています。


しかし、この判例には例外を認めるべきとされています。


すなわち、合併比率の承認決議時に当該存続会社の議決権を有する株主が、当該消滅会社の親会社であった場合、合併比率が不公正なら、著しく不当な決議がされたとして決議取消事由になります。

そして、決議取消がされた場合には、合併承認決議がないことになりますので、この場合には無効原因になると考えます。


もっともこの場合、決議取消と合併無効の訴えは提訴期間が異なります。

決議取消の提訴期間が3ヶ月以内と短期なのは、決議の早期確定に求められていることから、無効の訴え時に主張できるのは、決議の3ヶ月以内に限定されると考えます。

以上リークエP400参考。


さらに難しい問題として、無効主張をしない場合の取締役への責任追及です。


存続会社の株式を対価とした場合、存続会社は株式を発行しているだけであり財産の流出はなく、消滅会社の権利、資産、負債が全て存続会社に承継されるため、存続会社は損害が生じているとはいえず、任務懈怠責任が認められないとされます。


また、この場合株主は第三者責任の追及が考えられます。


株主は直接損害には第三者に含まれるが、間接損害には第三者に含まれず、株主代表責任追及によるべきと考えられています。


さて、合併比率が不公正の場合、そのために株式の経済的価値が下がったのであり、株主らは直接損害を被ったと考えられ、第三者に含まれるため、第三者責任を追及できることになります。



一方、存続会社が対価として金銭を支払った合併の場合、会社財産が流出しているため、会社は損害を被ったとされ、任務懈怠責任が認められ取締役らへの株主代表訴訟が認められます。

この場合、第三者責任は、株式の経済的価値の下落は会社財産の流出による損害であり、間接損害になることから第三者に株主は含まれず、株主代表訴訟によるべきことになります。



ものすごく複雑です。

名板貸

2012年09月28日 23時15分41秒 | 商法
名板貸人の責任で、オークションの運営者に対する責任追及の地裁判例があるそうです。

インターネットオークションの落札者が代金を支払ったが商品の交付を受けていないため、オークションの運営者に責任追及した事案。


裁判所は、取引の相手方が出品者であるか運営者であるかを識別困難とさせるような状態を運営者が作出したと認めるに足りる証拠はない、と商号使用許諾者責任(名板貸人の責任)を否定した。

これは外観作出の帰責性でしょうか。
それとも外観自体の存在がないということでしょうか。


こうなるとショッピングモールである楽天とその出店企業との間でも同じような問題があるでしょう。

外観が認められれば、そのような造りにしている外観作出の帰責性はありそうですから、誤認(無重過失)があるかどうかになるでしょうか。

新株予約権

2012年09月28日 00時29分47秒 | 商法
募集新株予約権と募集株式では、有利発行となる基準が異なります。

新株予約権は同じ権利内容のものが考えにくく、市場価格が想定しにくいからです。


なので、行使時の株式の価値と払い込み価額との差額が報酬と考え、提供されるべき職務の対価として著しく過大かどうかによって判断することが有力です。