ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

任意同行

2011年03月07日 21時30分14秒 | 刑訴法
刑訴法の論文答練で任意同行には明文がない、とあって、その答案にマルをしてある参考答案がありました。


警察官職務執行法2条2項は行政警察活動の規定ですが、任意同行に行政警察活動と司法警察活動があるんだっけかな?

田口教授の本を見てみました。

出頭のために被疑者に同行を求める場合は司法警察活動としての任意同行とありました。

前述の答練の問題は、職務質問の後の任意同行なので行政警察活動かと思いますし、警察官職務執行法が適用されますので、明文はありますね。

しかし、採点者は任意捜査としての任意同行とコメントしています。


任意捜査の任意同行は在宅被疑者に対して出頭を求めることが例示されており、本件とは異なりそうです。

本件は不審な自動車への運転者に職務質問し、自動車が盗難車のため、話を聞くために任意同行を求めた問題でした。

これはどちらか判定しにくいですが、解説には峻別することは困難であるし、実益は少ないとありました。
ただし、捜査目的の任意同行なので、根拠条文はないとしています。

はて?


では行政警察活動の任意同行は何?となります。

盗難車だから任意同行は捜査?
じゃあ行政警察活動の任意同行はどんな時?


ちょっと不思議。




また、鑑定受託者の鑑定書について321条4項を類推適用しているが、321条3項の真正の供述が必要なのに、抜けているが採点者も指摘していませんが、減点にならないのかな?


ちょっと不思議な高得点答案が多い気がする。


通信の採点はいつも低い気がするな。

気にしない方がいいとよく見掛けるが無理ですな。
気合いの入り方が変わりますから。




追加
同様の判例
大阪高判平16.10.22

職務質問がなされていたのは公道上であり、冬季の夕刻でもあるから、その場で質問を継続するのは被告人にとって不利益といえるので、警察官らが被告人に警察署までの同行を求めたこと自体は、警察官職務執行法2条2項に照らして相当であったといえる。

全体として、任意同行の限度を超えた被告人の意に反する連行として違法といわざるを得ない。


さて、これは行政警察活動の任意同行なんじゃないのか?

採点者のコメントとして任意捜査の任意同行だから条文はないとしてあるが、警察官職務執行法2条2項の条文が適用されるんじゃないのかな?

ますます不思議。

伝聞証拠

2011年03月04日 18時55分13秒 | 行政法
いわゆる伝聞証拠の例外として、324条の被告人以外の者の公判廷の供述で被告人の供述をその内容とするものについては、322条の規定を準用する。

そして、この被告人以外の者が公判廷外でなされた供述、例えば検察官面前調書であっても再伝聞として各伝聞例外を満たすかぎりにおいて証拠能力は否定されない。

この場合も324条が適用され322条が準用される。

ところで322条1項は不利益事実の承認の内容なら任意性が要求されているが、被告人の署名若しくは押印も要求されている。


公判廷の供述や検察官面前調書の場合には、被告人の署名若しくは押印は不要だろうけど、要求される場合もあるのだろうか。


被告人の署名若しくは押印を要求したのが、正確性を担保するものであるため、その正確性は供述者たる被告人以外の者への反対尋問や検察官面前調書の相対的特信情況により担保されるのだろう。
しかし、供述者が死亡した場合には、相対的特信情況は不要とされており、正確性を担保するものがないにも関わらず再伝聞を認めてしまうことになりそうだ。

これについての判例や解説はない気がするが、この場合には被告人の正確性を担保するために検察官面前調書の321条1項2号前段の場合であっても相対的特信情況を要求するとすることは不当とはいえない気がする。