ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

詐害行為取消権と債権者代位権

2013年01月31日 22時20分45秒 | 民訴法
民訴法の問題です。


AがBに対して300万円の売買代金債権を持っていました。
BはCに対して300万円の貸金債権を持っていました。

Cの貸金債務は、期日が到来しています。

しかし、Bは無資力になったのに、Cの貸金債務を免除しました。

AはCへ詐害行為取消権を請求し、債権者代位権を請求するとします。



この場合、債権者代位権のみを見てみると、Cの貸金債務を免除した効果があり、請求棄却判決になってしまいます。

しかし、その後、債権者取消権が認められた場合、どうなるでしょうか?


Aの債権者代位権が請求棄却判決によって生じる既判力は何か?
・Aの債権者代位権が行使できないこと
・BのCに対する債権がないこと
・AのBに対する債権がないことorあること

どれが理由中の判断で、どれが主文なのでしょうか?


この点について考えてみますと、
Bの被告に対する債権としての貸金返還請求権1個が訴訟物になると思われますので、この範囲で既判力が生じると考えられます。

すると、AのBに代位して返還請求をした債権者代位訴訟の場合に請求棄却されると、Bの貸金が不存在であることに既判力が生じると思われます。


その後に詐害行為取消権を請求し、これが認められると、口頭弁論終結後の事情として前の債権者代位権を再度行使することは認められるのでしょうか?



詐害行為取消権自体は、口頭弁論終結前から発生しているのであって、これを主張すると、前訴たる債権者代位権の請求棄却判決と矛盾しますので、既判力の時的限界として遮断効によって、主張が認められないとはならないのでしょうか?



併合審理されている場合は、詐害行為取消権を認めて、その効力を債権者代位権に及ぼすことが認められるという判例があります(昭和40年3月26日)。

また、併合審理されていないと、詐害行為取消権の効力を先取りできないという判例もあります(昭和43年11月15日)。



前訴の債権者代位権の請求棄却判決後に、詐害行為取消権の行使が認められる(詐害性ありで相対的取消)なら、再訴は否定されないのでしょうか?



難しいです。

相続させる旨の遺言

2013年01月29日 23時38分59秒 | 民法
相続させる旨の遺言があった場合、特段の事情がない限り遺産分割方法の指定があったものとされるのが判例です。


これによって、当該相続人は、何らの手続きをせず、当該遺産を被相続人死亡時に承継します。


そうすると、登記無く第三者に対抗できますし、単独で相続登記もできます。


一方、遺贈は、相続人と共同で相続登記をしなければならず、また、第三者対抗要件として登記が必要になります。


さらに、遺産分割方法の指定ですから、この場合は、その対象が相続人でなければ意味がありません。


遺贈の場合は、相続人、相続人以外の者に対してもいずれもできますが、相続させる旨の遺言は相続人のみになります。

包括遺贈と対抗関係

2013年01月20日 21時16分29秒 | 民法
身寄りの無いAは、甲土地を含むすべての財産について、Bに対して包括遺贈をした。

しかし、Aは生前、甲土地をCに対して売却していた。ただし、Cは所有権移転登記をしていない。

Bとしては、甲土地を取得したいと考えている。

この場合、CはBに対して甲土地の所有権移転登記請求を主張できるか?



ちょっとわからないのが、Bは受遺者の地位でありながら、相続人と同一の権利義務を有する地位にあります(990条)。


そして、受遺者の場合、Aを起点とした、B、Cへの二重譲渡類似の関係にありますので、対抗関係になります。

しかし、相続人たる地位の場合、売主たる被相続人の地位を承継しますので、二重譲渡類似の関係にならず、対抗問題が生じません。

このように、個別的遺贈か、包括遺贈かによって結論が異なるため、二重の地位に立たされたBとしてはいずれを主張させるのが妥当なのでしょうか?


Bとしては、すべての財産を受遺したのであるから、甲土地についてAの地位を承継することもやむを得ないと考えるべきでしょうか。
しかし、仮にAには、甲土地以外めぼしい財産が無い場合には、さらに問題になってきます。


これについては、結論はわかりません。



また、別の事案で、AはBに対して本件土地のみを遺贈した場合、Bが受遺者として了承したとします。
この場合に、Bが背信的悪意者になることはあるのかなぁ…。

生前、Aをそそのかして、遺贈になるように遺言を作成してもらったとかでしょうか。

真実はどこに

2013年01月19日 08時50分22秒 | その他
こういう戦争の話はきちんと伝えていかないと。



昭和19年

祖父はフィリピンにいました。

私と同じ23歳の祖父です。

フィリピンは日米の戦争に 巻き込まれていました。

連日、海にはアメリカ艦隊の 大群が押し寄せたそうです。

ミッドウェー海戦以降の日本軍は 大東亜戦争初期の勢いは無く、 豊富な物資と強大な工業力をもつ 米軍に徐々に追い詰められていきました。

そんな中昭和19年6月15日、 本土防衛の為の重要拠点であった サイパン島が米軍に攻略された。 これによりB29による本土爆撃が可能となった。

フィリピンは日本と南方の石油をつなぐ 戦略的な要所であり、米軍が獲得に動いた。

フィリピンを守る第一航空艦隊の当時の戦力は 零戦約40機しかなかった。

これだけの戦力では通常の作戦では どうしようもないということは明らかと思われた。

大西中佐は遂に 「零戦に250kg爆弾を抱かせて体当たりをやるほかに、 確実な攻撃法はないと思うがどんなものだろう?」 と体当たり攻撃を部下達に提案した。

この時、全員が両手を上げてこの作戦に賛成した。

当時の戦況、そして搭乗員の士気というのは そのようなものであった。

神風特別攻撃隊の編成

攻撃隊が結成された翌日 戦闘機の整備兵をやっていた祖父に 特別攻撃隊の友人が語った言葉です。

『もう戦争は続けるべきではない』

しかし、敵を追い落とすことができれば、 七分三分の講和ができるだろう。

アメリカを本土に迎えた場合、恐ろしい国である。 歴史に見るインディアンやハワイ民族のように 闘魂のある者は次々個々撃破され、 日本民族の再興の機会は永久に 失われてしまうだろう。

このために特攻を行ってでも フィリピンを最後の戦場にしなければならない。 しかしこれは、九分九厘成功の見込みはない、では 何故見込みのないのにこのような強行をするのか

ここに信じてよいことがある。 いかなる形の講和になろうとも 日本民族が将に亡びんとする時に当たって 身をもってこれを防いだ若者たちがいた という歴史の残る限り 五百年後、千年後の世に必ずや 日本民族は再興するであろう。

大空に雲は行き雲は流れり すべての人よさらば 後を頼む 征って参ります

人は一度は死するもの 微笑んで往きます 出撃の日も そして永遠に

イッテマイリマス ノチノニホンニエイコウアレ

私が高校生の時、祖父とフィリピンに行きました。 「神風特別攻撃隊」をはじめ戦没者の慰霊祭に 参加するためにです。

フィリピンの方々が日本国旗を振ってくれました。

東南アジアの国々から常に 戦争の責任を追及されていると思い込んでいた 私は驚きました。

神風特攻隊は戦後の日本では”戦争の悲劇” の代名詞としてしか語られていません。

しかしフィリピンでは捉え方が まったく違っていました。

式でフィリピンの方のスピーチです。

当時、白人は日本人を見下していました。 これに対して日本は、世界のあらゆる人種が 平等であるべきだとして戦争に突入していったのです。 神風特別攻撃隊は、そうした白人の横暴に 対する力による最後の”抵抗”だったといえましょう そして、アジア内で唯一、抵抗してくれたのです。

かつて日本の統治を受けた台湾や韓国を見てください。 立派に経済的な繁栄を遂げているでしょう。 これは日本が統治下で施した”教育”の成果です。 ですが、アメリカの統治を受けたフィリピンでは、 自分たちでモノを作ることを学ばせてもらえなかった。 人々は鉛筆すら作ることができなかったのです。 アメリカが自分達の作ったものを 一方的にフィリピンに売りつけてきたからでした。

フィリピン人は日本で伝えられているような ”反日”などではなく、むしろ親日的です。 フィリピンの人々は戦争に対しては 日本人よりもリアリストです。 戦争があれば多少なりとも悲劇はあると、 現実的な考え方をしています。 ですからフィリピンの人々は 日本を責めようなどとは思っていません。 フィリピン国歌にも 「誉れ高い英雄達の生まれた国を崇めよ」 という一節があるくらいです。

欧米人のアジア観に多大な影響を与えた 神風特攻隊は、フィリピンの人々に敬われ そしてその勇気が称賛されている。 日本人はこうした現実も 認識する必要があります。 今、自由に発言できること ご飯を食べられること、感謝しましょう。 そして日本人が日本を好きになってほしい。

じいちゃんは小さい肩を震わせて 泣いていました。

私は一つ、真実を知ることが出来ました。

行政法の仮の救済手法

2013年01月14日 23時28分20秒 | 行政法
行政法について仮の救済についても論ぜよというのがよくあります。

あれって、取消訴訟の場合の執行停止の申立てと義務付け訴訟の場合の仮の義務付けの申立てが同時にできる場合があるのでしょうか?

執行停止だから、執行の続行や効力の停止しながら、別の処分を仮に義務付けるというのですから、あり得そうですけどね。


今まで見たことはないですね。

背信的悪意者

2013年01月14日 23時00分37秒 | 民法
民法177条の第三者における背信的悪意者の当てはめ。


背信的悪意者は、悪意+背信性の当てはめが必要です。



民法177条の第三者は、
当事者又は包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者です。

そして、自由競争の枠内であれば、悪意であっても認められます。

なので、自由競争の枠外ならば、背信的悪意者として、第三者に当たらないといえます。


これは、悪意があることを前提として、背信的悪意者かどうかを検討し、背信的悪意者なら、信義則上、第三者に当たらないとするものです。



なので、当てはめの際には、悪意であることを認定し、さらに背信的悪意かどうかを認定しなければなりません。

いきなり背信的悪意を論じるのは、背信的悪意がどういうものかを理解していないと取られかねませんので、注意が必要だそうです。

生活保護

2013年01月13日 18時25分53秒 | 憲法
生活保護の不正受給が昨年は問題になりました。

これは、生存権が問題になります。


生存権は抽象的権利が通説ですが、法律によって具体化されていれば具体的権利になりますので、これを根拠として権利として請求することができます。


そして、判例は、立法府の裁量を認め、緩やかな合理性の基準で判断しています。


堀木訴訟
「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない。」


朝日訴訟(原告死亡により傍論)
「健康で文化的な最低限度の生活なるものは、抽象的な相対的概念であり、その具体的内容は、文化の発達、国民経済の進展に伴って向上するのはもとより、多数の不確定要素を総合考量してはじめて決定できるものである。したがって、何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、いちおう、厚生大臣の合目的的な裁量に委されており、その判断は、当不当の問題として政府の政治責任が問われることはあっても、直ちに違法の問題を生じることはない。ただ、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する等憲法および生活保護法の趣旨・目的に反し、法律によって与えられた裁量権の限界をこえた場合または裁量権を濫用した場合には、違法な行為として司法審査の対象となることをまぬかれない。」




生存権絡みでしたら、平成19年9月28日の学生無年金障害者訴訟も問題になりやすいでしょうか。
「国民年金制度は、憲法25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障上の制度であるところ、同条の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱、濫用とみざるを得ないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない。」




本来権利の性質からすれば、生存権は、人が生きていく上で重要かつ根本的な権利であるため、請求権たる社会権であっても厚く保障されるべき権利ですが、表現の自由のような国家が制約する自由権とは違って、国家からすれば付与的、国民からすれば受益・請求的権利ですので、厳格な基準は採用されないと思います。




しかしながら、立法府の裁量を広く認めすぎ、国民を保護し過ぎた結果が不正受給問題ですので、緩すぎるから違憲だと主張したいとも考えられます。

しかし、これは政治的責任というべき問題であり、納税者たる国民が国家賠償請求という形は無理でしょうね。




別の問題として、外国人に対する別扱いは、塩見訴訟があります。


「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であつて、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、同条の規定の趣旨を現実の立法として具体化するに当たつては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするから、同条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するに適しない事柄である」

「立法府は、その支給対象者の決定について、もともと広範な裁量権を有しているものというべきである。加うるに、社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるべきことと解される。したがつて、法81条1項の障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである。」

行政法判例百選

2013年01月13日 18時15分33秒 | 行政法
去年の10月ごろに出ました。

6年ぶりだそう。古いのは持っていなかったので新しいのを購入。
今回は2分冊。

本当は、事例の関連法令も載せてくれたほうが行政法は勉強になるのですが、無理なんでしょうね。

行政判例百選1 第6版 (別冊ジュリスト 211)

行政判例百選2 第6版 (別冊ジュリスト 212)


ケースブックを持っているので、こちらがメインなのは間違いないですが、択一対策に百選は便利。

ケースブック行政法 第4版 (弘文堂ケースブックシリーズ)

DVD

2013年01月11日 09時52分09秒 | 行政法
THE SHOW 初回盤A (DVD:「RUNNER」ミュージックビデオ+ジャケット&ミュージックビデオ撮影メイキング映像)

台湾ベストアルバム「舞極限~Over The Limit~」(2CD+DVD+直筆サイン入りフォトカードカレンダー+BOX付デジパック仕様 ※ルビ・対訳付)


ブラザー工業 TZeテープ ノンラミネートテープ(白地/黒字)12mm 長さ8m TZe-N231


Hacker Japan (ハッカー ジャパン) 2013年 03月号 [雑誌]

過失の共同正犯の意義

2013年01月03日 12時05分53秒 | 刑法
以前、過失の共同正犯を検討しました。

過失の共同正犯参照。


これを論じる意義について考えてみます。

●両者に因果関係が否定され過失の単独犯が成立しない場合。

この場合は、両方合わさって因果関係が肯定されるなら、共同正犯として処罰可能になりますので、過失の共同正犯を認める必要があります。


●一方に因果関係が否定され過失の単独犯が成立しない場合

この場合は、当該一方に対して因果関係を肯定するため、共同正犯を成立させることで、両者が処罰可能になりますので、過失の共同正犯を認める必要があります。


●両者に因果関係が肯定され過失の単独犯がそれぞれ成立する場合

この場合は、実体法上は過失の共同正犯を認める意義がないとも思えます。
しかし、訴訟法上、立証が容易になるとか、量刑に影響するとかの意義がありますので、過失の共同正犯が肯定できるなら成立させた方がいいと思います。

ただ、過失の単独犯がそれぞれ成立するため、過失の共同正犯を認める必要はない、とするのもアリだとは思います。

窃盗の機会、強盗の機会

2013年01月03日 11時57分05秒 | 刑法
新年あけましておめでとうございます。

今年は合格する年にします。



過去問は本当に重要です。


暴行、脅迫が窃盗の機会に問題になるのは、事後強盗罪。

暴行、脅迫が強盗の機会に問題になるのは、強盗致死傷罪。


●窃盗の機会
時間的・場所的な近接性
密接的な関連性

これがあれば、事後強盗罪が成立。

ただ、これを認定するために、窃盗の機会に行われた暴行、脅迫といえるかどうかを評価する必要があります。


●強盗の機会
時間的・場所的な近接性
密接的な関連性

因果関係

これがあれば、強盗致死傷罪が成立。

ただ、これを認定するために、強盗の機会に行われた暴行、脅迫といえるかどうかを評価する必要があります。

また、強盗の機会の場合、負傷、死亡結果との因果関係が必要になります。


強盗の機会に行われた暴行、脅迫がある。
これによって、負傷、死亡結果が発生したといえる因果関係がある。
といえる場合に、強盗致死傷罪が成立します。


もちろん、殺意があれば、強盗殺人罪です。