手形法をやってます。
さくさくっと進めてます。学説が交錯する部分が多々あるし、C-Bookやスタ100の解答とは異なる説を採るので、理解+流れ+αが難しいです。
異なる説
・手形行為独立の原則(7条)は当然説
・善意取得(16条2項)は、前主の無権利のみ治癒
・民法の適用は、一般適用修正説(表示主義はそのまま、意思主義(93条但書、95条、96条1項)は、94条2項類推等で、修正)
・表見代理は直接の相手方のみ
・受戻なき手形は債権消滅するが、弁済は人的抗弁として第三者は善意なら切断されて保護(消滅肯定説+人的抗弁説)
スタ100と異なるので、ちょっと書いてみます。
昭和62年第2問の問題
甲は、乙を受取人として約束手形を振り出した。丙は、乙からこの手形を盗取し、受取人欄の乙の氏名を抹消した上、これを借入金の返済のため丁に交付した。丁は、受取人欄に自己の氏名を記載して、この手形を満期に支払のために呈示した。丁の甲に対する手形金請求は認められるか。
☆構成
■甲の手形債務の負担
・丁が請求するためには、まず、甲が手形債務の負担をする必要
丙が窃取し、受取人乙を抹消
→変造か?(77条1項7号、69条)
甲は手形上の受取人を乙として、手形債務を負担する意思表示
→受取人欄は甲の権利内容が表章されている
∴丙の無権限の抹消は変造
・変造前の署名をした甲は、抹消後の責任を負わない?
思うに、69条は一旦有効に成立した債務の内容は変造により影響を受けないことを規定した、すなわち、
一旦発生した権利は消滅しないことの規定
↓とすると
本問は受取人白地となっており、甲は受取人白地手形を振り出した意思は無いが、甲が手形上の債務を負担することに影響はない
以上から、甲は手形債務を負担する
■丁が権利取得する
・丁が手形金を請求するには、丁の手形取得が有効である必要
・丁は無権利者丙から受取人白地手形を取引により取得
→丁は
善意取得しなければ手形を有効に取得できない
↓しかし
丁は、裏書譲渡ではなく善意取得(16条2項)しないのでは?
↓しかし
取引の安全から手形の外観を信頼した者を保護すべき
思うに、受取人白地の外観が存在し、これを信頼した者を保護する必要があるため、
受取人白地の手形法上の譲渡方法である交付譲渡(77条1項1号、14条2項3号類推)で取得した場合も善意取得の適用があると解する。
∴丁が善意・無重過失なら前取得可
→甲に請求可
※なぜか、スタ100では69条と裏書の連続とかを述べているのですが、本問は受取人欄の抹消であり、裏書の連続とは無関係な気がします。、また、民訴法の様に甲が無効主張するための要件を挙げているのですが、手形請求は、手形債務者の債務負担と手形所持人の権利取得が必要なので、この流れで書くのではないのかなぁと思います。
まだまだ勉強歴が浅いので、ご意見、感想ありましたらコメント下さい。