ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

平成26年行政法

2014年05月18日 17時41分32秒 | 行政法
今回のは、問題文がかなり長いです。

少し検討してみました。以下は、10分ほどで考えた内容です。


設問1では、条件の附与の有無、認可基準として裁量権の有無を検討し、裁量権があることを前提として裁量権の逸脱濫用がないか、裁量としての範囲内の解釈などが考えられそうです。

条件の検討とするには、必要最小限か、不当な義務かも解釈を論ずる必要がありそうです。


さらに、認可の条件が、認可するに際し、認可した後の条件を付与するのか、認可をする前提の条件とするのかも明らかにする必要があると思います。
すなわち、認可後なのか、認可前なのかという意味です。おそらく通常は、前者だと思います。


また、保証は不要とする反論、他県では実施されていないところもあるとする反論もありそうです。

いずれにしても認可の要件として、保証証書の添付を付加したことへの可否を論ずる必要があります。


論じやすいのは、問題文にあるように、
採取計画と保証書が一体としているのであり、これは認可における専門技術的な裁量権の範囲、つまり、認可のために画一的かつ合理的に判断するために、保証書を求めているものであり、裁量権の範囲である、として、裁量基準を設けたのは適法である。

しかし、今回の事案では、資本金額や事業規模が大きく、経営状況の良好な会社であり、資金確保があるので、保証書は不要とすることが合理的であり、画一的に判断するのは裁量権の逸脱濫用である、と流してもいいと思います。



設問2は、条件とした場合は、条件に反すれば職権取消ができるのか、裁量権の範囲内とした場合には、保証が無くなった場合に職権取消ができるのかが問題になりそうです。前提として、設問1の拒否処分が適法なので、取り消しもできることを述べ、認可した後の取消しなどの処分ができるのかも述べる必要がありそうです。

さらに、候補の処分の要件が当てはまるかも考えつつ記述する必要がありそうです。つまり、いきなり取消しができるのか、とか、段階を踏む必要があるのか、とかです。

なお、緊急措置命令は、できなさそうですね。



設問3は、非申請型義務付け訴訟です。条文は行訴法3条6項1号、37条の2です。

メインは、原告適格で法律上の利益を有する者への当てはめがポイントです。行訴法37条の2第4項、5項、9条2項です。

「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り」もポイントです。




全体的には、例年通りの難易度だと思います。

国家賠償が出ると予想されていましたが、今年も出ませんでしたね。





補足(2014/06/29)

平成23年度の行政法では、モーターボード競争法第4条5項の「許可に期限又は条件を附することができる。」

とあり、この附款である「条件」をどう考えるかという問題もありました。設問2の要求措置、取消措置との関係です。
ただ、この文言に絡めるのは少数派だったと思います。


平成26年度の行政法では、採石法第33条の7第1項「第33条の認可(中略)には、条件を附することができる。」

とあり、

同法第33条の7第2項「前項の条件は、認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない」

とあることから、附款であり、認可の前提条件となるものと考えることもできますし、認可後の条件とも考えることができそうです。

癒着

2013年05月13日 12時06分52秒 | 行政法
Aは市長の知り合いということで、市役所のスペースを無料で借りてカフェをオープンさせた。


これに対して、別の企業Bが同じ場所で携帯販売したいからとして、申し込んだ。

これは、そもそもそんなスペースを貸す手続は存在しないため、法に基づいた申請ではなかった。

市長はBの申し込みを不許可とした。




この場合、不許可の取消訴訟は可能なような気がしますが、許可の義務付けは、そもそも許可処分をするための根拠がないけど、義務付けは可能なのかな?
あるいは物理的に無理な場合、競願関係だから認められる?


スペースを貸す手続を規定していた場合、先のカフェに対する不当利得として、使用料の請求をするように、住民訴訟は可能かな。


あるいは、無償で貸したカフェ店への利用許可の取消がいいのか。

しかし、そうなると取消の原告適格は?

うーん、(*_*)

ちょっと考えただけじやわからないですね。

平成20年

2013年05月06日 15時51分10秒 | 行政法
処分性が再度出る可能性が高いみたいなので、平成20年の行政法過去問を解いてみました。

やはり過去問は難しいな。

きっちり答えられなかった。


原告適格は枠組みはしっかりとできるようになったので、怖くはないです。




調査の違法と勧告の違法を区別しないといけないのに、区別ができませんでした。

どうして調査の違法を勧告の取消訴訟で主張できるかは書けました。




平等原則違反は裁量権の問題だと思うのですが、違うのかな。
そうだとしても、実体法の違法?手続法の違法?

法に基づく調査をするかしないかだから、手続法の違法だと思われます。




あと、身分証の拒否は重大な瑕疵?

これを規定した趣旨は、正当な権限を持った人が調査をしているかの確認のためなので、重要ともいえそうですが、違法を主張し得るほどの重大な瑕疵かといわれれば、そうでもない気がしますので、違法事由とはいえないとしました。

公表

2013年05月03日 18時09分25秒 | 行政法
公表は処分性が認められ、抗告訴訟としての差止め訴訟を提起できるか?


公表は、国民への情報提供としての役割と間接的な義務の履行確保としての制裁的公表としての役割とがある。

この公表は、通常非権力的な事実行為と考えられるので抗告訴訟の対象としての処分性が認められない。



勧告の後に公表が認められるという構成になっていたとしても、当該勧告には処分性は認められません。

なぜなら、病院開設中止勧告取消訴訟と異なり、勧告の後の拒否処分ではなく、事実行為としての公表しか予定されていないからです。


過去問には公表と取消処分の両方が規定されていたものがあったように思います。

取消訴訟と義務付け訴訟

2013年05月03日 16時38分04秒 | 行政法
ある処分を不許可とした処分の取消訴訟と併合提起したある処分の義務付け訴訟の大きな違い。


取消訴訟は、ある処分における判断が誤っていたかどうかが審理の対象になるため、当該判断に限定して考慮すれば足りる。

なので、それ以外の判断については、原則考慮しなくてもよいことになります。


一方、義務付け訴訟の場合は、当該判断のみならず、当該不許可処分を行った全ての事情を考慮して、当該許可の義務付けをすることができるかどうかを判断しなければならず、その判断の基礎事情を広く考慮することになります。


これが、処分の理由の差し替えを広く認めるかどうかと関連して問題になります。

情報公開

2013年05月03日 11時58分07秒 | 行政法
情報公開で第三者が、甲の情報を含む情報の公開を求め、行政機関が甲に対して意見書の提出の機会を与え(情報公開法13条1項)、甲が意見書を提出したにもかかわらず、開示決定がされた場合、甲は不服申し立てができる。

この不服申立てに対して却下又は棄却した場合は、甲は取消訴訟を提起できるのか?


不服申立てができること、一方的な開示により、自己の情報を開示されるおそれのある地位に立たされることから、取消訴訟をすることができます。


さらに、開示決定から実施まで最低2週間は置かなければならないため、その期間に取消判決が出ないおそれがあるため、執行停止の申立ても必要でしょう。


最判平成13年7月13日は、那覇市長が情報の一部を公開する決定を行ったため、国が取り消しを求めた事案であり、取消訴訟は当然に認められていました。
この事案は国が取消訴訟を提起できるかも問題になりましたが、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることも理由として、認められるとしています。

学校

2013年05月02日 21時29分41秒 | 行政法
学校での処分には行政手続法の適用はありません。

なので、学校での処分に対して適正手続を欠くというのは得策ではないみたいです。

学校という内部的自治が望ましい場であるため、行政手続法は除外したと考えられそうです。

職員への損害賠償

2013年05月02日 08時51分35秒 | 行政法
長崎市で、市庁舎の壁の色が条例に反するのに、それを業者に指示しなかったため、その色で塗り完成した。
その後、壁を塗り直し、その費用を職員に損害賠償した事件が起こりました。

求償権の行使だと思われますが、当該職員一人の責任とするには、不当かと思われます。

当該しょくいんが所属する職員又は上司等も存在していたはずであり、認識もあったと考えられますので、信義則上、求償権の制限がかかるんじゃないでしょうか。

規制権限の不行使

2013年04月04日 00時20分58秒 | 行政法
規制権限の不行使について、国家賠償請求をすることができます。

これは、具体的事情の下において、権限行使を行政庁に委ねた根拠規定の趣旨、目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められる場合において、違法とすることになる。


そして、この判断は、
①被侵害法益の重要性
②予見可能性
③結果回避可能性
④期待可能性
の有無によって判断します。

行政法の仮の救済手法

2013年01月14日 23時28分20秒 | 行政法
行政法について仮の救済についても論ぜよというのがよくあります。

あれって、取消訴訟の場合の執行停止の申立てと義務付け訴訟の場合の仮の義務付けの申立てが同時にできる場合があるのでしょうか?

執行停止だから、執行の続行や効力の停止しながら、別の処分を仮に義務付けるというのですから、あり得そうですけどね。


今まで見たことはないですね。

行政法判例百選

2013年01月13日 18時15分33秒 | 行政法
去年の10月ごろに出ました。

6年ぶりだそう。古いのは持っていなかったので新しいのを購入。
今回は2分冊。

本当は、事例の関連法令も載せてくれたほうが行政法は勉強になるのですが、無理なんでしょうね。

行政判例百選1 第6版 (別冊ジュリスト 211)

行政判例百選2 第6版 (別冊ジュリスト 212)


ケースブックを持っているので、こちらがメインなのは間違いないですが、択一対策に百選は便利。

ケースブック行政法 第4版 (弘文堂ケースブックシリーズ)

DVD

2013年01月11日 09時52分09秒 | 行政法
THE SHOW 初回盤A (DVD:「RUNNER」ミュージックビデオ+ジャケット&ミュージックビデオ撮影メイキング映像)

台湾ベストアルバム「舞極限~Over The Limit~」(2CD+DVD+直筆サイン入りフォトカードカレンダー+BOX付デジパック仕様 ※ルビ・対訳付)


ブラザー工業 TZeテープ ノンラミネートテープ(白地/黒字)12mm 長さ8m TZe-N231


Hacker Japan (ハッカー ジャパン) 2013年 03月号 [雑誌]

平成20年行政法

2012年12月24日 12時12分57秒 | 行政法
平成20年の行政法の問題は、勧告の処分性が問われています。


似たような話を景品表示法のところで書いています。


流れとしては、本来、勧告は従うか従わないかを相手方の任意に任せるものであり、行政指導といえるため、処分性は認められないとも思えます。

しかし、

本件勧告は、これがなされるとその後に公表や命令、業務停止といった相手方に不利益を及ぼす行政行為がなされるため、重要な役割を果たします。

そして、これによってもたらさられる不利益の影響は、住民の信頼を失い、経営が困難になって、入所者等に多大な負担を掛けることになり、非常に大きいといえます。

また、処分性が認められる命令や業務停止、許可取消などがなされた後に取消訴訟を提起したのでは、当該訴訟の確定まで期間を要し、その間上記不利益が生じるおそれが高いといえ、勧告自体を取り消す必要性が高いといえます。
なお、差止訴訟ができるから、取消訴訟を待たなくてもよいという主張があり得ますが、訴訟要件が厳格であることから認められる可能性は低いため、なお不利益が生じるおそれが高いといえると思います。

そこで、勧告によって、これらの不利益が生じるおそれのある行政行為がなされる可能性があることから、このような地位が直接形成されるものといえ、法効果性が認められ、処分性が認められます。



最後は、法効果性から認められるように書きましたが、従来の法効果性ではなく、相手方の不利益性と処分として取消訴訟を提起させる必要性の点から処分性を認めるといった流れと捉えることもできるかと思います。



そうすると、
形式的には、処分性の定義には当たらない。
しかし、
その後の処分がされる流れの前提となっていること、
処分がされた後の不服申立では救済が十分ではなく必要性が高いこと、
かかる行為を処分として取り消さなければ不利益の程度が大きいこと
などから、処分性が認められる、としているように捉えられるかと思います。





平成17年7月15日の病院開設中止勧告事件を引用しておきます。

「病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができるなくなるという結果をもたらすものということができる。」「病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう『行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為』に当たる解するのが相当である。」

入れ墨

2012年10月16日 01時05分34秒 | 行政法
入れ墨訴訟が提起されたようです。


採用時の信仰等調査事件とか、政党所属調査事件とかが参考になりますね。

後者の事件は、調査は強度でなく、社会的に許容されるから合憲としていましたが今回はどうでしょうか。


入れ墨を入れる自由の保護とこれの回答を強制する自由との争いでしょうか。

市に対して不法行為を争っていますので、プライバシー権の侵害とか、思想・良心の自由とかも問題ですかね。

たぶん、戒告処分は無効になって、損害賠償はもっと少額になるのではないかな。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012101500778


「職員が大阪市を提訴=入れ墨調査は違憲-地裁

 大阪市が市職員を対象に入れ墨調査をした問題で、市が回答を拒否した職員を懲戒処分にしたのは違憲だとして、交通局の男性職員(54)は15日、市を相手に、処分取り消しと500万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 入れ墨調査は5月、教職員を除く約3万4000人を対象に実施された。7月の再調査も含め、これまでに114人が入れ墨があると回答。市は8月、回答を拒否し続けた6人を、職務命令違反として、戒告処分とした。
 訴状によると、職員側は、入れ墨調査は私生活上の自由やプライバシー権を侵害する違憲・違法な行為で、処分は無効と主張。回答拒否を続ければ分限免職の可能性もあると脅され、何度も回答を迫られたとしている。職員は入れ墨はしていないという。」