ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

地震

2012年01月29日 23時00分26秒 | その他
最近はホントに地震が多いです。

今日の地震も自宅で模試をしていたときだったので、結構時間をロスしました。

本試験時に大きな地震が来たら再試験があるのでしょうか?

来る確率はかなり低いだろうから、そのために再試験を予め用意しておくのはかなり無駄な様な気がしますが、危機管理としては作成しておくのがいいとは思います。

刑法各論

2012年01月29日 00時09分30秒 | 刑法
判例六法の刑法各論を読んでいます。

結構知らない判例があることに気付きました。
やるべきことはまだまだありますね。


○所有者が所有権を放棄した物を焼損し、公共の危険を発生させた場合

建造物等以外放火罪


○捜査中の参考人を隠匿した場合

参考人も証拠にあたり、証拠隠滅罪


○取り外し自由な畳を焼損しただけの場合

当該物件を毀損しなければ取り外せない状態にあることが、家屋の一部を構成するものといえる。
現住建造物放火未遂罪


○宿直室とは独立した庁舎であるが、宿直員が巡視するのが通例の場合の庁舎を焼損した場合

宿直室が庁舎と独立した建物でもその庁舎を宿直員が各部分を巡視するのが通例であるので、その庁舎は人の住居に使用する建造物である。
現住建造物放火罪


○証拠を隠匿した場合

隠匿も司法に対する国権の作用を妨害したといえる。
証拠隠滅罪


○法律上正当な権限のない看守者による看守している建物への侵入

住居侵入罪


○正当な理由なく侵入し、退去を求められたが応じなかった場合

建造物侵入罪が成立する以上、退去に応じなくても不退去罪は成立しない。
住居侵入罪のみ

会社法の募集株式発行

2012年01月22日 12時54分40秒 | 商法
公開会社における新株募集株式発行で、有利発行の場合、株主総会の特別決議が必要になります。


有利発行でなければ、取締役会決議により決定が可能であるので、株主の差止請求(210条)の機会付与のために、通知又は公告が必要になりますが(201条3項、4項)、有利発行の場合には、取締役会の決議ができず(201条1項、199条3項)、株主総会の特別決議が必要になります(199条2項、309条)ので、株主総会のための通知によって、これを知らせることができます。

そのため、有利発行の場合は、通知、公告が不要になります。

しかし、株主総会の特別決議をしなかった場合には、株主らは差止の機会が与えられなかったことになりますが、判例は、この場合にも新株発行の無効原因にはならないとしています(昭和46年7月16日)。



しかし、これには下記のように矛盾が生じていないのでしょうか?

差止事由があり、新株発行の公示を欠いた場合は、無効原因になる(平成9年1月28日)。
新株発行の有利発行で、株主総会の特別決議を欠いた場合は、無効原因にならない(昭和46年7月16日)。



後者の場合も差止請求をする機会がないことになるのではないのでしょうか。

有利発行の場合は、通知、公告が不要となります。

とすると、株主らは差止の機会を知りえなかったことになり、株主総会の特別決議を欠いたのに、有効になるのはこれいかに??

判例百選にも特に記載がなかったので、勘違いなんだろうか???

瑕疵担保責任

2012年01月21日 16時34分02秒 | 民法
種類物売買の瑕疵担保責任

①買主が瑕疵の存在を認識したうえでこれを履行として認容するかどうかを基準として、
②履行として認容した場合は、570条の瑕疵担保責任として処理し、完全履行請求は不可
③履行として認容しない場合は、受領後であっても、債務不履行責任として処理する。


現在の種類物売買の判例はこの枠組みのようです。


法定責任を貫徹すると、種類物売買において、
売主は瑕疵のない物を引き渡す義務が課されているから、不完全履行となり、債務不履行責任が発生する。

特定物にのみ瑕疵担保責任は及ぶのであり、種類物売買において、瑕疵担保責任ではなく、債務不履行責任になる。

この点に違いがあります。

黙示の意思の合致

2012年01月15日 23時52分32秒 | 労働法
労働契約において、業務請負などにより、別会社を経由して本会社に労務を提供する場合があります。

この場合に、別会社が労働者との契約を切った場合、労働者は本会社との黙示の意思の合致による労働契約が生じていたとして、本会社との労働者としての地位確認訴訟を提起することができます。


この黙示の労働契約の成立は、
・使用従属関係
・黙示の意思の合致
が必要になります。



労働契約において、
・使用者が労働者に対して賃金を支払う
・労働者は使用者に対して労務の提供を行う
ことが本質的要素です。

よって、別会社との契約ではあるが、労働者と本会社との間に使用従属関係があり、労働者の賃金を本会社が決定し、労働者は本会社に労務を提供しているという関係にあれば、使用従属関係と黙示の意思の合致があるといえることになります。


もう少し具体的には、
労働者が本会社に労務を提供していること、
別会社が本会社の賃金支払代行機関化していること、
別会社と本会社の業務委託に基づく代金が労働者の賃金と連動していること
などが黙示の意思の合致に必要となります。



使用従属関係が認められるだけでは、派遣業などはすべてそのようになってしまうため、黙示の意思の合致が要求されています。

附款

2012年01月15日 20時17分05秒 | 行政法
行政行為の附款には、以下の4種類があります。


・条件
行政行為の効力の発生・消滅を将来の発生不確実な事実にかからしめる附款。

・期限
行政行為の効力の発生・消滅を将来の発生確実な事実にかからしめる附款。

・負担
法令に規定している義務以外の義務を付加する附款。

・撤回権の留保
行政行為をするにあたって、将来撤回することがあることをあらかじめ宣言しておくことを内容とする附款。



附款は、法律が当該行政行為を行政庁に認めた裁量の範囲内になければならない。
条件は、行政行為の効果に直接影響を及ぼすが、負担に反したとしても行政行為の効果に直接影響を及ぼさない。
ただし、負担に反した場合、行政行為の撤回事由となる場合がある。



平成23年の新司法試験論文試験公法系行政法で、通達に附款の効力を認められるかのような問題が出ていたと思います。

ロースクール労働法

2012年01月14日 08時38分18秒 | 労働法
ロースクール労働法の基本問題31問がようやく終わりました。

あとは融合問題8問です。

段々書く内容が見えてきました。

次は労働法の過去問検討です。


懲戒解雇は、懲戒処分と解雇が問題になるのですが、両方とも基準は同じなので濫用法理のあてはめがうまく書けないと説得力がないですね。

労働協約の不利益変更

2012年01月11日 23時02分30秒 | 労働法
労働協約は仕組みがわかりにくいです。


就業規則の不利益変更の合理性判断は、規範性取得要件の充足性判断である。

労働協約は規範的効力は原則承認されるので、労働協約の不利益変更の合理性判断は、労使の労働条件規制権の濫用判断のためである。


そうすると労働協約の不利益変更は、一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど労働組合の目的を逸脱して締結された場合には、規制権の濫用であり、規範的効力を否定すべきである。




また、著しい労働条件の低下を含む不利益変更の場合には、組合員の意思が明示又は黙示の授権や承認によって労使間の交渉過程に反映されない限り組合員全員に規範的効力が及ばないというべきである。

特に未組織労働者の場合には、労働組合の意思決定に関与できず、逆に労働組合が未組織労働者のために擁護する立場にないことから、労働協約によって未組織労働者にもたらされる不利益の程度・内容、労働協約が締結されるに至った経緯、当該労働者が労働組合の組合員資格を認められているかどうか等に照らし、当該労働協約を特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、労働協約の規範的効力を当該労働者に及ぼすことはできない。

ロースクール労働法

2012年01月10日 01時27分24秒 | 労働法
ロースクール労働法はかなり勉強になります。

結構院生の書く答案が事案に即した記述をしていてすごいなぁと思うのですが、解説であまりいい評価を得ていないものもあり、これ以上のことを要求しているのか!?と焦ります。


労働災害のところは結構あてはめが難しいです。


裁判年月日 : 2006年7月10日
裁判所名 : 東京地
裁判形式 : 判決

 (1) 業務起因性の判断基準
 労災保険法に基づく保険給付は、労働者の業務上の死亡等について行われるところ(同法七条一項一号)、労働者の死亡等を業務上のものと認めるためには、業務と死亡との間に相当因果関係が認められることが必要である(最高裁昭和五一年一一月一二日第二小法廷判決・判例時報八三七号三四頁参照)。
 また、労災保険制度が、労働基準法上の危険責任の法理に基づく使用者の災害補償責任を担保する制度であることからすれば、上記の相当因果関係を認めるためには、当該死亡等の結果が、当該業務に内在する危険が現実化したものであると評価し得ることが必要である(最高裁平成八年一月二三日第三小法廷判決・判例時報一五五七号五八頁、最高裁平成八年三月五日第三小法廷判決・判例時報一五六四号一三七頁)。
 ところで、本件で問題となっている虚血性心臓疾患は、前記前提事実(2)イのとおり、基礎となる病変が、日常生活上の種々の要因により、徐々に進行・増悪して発症に至るのが通常であるが、他方で、業務による過重負荷が加わると、急激な血圧変動や血管収縮等を引き起こし、発症の基礎となる血管病変等が自然の経過を超えて著しく増悪して発症する場合もあるとされているところである。そうだとすると、過重な業務によって、著しく血管病変等を増悪させるような急激な血圧変動や血管収縮が引き起こされた結果、基礎疾患の自然的経過を超えて虚血性心臓疾患を発症したと認められる場合に、当該心臓疾患の発症が、業務に内在する危険が現実化したものと評価し、業務起因性を認めるのが相当である。これを本件に則し換言するならば、太郎は、直ちに心筋梗塞を発症するような状態になく、本件作業に従事しなければ相当期間にわたり生きることができたのに、本件作業に従事したことにより既存の基礎疾患を急激に増悪させて心筋梗塞を発症したものというのか、それとも、太郎は、いつ心筋梗塞を発症してもおかしくない状態にあり、本件作業後に発症したのは偶然でしかないというのかによって決定されることになる。すなわち、前者であれば業務起因性が肯定され、後者であれば否定される。本件はいずれであるのかについて、以下検討を進めることにする。〔中略〕
 (ウ) 小括
 以上みてきたとおり、本件作業は、「異常な出来事」に直面した大きな精神的負荷の下に行われた、日常業務とは異なる重負荷の作業であり、それ自体、著しく血管病変等を増悪させるような急激な血圧変動や血管収縮を引き起こし得る業務であったと認めることができる。すなわち、太郎は、本件当日、直ちに心筋梗塞を発症するような状態にはなく、本件査察の連絡を受け、本件作業に従事しなければ相当期間にわたり生きることができたのに、本件作業に従事したことにより既存の基礎疾患を急激に増悪させた結果、心筋梗塞を発症したものというのが相当である。〔中略〕
 エ 小括
 以上の検討結果によれば、太郎は本件当日当時軽症ないし中等症の高血圧症及び左右冠状動脈の動脈硬化という基礎疾患を有するとともに、喫煙習慣があったことが認められるものの、本件当日当時かかる基礎疾患等が自然的経過の中で心筋梗塞を発症するほどの進行状態にあったということは困難である。むしろ、太郎は、本件当日の消防署の査察による精神的負荷の下において行われた本件作業が、著しく血管病変等を増悪させるような急激な血圧変動や血管収縮を引き起こし得る業務であったことにより、太郎の冠状動脈内において粥腫の破綻あるいはスパズムによる冠状動脈閉塞を引き起こし、前記基礎疾患等の自然的経過を超えて心筋梗塞を発症させたものとみるのが相当である。すなわち、太郎は、本件当日、直ちに心筋梗塞を発症するような状態にはなく、消防署から本件査察の連絡を受け、本件作業に従事しなければ相当期間にわたり生きることができたのに、本件作業等に従事したことにより既存の基礎疾患を急激に増悪させ、その結果、心筋梗塞を発症したものと認めるのが相当である。よって、本件においては業務起因性があるというべきである。
 三 結論
 以上によれば、太郎の死亡が業務に起因するものではないことを前提にして行われた本件処分は違法であり、その取消しを求める原告の請求は理由があるのでこれを認容することとし、主文のとおり判決する。

出張時

2012年01月09日 09時48分28秒 | 労働法
出張した場合の扱い。


出張した場合に、出張手当がつく場合、それは時間外労働の見込みも含まれ、残業をしなかった場合にも出張手当が出るため、残業をした場合にも出張手当で補うという規定がある場合、これは有効なのか?


出張すると、昼食代、お茶代、残業すると夕食代が掛かります。
普段は弁当持参や社員食堂などでしたら、全部本来の業務では掛からない出費という扱いでしょう。

また、出張手当も残業代込み概算はおかしな話です。
かといって、実費精算にすると、事務処理が相当手間がかかり、そのための人件費も掛かってくるでしょう。

このあたりは、労働組合との労使協定、労働協約、就業規則などで補うのでしょうかな。


また、海外出張に関しては、土曜日に出発して日曜日に到着、月曜から金曜まで仕事をして、土曜日に現地を出発し日曜日に日本に到着した場合、代休などは一切なく、月曜日から通常出勤になります。

移動時間は労働時間とみなさないのが判例、通説のようですので、このような方法が一般的なようです。

客観説に立ち、使用者の指揮命令下にあるかどうかで判断すれば、移動時間中は寝ていても本を読んでいてもテレビを見ていてもいいことになるので、指揮命令下にないという扱いなんでしょう。

配転命令

2012年01月08日 23時55分05秒 | 労働法
労働法の配転命令の問題。


配転命令権の濫用

1 配転命令権自体が存在するか?

労働契約上根拠づけられていることが必要であり、就業規則や労働協約の定めにあればよく、会社の必要性と合理性があればよい。

2 配転命令権が存在していても濫用となるか?

配転命令権があってもそれが権利濫用となるのであれば、無効となる。

不当な動機、目的によって命令する場合
必要がない場合
労働者が通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負う場合

この場合には無効になる。

3 配転命令権が有効な場合でも懲戒解雇は有効か?

配転命令権が有効であり、労働者が拒否した場合、懲戒解雇ができるかどうかは別問題である。

懲戒権を行使するためには、懲戒事由が明文化されていることが必要。

懲戒事由に該当しても、処分の相当性が問題になる。

客観的に合理性を欠き、社会通念上相当といえない場合には、懲戒解雇も権利濫用法理(労働契約法15、16条)になる。

懲戒解雇は、懲戒権の濫用と解雇権の濫用の双方が適用される。

退職金不支給

2012年01月07日 00時48分27秒 | 労働法
小田急電鉄事件の判旨を参考に懲戒解雇による退職金不支給事件の流れ。


1 懲戒解雇の相当性
懲戒処分は、企業側に企業秩序定立権があり、労働者は労働契約によって当然に企業秩序遵守義務を負う。
そして、労働者が企業秩序遵守義務違反行為をした場合には、使用者は懲戒処分をすることができる。

もっとも、懲戒処分は労働者の不利益となるため、客観的に合理的であり、社会通念上相当と是認されなければならない(労働基準法15条)。

まず、就業規則に懲戒事由が明示してあり、その内容が必要性、合理性を満たせばよい。

本件、労働者の企業秩序違反行為が懲戒事由に該当するか。
該当するとしても、その行為に対する処分が相当であるかどうかを判断する。

そして、懲戒解雇の場合は、労働者に著しく不利益を及ぼすため、その処分の相当性が厳格に認められなければならない。

2 退職金不支給の一般的判断基準
退職金は、退職金規定によると、功労報償的な性格を有するが、賃金の後払い的な性格を有し、労働者の退職後の生活保障の意味合いも有する。
また、退職金規定により、支給条件が明確に規定されている場合には、賃金の後払い的性格が強いといえる。
当該退職金に対し、労働者がこれを見込んで生活設計を立てるのが通常であり、不合理な期待とはいえないため、期待をはく奪するには、相当の合理的理由が必要である。

3 具体的基準
退職金全額を不支給とするには、労働者の永年の勤続の労を抹消してしまうほどの重大な不信行為があることが必要である。
強度の背信性があるかどうかで判断すべきである。
私生活上の行為といえる場合には、会社との関係が薄くなることが考えられるため、会社に対する名誉信用が著しく低下させたなどの特段の事情が無い限り、退職金全額不支給は認められないと考える。

賃金

2012年01月05日 00時33分27秒 | 労働法
労働基準法4条11条の賃金は、
労働の対価として支払われるものであるが、各種手当も実質的に判断する。

就業規則や労働契約で決まったものか
支給条件が明確に定まっているか
使用者に支払い義務があるか

これらを総合的に考慮して判断する。

家族手当、扶養手当は賃金に当たる。

任意的恩恵的に認められる場合には、使用者の裁量に委ねられるものであるから、賃金には当たらない。


手当が賃金に当たるというのは、通常の考えだと当たらないように思えます。
通勤手当は労働者負担であるものが賃金として支給されているといえるのも通常の考えに反すると思えます。


通勤手当を上述の考慮要素に当てはめると、
就業規則や労働契約で定められていれば、
支給条件が明確に定まり、最短距離の定期券とされているなどの定めが通常あり、
就業規則等に定められているのであるから、使用者が支払う義務を負っているといえる。

よって、任的恩恵的給付ではないため、賃金に当たる。