ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

新しい概念

2011年12月31日 00時28分38秒 | 論文
インターネットが発達して、色々な問題が浮き彫りになってきています。

たとえば、

電子カルテをクラウド上に存在させようとしていること、

電子マネーを使用することで、いつ、どこで、誰が、何を、何と一緒に買った、という情報がマーケティングとしてどんどん蓄積されていること、

遺伝子情報の解明が進み遺伝子情報の秘匿性が問題になること、

図書館に保存している個人情報が漏えいしたこと、

遠隔で手術をしている最中にサイバー攻撃があれば、どのような被害とどのような犯罪になるのか、

オークションの落札後、金額を業者に渡す、仲介業者(エスクロー業者)が存在し、落札者と金銭の取引を直接しない場合の法律関係は、供託の民間業者が請け負うこと、

裁判員情報が漏えいしたがこの場合の過失はどの程度の義務違反として認められるのか、

集合知という概念が流行しているが(口コミやTwitterのようなもの)、これに対する虚偽情報、誇大情報による誘導が詐欺に当たるか、業務妨害に当たるか、

電子ブックが流行してきているが、著作権問題との関係でどうなるのか、

著作物の公衆送信可能化権に対する侵害が規定されたこと、

ウィルス作成罪が規定され、施行されたが、いかなる構成要件となるのか、

まだ、施行されていないが、電気回線で接続された遠隔地のデータを差し押さえる刑訴法の改正もある。



刑訴法改正案抜粋
「第九十九条第一項の次に次の一項を加える。
○2  差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
第九十九条の次に次の一条を加える。
第九十九条の二  裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。
第百六条第一項中「差押又は捜索は、差押状」を「差押え、記録命令付差押え又は捜索は、差押状、記録命令付差押状」に改める。」
参照
刑訴法改正案






試験問題としては、刑法で電子マネーが絡む問題とか出たら嫌だなぁ。

裁判員裁判の情報取扱いへの罰則とか、国民背番号制に関する問題が憲法で出るとか。

今年のストリートビューのように時事問題なら、ファイル共有ソフトのパケットフィルタリングと通信の秘密とか、迷惑メールの規制と表現の自由とか。

規制に対する違憲主張

2011年12月30日 23時19分46秒 | 憲法
規制が問題になるときは、一つの権利が問題になるのではなく、複合的に問題になることが多々あります。

そこで、当該規制が誰のどのような権利をどのような態様でどの程度制約しているのかを具体的、複合的に考える必要があります。

これが、当該規制の持つ仕組み解釈になるかと思います。

憲法の問題、行政法の問題はいずれもこの仕組み解釈が重要なのでしょう。


答案を書く際に気を付けたいと思います。


初めに、
当該規制は、○○の○○という権利を制約しているため、違憲ではないか。
としつつ、具体的に書き始める。
当該規制は、○条による…。

法令違憲

2011年12月30日 12時14分37秒 | 憲法
法令違憲のアプローチ

文面審査と目的手段審査がある。


文面審査は、検閲、事前抑制禁止、過度の広汎性、漠然性。

目的手段審査は、LRA、必要最小限度、合理的関連性


また、法令違憲には、
1.全体を違憲とする場合
2.特定の条文を違憲とする場合
3.当該適用されている条文を違憲とする場合
がある。


2.は特定の条文が当該事案に適用されているものでなければ、原告適格(違憲主張適格:スタンディング)が問題になる。

ただし、法令違憲については、第三者の権利侵害の主張は原告適格が問題になるが、法令自体が問題になっているのであるから、原告適格は問題にならないと考える。

伝聞法則

2011年12月30日 01時19分09秒 | 刑訴法
伝聞法則は、法律的関連性の問題です。

これは、類型上、誤判のおそれがあることですので、証拠から排除しようとする趣旨から、有名な論証が出てきます。


そして、どのような場合に排除する必要があるかというと、当該証拠から立証しようとしている事実が推認できない場合に誤判のおそれがあるからだと考えられます。

そのため、提出された証拠が何のために立証しようとしているのかという立証趣旨が重要になってきます。

通常は、犯罪構成要件該当事実だと考えられますが、それ以外の場合もあり得ます。


そして、当該証拠がどのような事実を推認できるか、その事実を合理的に考えて推認できるなら非伝聞に、推認できない場合には伝聞証拠として排除すべきことになります。


第4回の試験で出た死体遺棄事件について、立証趣旨は、物理的に一人で自動車を海中に沈めることが可能であったかどうかです。

その写真及び供述がその事実を推認できる場合には非伝聞、推認できない場合には伝聞とするという区別が考えられます。


真実性の有無ではなく、写真からどのような事実が推認できるか、です。

もちろん、立証趣旨が真実性の有無として問題になる場合には、その区別で判断します。



判例にあった、立証趣旨に裁判所は拘束されないというのは、当該証拠から立証趣旨が推認できない場合に、拘束されるのかどうか、という話だったかと思います。

警察署で痴漢の再現を男性同士で行ったという写真から、実際に痴漢をし得たかどうかというのは、推認としては合理的ではないので、当該立証趣旨に沿った事実を推認することができないが、他の事実を推認することはできないか、という問題です。


ちょっと、まだ理解不足ですが、このように考えないと、現場指示と現場供述、立証趣旨と証拠との関係が不明確になるような気がします。

裁判員情報漏えい事件

2011年12月29日 22時47分23秒 | 憲法
裁判員情報が漏えいする事件が発生しています。

加害者の人権は厚く保護するのだから、被害者及びその関係者の人権も厚く保護すべきでしょう。

加害者が弁護士の場合も厚く保護するのでしょうか?


懲戒処分の対象でしょう。
慰謝料も通常の個人情報よりも当然厚く支払うべきでしょう。

何をやってんだか。


セキュリティ意識が低いのが弁護士か、と言われないように、来年合格したらセキュリティ専門家としての意見を弁護士業界にも反映していきたいと思います。

労働法講座終了

2011年12月28日 15時55分41秒 | 労働法
労働法講座がようやく終了。

かなり判例百選も潰せたし、大枠もつかめました。

ものすごいスピードのような気がしましたが、それほど難しいとは感じませんでした。

行政法の方がまだまだ不安です。


ロースクール演習 労働法を買ったので、これを見ながら解いていく作業も進めます。

大成観光事件(労働法)

2011年12月28日 09時36分15秒 | 労働法
大成観光事件のリボン闘争というのがあります。


高級ホテルでの団体交渉において、賃上げ要求をしたが拒否られたため、リボン闘争に入った事案。


この判決では、本件リボン闘争は組合活動であり、争議行為ではないという認定をして、労働組合の正当な行為ではないとしました。

伊藤正巳裁判官の補足意見は、以下のとおり。

リボン闘争すべてが争議行為ではないとはいえないが、一般的にはリボン闘争は争議行為に当たらず、本件も争議行為ではなく組合活動である。

組合活動ととらえた場合に、就業時間中に組合活動を行うことが許されるのか。

一般に、就業時間中の組合活動は、使用者の明示又は黙示の承諾があるか労使慣行として認められているかの場合にのみ許され、職務専念義務に基づくものである。

職務専念義務は、厳しく考えるとすべての活動力を職務に集中し、就業時間中は職務以外のことは一切注意力を向けてはならないとすることは、労働者は全人格的に従属することになり、妥当でない。
そこで、職務専念義務は、労働契約に基づきその職務を誠実に履行しなければならないという義務であり、この義務と両立し、使用者の業務を具体的に阻害することのない行動は、違背しない。

職務専念義務に違背するかどうかは、使用者の業務や労働者の職務の性質、内容、当該行動の態様などを考慮して判断する。



ちょっと長いですが、わかりやすい流れです。

まとめると、

本件リボン闘争は、組合活動か争議行為か?
↓組合活動
就業中行うことは許されるか?
↓職務専念義務に反しないならば許される場合がある
どのような場合か?

労働契約に基づきその職務を誠実に履行しなければならない義務
この義務と両立し、使用者の業務を具体的に阻害することのない行動なら許される。
具体的には、使用者の業務、労働者の職務の性質、内容、当該行動の態様などから判断すべき。





一般的に、リボン闘争は争議行為とはいえないとしても、本件のように団体交渉が決裂したためにリボン闘争に入った場合には、争議行為とみなされる一面もあるのではないでしょうか?

本件が組合活動であって、争議行為ではないというのなら、リボン闘争が争議行為に当たるのはどんな場合なんでしょう?





高級ホテルの従業員が接客時にリボンを着けていたら、客としては嫌だなぁと思います。
客に対してアピールしてもそれは客側としては何の意味もない。

間接的にホテルの名誉や価値を傷付け、それを回避する狙いであって、将来的にもホテルのためにはならない。

客は使用者とはかかわりがなく、ただの被害者的な立場になります。
同じお金を払っているのに、この活動以外に泊まりに来た人は通常の接客だったのに、この活動期間中だったために、リボンを着けた方に接客されるのは納得がいかないでしょう。

自分が客として泊まりに行ったら、今日じゃない日にしてくれよ、とか、客じゃなく幹部と話し合えよ、と思うと思います。
間違ってもがんばれよとは思いません。思う人は同業者でしょう。

手形小切手

2011年12月26日 18時53分18秒 | その他
旧司をやっていたので、長い間、手形小切手法を勉強していました。

手形行為独立の原則とか、利得償還請求とか抹消とかかなり覚えましたが、今は商法短答と会社法論文でチラッと出るくらいです。

さらに、行政法、民事実務基礎と刑事実務基礎と選択科目を新たにマスターして、新司に臨む必要がありますので、かなりいばらの道ですかね。

しかし、借金はないですし、不要科目の勉強をしなくて良いのは楽でしょうか。


といっても、仕事で覚えること、こなすこと、やるべきこと、対応すべきことは、山のようにあります。

英語の資料にプログラミング、パケットデータにプレゼン資料作成と発表です。


ま、楽しんでやってます。


最近の座右の銘は、
できる人は希望を語り、
できない人は不満を語る。


来年は仕事しながら新司に合格するぞー。

団体行動

2011年12月25日 23時10分05秒 | 労働法
労働法の団体行動は、争議行為と組合活動に分けられます。

どちらも団体交渉を機能的なものにするために法的保護が与えられています。

しかし、争議行為は、経済的圧力をかけ、団体交渉における労働者の立場を強化し交渉することを目的としていますが、組合活動は、労働組合の団結権を保持、強化し、組合の一体性・組織力を確保することを目的とすることの違いがあります。

そのため、保護の要件が異なるという特徴があります。

争議行為の法的保護

2011年12月25日 23時04分10秒 | 労働法
憲法でもやった争議行為の法的保護。


刑事免責は、労働組合法1条2項本文に、刑法35条の規定は、争議行為の目的(団体交渉を実効性のあるものにするため)を達成するためにした正当なものについて適用があり、違法性が阻却される。


民事免責は、債務不履行や違法行為の違法性が阻却される。


不利益取扱いからの保護(労働組合法7条1号)

労働法講座

2011年12月25日 22時51分26秒 | 労働法
労働法の講座があと少しで終わります。


不当労働行為の当たりが、労働組合に不利だなぁと思いました。


労働委員会の命令(交渉命令)があったからといって、会社は何かペナルティがあるのかな?
勧告とか公表とかあるのだろうか。

そういうのがあると、この企業はブラック企業とのレッテルを貼られてしまうので、企業価値が下がるというのはあるか。

しかし、公開会社でなければ、特段影響はないような。


不法行為として損害賠償請求もできますが、実損害はほとんどないでしょうから、それほど会社にとっては痛くないし。

やはり実効性を担保するための罰則があるのがいいんでしょうけど。


ちなみに、この労働委員会の命令は行政処分だから取消訴訟ができますね。
また、裁判所が救済命令を認めた場合には、それに反する行為をすれば罰則がありますね。