ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

第2版 デジタル証拠の法律実務Q&A

2023年11月01日 08時44分01秒 | 刑訴法
初版が出てから、かなり時間が経っていますが、第2版が出たようです。
第2版 デジタル証拠の法律実務Q&A

第1章 デジタル証拠とは何か
Q1 デジタル証拠とは何か
Q2 デジタルデータの特性
Q3 情報化社会とデジタル証拠
Q4 デジタル証拠の注目事件
Q5 国内での議論の動き
Q6 海外での議論動向

第2章 司法のIT化を推進する法改正と実務
Q7 司法分野のIT化の全体像
Q8 民事裁判IT化改正法の概要
Q9 訴状のオンライン提出やシステムによる送達等
Q10 ウェブ会議等による争点整理手続や口頭弁論、証拠調べ
Q11 電子データの証拠調べと法定審理期間訴訟手続
Q12 訴訟記録の電子化と閲覧
Q13 民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等のIT化
Q14 ODR
Q15 刑事手続のIT化

第3章 デジタル証拠の技術的側面
Q16 デジタルデータ保存の仕組み─ファイルシステム
Q17 メタデータとは何か
Q18 ログファイルとは何か
Q19 デジタル・フォレンジックスとは何か
Q20 デジタル・フォレンジックスの標準化の動き
Q21 消去されたデータ復元のプロセス
Q22 携帯電話・スマートフォンのデータ復元
Q23 デジタル証拠と暗号化技術
Q24 デジタル署名・デジタル証明書と電子識別(eID)のプロセス
Q25 タイムスタンプとは何か
Q26 ブロックチェーンとは何か
Q27 パスワードの解析とは
Q28 司法とAI

第4章 デジタル証拠の保全・収集・分析
Q29 デジタル証拠の収集上の留意点
Q30 電子メールの特徴と証拠収集
Q31 ウェブサイトの特徴と証拠収集
Q32 ソーシャルメディア、ビジネスチャットの特徴と証拠収集
Q33 ブロックチェーン(分散式帳簿)技術の法的位置づけ
Q34 電子署名による契約書の作成 / いわゆる立会人型の契約プラットフォーム
Q35 タイムスタンプ

第5章 デジタル証拠の民事訴訟実務
Q36 デジタル証拠の証拠能力
Q37 デジタル証拠と原本
Q38 デジタル証拠の真正性と形式的証明力
Q39 デジタル証拠の証明力と裁判例
Q40 デジタルデータを対象とする電磁的記録提出命令
Q41 画像・録音・動画データの取扱い
Q42 電子メール証拠提出及び証拠の認否
Q43 ネット上の名誉毀損─プロバイダへの削除等の請求
Q44 ネット上の名誉毀損─発信者への損害賠償請求等
Q45 残業代未払労働審判とデジタル証拠
Q46 電子カルテ情報の改竄と入手方法
Q47 医療訴訟における画像データの取扱い
Q48 システム開発訴訟におけるベンダの債務不履行責任の立証
Q49 退職者による営業秘密漏えいの防止策
Q50 テレワークにおける被用者管理の法と実務
Q51 ドキュメントレビューとその利用

第6章 デジタル証拠の刑事訴訟実務
Q52 刑事手続と民事訴訟の相違点
Q53 社会のデジタル化の刑事手続への影響
Q54 デジタル証拠の強制収集手段
Q55 暗号技術への対応と越境捜索
Q56 新しい捜査手法とプライバシー保護
Q57 デジタル証拠と保管の連鎖(Chain of Custory)
Q58 デジタル証拠の証拠開示とセキュリティ
Q59 デジタル証拠の提出方法と証拠能力
Q60 デジタル証拠の証明力と裁判例
Q61 刑事手続における画像解析
Q62 デジタルデータの没収と法改正

DNA

2013年09月28日 00時10分54秒 | 刑訴法
先日、テレビで海外の論文でショッキングな報告があったと発表されていた。


人のDNAは同じものはまず無いということで、人物を特定するために鑑定などに利用されています。
しかし、ある一定の人は、別の人と同じDNAを持つ場合があるそうです。

双子とかではありません。


それは、内臓移植や男の子を出産した母親です。

今までのDNA鑑定などは、時間が掛かっていたため、一部のDNAと一致するかどうかを確認していました。
しかし、鑑定の速度が速くなり、同じ人でも複数のDNA鑑定をすることができるようになりました。
そのため、発覚した問題だそうです。


内臓移植をすれば、他人のDNAがその人の体の一部になります。
そのため、何らかの被害に遭い死亡した後、司法解剖でその内臓のDNA鑑定をしたら、本来の人とは別の人のDNAと一致することになります。

また、男の子を出産した母親の胎盤の一部は、本来女性は持たないY性染色体が含まれていたそうです。それは、男の子を形成する際に移転したと考えられています。


さらに、今後調査が進めば、例えば輸血を受けた人とか、顔にプラセンタ注射として人間の胎盤等を注射した場合には他人のDNAが体の一部に含まれる可能性があります。

そして、その複数のDNAによって衝突が起き、病気を引き起こす可能性があるそうです。

捜索

2013年04月27日 23時33分59秒 | 刑訴法
事例研究類似の問題


甲は自転車を盗んで乗って走っているところを、警察官に呼び止められた。

警察官は盗難自転車であると確信したが、現行犯逮捕をするか検討のために、職務質問を続けていた。

その際に甲は手に持っていたものを捨てようとしたため、警察官は提示するように求めたが、甲はこれを拒否して上着のポケットに入れた。

警察官は上着のポケットに手を突っ込み中にあったものを取り出したところ、白色粉末が入ったビニールの小袋であった。

そこで、警察官は甲を自転車の窃盗で(準)現行犯逮捕した。

その後、ビニールの小袋に入った白色粉末の任意提出を受け、調べたところ、覚醒剤であった。



この問題は、所持品検査の行為が捜索に当たることは間違いないが、逮捕に伴う捜索・差押えとして、適法にならないかという問題も含んでいるように思います。


逮捕する場合は、逮捕する前であっても捜索・差押えが可能です。

先に現行犯逮捕して、逮捕に伴う捜索・差押えで上着のポケットに手をいれることも、他に窃盗の被害品が無いかを調べる目的として許容されると考えられます。

これが、先に捜索・差押えをして、これを適法にするために現行犯逮捕したような場合は、どうなのでしょう?
要件はそろっていますので、まるで、別件捜索・差押えみたいです。

勾留の要件

2013年03月17日 22時52分57秒 | 刑訴法
勾留の要件のまとめ。


1 逮捕前置主義
→適法な逮捕が必要
・時間厳守、その他の手続


2 勾留の理由
2-1 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(207条1項、60条1項柱書)
2-2 各号のいずれかを満たす
2-2-1 定まった住居を有しない(1号)
2-2-2 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当の理由(2号)
①罪証隠滅の対象
事実の認定根拠となる証拠かどうか
②罪証隠滅の態様
証拠の毀損や人証への危害、虚偽の誘引など
③罪証隠滅の客観的可能性
対象物がどこにあるか、対象者が誰か、対象者、物の場所を知っているか
④罪証隠滅の主観的可能性
過去に隠滅のおそれを画策したことがあるか、既に自白をしていないかなど
2-2-3 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由
①安定した生活か、②犯罪の重大性、前科の存在等


3 勾留の必要性(207条1項、87条)


4 勾留質問(207条1項、61条)

捜索・差押の範囲

2013年03月10日 09時34分03秒 | 刑訴法
基本的な問題だと思っていましたが、難しいです。


難しいと考えているのは、102条2項の条文です。


被疑者以外の第三者の身体、物又は住居その他の場所について捜索する場合には、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り許容されます。



甲を被疑者とした場合

■事例1
被疑事実を覚せい剤所持罪、被疑者を甲、捜索場所を甲宅とする捜索差押許可状が発付された。

事例1-1
警察官が踏み込んだ際、甲が隣家へ覚せい剤を投げ込んだ。

この場合、隣家へは、差押えるべき物を現状に回復するために、許可状の執行に必要な処分(222条1項前段、111条1項)として許容されると考えられます。


事例1-2
警察官が踏み込んだ際、同居人乙が覚せい剤を衣服に隠匿した。

この場合、同居人乙は、第三者に当たるが、第三者が隠匿所持していると疑うに足りる相当な理由があり、必要性があり、緊急性が認められるには、許可状の効力が及ぶ。
ただ、これを必要な処分とするのか、102条2項によるのかよくわかりません。


事例1-3
警察官が踏み込んだ際、たまたま居合わせた丙が覚せい剤を衣服に隠匿した。

事例1-2と同じだが、同居人でないことに配慮すべき。
ただ、これを必要な処分とするのか、102条2項によるのかよくわかりません。


事例1-4
警察官が捜索中に室内にあったメモには、3軒隣の家に覚せい剤を預けた旨が記載されていた。

事例1-1に似ているが、102条2項の差押えるべき物の存在する蓋然性が必要になるが、3軒隣の家に捜索しに行くことができるかは、疑問。別途許可状が必要な気がする。


事例1-5
甲宅は、マンションの201号室であったが、警察官が捜索中に室内にあったメモには、701号室の乙宅に覚せい剤を預けた旨が記載されていた。

この場合も、差押えるべき物が存在する蓋然性が必要になるが、701号室の乙宅は別途許可状が必要な気がする。



■事例2
被疑事実を覚せい剤所持罪、被疑者を甲、捜索場所を甲が間借りしているK宅2階の甲居室とする捜索差押許可状が発付された。

事例2-1
警察官が踏み込んだ際、甲が甲居室の隣の部屋に覚せい剤を投げ込んだ。

事例1-2と同様、必要な処分として許容される。


事例2-2
警察官が踏み込んだ際、甲がKが覚せい剤を衣服に隠匿し、甲居室の隣の部屋に逃げた。

この場合も事例2-2と同様であるが、第三者たるKの衣服を捜索するためには、102条2項の差押えるべき物の存在する蓋然性が必要である。


事例2-3
警察官が捜索中に甲居室内にあったメモには、K宅1階の部屋に覚せい剤を隠している旨が記載されていた。

102条2項の差押えるべき物の存在する蓋然性が必要である。



102条2項の適用によってどこまで捜索場所が拡張されるのかがよくわかりません。
事例1-4で3軒隣なら不可のように思われますが、隣の家に預けた、なら許容されるようにも考えられますが、この区別の根拠は難しいです。

この場合、いずれもダメだとすれば、102条2項の範囲は、「住居その他の場所」としているのはどう考えるのかが難しいです。
同じ建物だけど、別の部屋ならいいとか?
あるいは、本件の甲宅が捜索場所だったが、差押えるべき物が存在する場所が甲の車の中だったとかでしょうか?



この問題と関連してややこしいのが、220条1項2号の逮捕に伴う捜索差押で、相当説を取った場合です。
この場合、上記事例で同様に考えるのか、もっと限定するのかがよくわかりません。


甲の逮捕令状が発付された。
甲がK宅に逃げたため、警察官はK宅に入って1階居間で逮捕した。
K宅には甲が間借りしている2階居室がある。逮捕に伴う捜索差押として2階居室を捜索できるか?

また、K宅に甲が間借りしていない場合、K宅には甲が預けた金庫がある。
甲を逮捕したことによって、この金庫を逮捕に伴う捜索差押として捜索できるか?


本来、逮捕の現場は、その管理権が及ぶ範囲に限定されます。
上記事例の場合は、K宅であるため、Kの管理権が及ぶ範囲になります。
しかし、K宅2階甲の居室は甲の管理権があり、Kの管理権は無いと考えられます。
しかし、被疑者は甲なのに、甲の居室を捜索できないのは疑問です。



去年の新司法試験の問題で、T社で乙を現行犯逮捕した場合、乙のロッカーを捜索できるか、という問題がありました。
この問題、いまだによくわかりません。

令状

2012年12月03日 13時53分11秒 | 刑訴法
覚醒剤取締法違反での令状請求において、捜索場所を都内の○○というフロア、及びその場所に在所する者、差し押さえるべき物に覚醒剤等とする場合に、問題となるのはどの点でしょうか?



捜索場所の特定が要求された趣旨から考えるといいようです。



特定性が要請されているのは、令状裁判官が令状を発付するかどうかの段階で「正当な理由」があるかどうかついて判断するために必要不可欠で重要な役割を果たすからである。

とすると、上記のような令状が認められる場合は極めて例外的な場合に限ってのみ認められることになりそうです。


例えば、その場所に所在するすべての者に捜索の正当な理由を認める必要がある場合など。つまり、全員が覚醒剤を所持しているような特別な場合でしょうか。

任意処分

2012年11月26日 23時42分20秒 | 刑訴法
事例演習刑訴法を始めました。


職務質問における停止は、身柄拘束に至らないが強制にわたる場合は許されない。


また、所持品検査についても、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、許容される。

なので、捜索に至らない行為でも強制にわたるならば許されない。


さらに、短時間における強度の強制力による停止は身柄拘束に至らないが強制にわたるといえ、許されない。



この流れから、
停止は、
第一段階:身柄拘束に至る=違法
第二段階:身柄拘束に至らないが強制にわたる=違法



所持品検査は、
第一段階:捜索に至る=違法
第二段階:捜索に至らないが強制にわたる=違法



同様に、無令状による処分は、
第一段階:強制処分に至る=違法
第二段階:強制処分に至らないが任意処分の限界を超える=違法

別件逮捕

2012年02月25日 11時45分27秒 | 刑訴法
別件逮捕は、身柄拘束であるから、身柄拘束に関する問題でなければなりません。

そのため、別件逮捕時の余罪取調べの可否の話が出てくるし、両者の軽重、別件の捜査状況という話が出てきます。


もともとの逮捕が本件の捜査を目的としたものではなく、本件の逮捕と同視できるかの点から論じなければならないため、別件逮捕の時に、捜索差押えをして本件の資料収集をすることは、別件捜索差押えであり、別件逮捕ではありません。

そのため、別件逮捕かどうかは、身柄拘束を利用して本件についての余罪取調べ状況を考慮したかどうかが最も重要な点になります。


違法な捜索といえるからといって、別件逮捕につながるためには、違法な捜索が違法な身柄拘束に結び付くかどうかが重要になると思います。


この辺りが私は混同していました。

警察の対応

2012年01月03日 21時56分14秒 | 刑訴法
今回の平田被疑者に対する警視庁前で守衛をしている警察官は何をやっていたんだろうか?

手配写真も配られているし、駅とかのあちこちに手配写真を貼りまくっているのに、自分らが判明できないなら一般人ならもっと判明できないでしょって言われかねないよ。

今回の事件によって、記憶テストとか指名手配犯確認テストとかが課せられるんじゃないのかな。


自転車が盗まれたと盗難届を出しに行ったら、住所、氏名、年齢、職業、置いていた時間帯、何をしていたか、など、根掘り葉掘り聞かれるそうですが、これらの情報は間違いなく警察の手元に存在します。
とすると、被害者なのに情報として保管され、何かあったときは照会されるでしょう。

被害者なのに、今後の事件捜査に活用されます。


これってなんていう罰ゲーム?になりませんか?



空き巣に入られた時も、被害者は犯人との指紋の区別のため、家族全員の指紋を取られます。
これも当然指紋データベースとして登録されます。拒否権はありません。

やはり罰ゲーム並みの気分です。

平田被疑者出頭

2012年01月02日 15時17分29秒 | 刑訴法
平田被疑者出頭の意味について検討してみます。


刑訴法475条2項但書の
「但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、その期間に算入しない。」
というのがあります。


この共同被告人に平田被疑者が当たるから、確定するまでは教祖たる松本被告人が死刑執行が延長されるという話を聞きました。


条文を読んでみて、本当にそうなんでしょうかね?


正確に記述するため、国語辞典の引用をすると、
「被告人を異にする二つ以上の刑事事件が併合審理されるときの数人の被告人をいう。」
という意味です。

すなわち、併合審理していなければ、共同被告人足り得ないことになります。


平田被疑者はまだ公訴されていませんから、被告人でもありません。

もしいうなら、共同正犯者でしかないと思います。


というわけで、別の意味があったのではないかと思います。

死刑に当たる罪を犯した者への時効が撤廃されたので、逃亡生活に区切りを付けたかったとか。

#これは憲法39条前段との関係で問題となるが、手続的変更であることから、遡及効は認められると考えます。



この条文で2項本文のことを初めて知りました。

刑訴法475条1項
「死刑の執行は、法務大臣の命令による。」
2項本文は、
「前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。」
とありました。

ただし、この2項は、
「法的拘束力のない訓示規定であり、法務大臣が6箇月以内に死刑執行の命令をしなかったとしても違法の問題は生じない」(東京地裁判決平成10年3月20日)
っていうのもありました。