2011年12月25日、小田原市民会館大ホールで行われた「カルテット・スピリタス」クリスマスコンサートのために、さまざまなボランティアの人々が準備段階の企画からこの日の運営まで動いていた。
その人々とは、「小田原文化サポーター」という小田原の芸術文化振興を支援する市民ボランティアグループやこの公演の主催者「音楽の種を蒔く会実行委員会」(座長芹川明義氏 事務局小田原市文化部文化政策課文化政策係)など。
前列「音楽の種を蒔く会実行委員会」メンバー及び小田原市文化政策課職員と後列「カルテット・スピリタス」メンバー
この日のコンサート開場1時間15分前、入口にはすでに30人ぐらいの人たちが凍える寒さの中、並んで待っていた。
全席自由ということもあって、13時の開場時にはかなりの列ができていたのに驚く。
小田原文化サポーターのレセプショニスト部門会員によるチケットがもぎられ、親子ワークショップで作成された美しいクリスマスリースをあおぐ。
ホワイエには手作りの「音種カフェ」が特設され、地元のお店の手作りのシュトレン(おいしかった)、クッキー、コーヒー、小田原で人気の「片浦レモンサイダー」(これ地元のレモン入りなので、抜群にうまいからうちは家族で飲んでる)まで味わえた。
大きなホールでは味わえない素朴な味わいのまさに「音楽の種を蒔く」地元の手作りの温かいコンサート会場!
音楽を愛する市民たちの努力で、こういう素晴らしいコンサートが子どもたちまで幅広い層の人々の間で安価で楽しみながら聴くことができる。
ちょっと、前置きが長くなってしまった・・・第2部のリポートへ突入しよう。
2部は趣向が変わり、黒い幕があいてブルーの照明がつき、(この照明もクリスマスムードを盛り上げていた)メンバーたちは観客席に現れてサクソフォンをコミカルな音色に変えながら、大柄な松井氏の大げさなアクションを交えたネタで観客の笑いを誘いリラックスムード。
これには子どもたちも大喜び!
そして、舞台に上がり立ったまま演奏を続ける。
テンポのいい「ミッション・インポッシブル」で観客のハートをつかみ、ノリのいいサウンドで疾走!
いきなり彼らのミュージック・スピリットの中へ観客を巻き込む。
まさに「カルテット・スピリタス」の名にふさわしい瞬間だ!
この日の「カルテット・スピリタス」のメンバーの装いは、ネクタイなしの黒めのスーツ姿。
終始抜群のハーモニーをそのチームワークの良さでクリエイトしながら、異なった色のシャツはそれぞれの個性を主張しているかのよう。
個性あふれるメンバーだが、経歴を見ると、全員音楽大学や芸術大学出身で、コンクールでも数々の賞も受賞するという実力派ぞろい。
波多江氏は、7年強在籍したパリ国立高等音楽院を首席で卒業するという快挙も。
グループ名「カルテット・スピリタス」とは、「新しいエスプリ(ラテン語でSPIRITUS)を持つサクソフォン・カルテット」として次世代を担う若手サクソフォン奏者4人(コンサートパンフレットより)という意味が込められている。
2003年に結成し、第5回大阪国際室内楽コンクール・セミファイナリストで、2008年初めてのCD「Scene」をリリース。
ピアソラ作曲の「カランブレ」や葉加瀬太郎のおなじみの「情熱大陸のテーマ」までまさに燃えるような実力をみせつけたメンバーたちだが、打って変わって「森のくまさん」を披露しながら、ギャグもこなすという器用さを示し、子どもたちを喜ばせた。
後でインタビューに応じてくれた小学生の男の子が、「このときが一番面白かった!」とコメント。
この男の子はメンバーに囲まれ、サクスフォンの音を浴びせられ、体が音と一体になり、終始笑顔で答えてくれた。
「ロミオとジュリエット」で観客を夢心地にし、最後のクリスマスメドレーで、気分は小田原の空間を飛び越えて聖夜の星がまばたく闇の中へと誘われていく。
「もろびとこぞりて」「赤鼻のトナカイ」から始まって、ジャズ風にアレンジされた「ホワイトクリスマス」、ムード満点のロマンチックな「クリスマス・ソング」「ジングルベル」「サイレント・ナイト」と続くサックス4重奏マジックで、日々忙しく心の奥に追いやって忘れかけていた懐かしい心のようなものを呼び起こしてくれた。
コンサート終了後、真っ先に私がインタビューしたのは、中央真ん前の席に座っていた4組の親子たち。
「すごかった!」「面白かった!」とキラキラした目を輝かせて、なごりおしそうに舞台の前に立ってコンサートの余韻をかみしめている4年生から6年生の児童たち。
前述の男の子もこの一人で、ピアノを習っているというから、演奏の刺激を受けてどうなっていくのか楽しみだ。
みんな11月8日小田原市内の小学校で行われたメンバーのアウトリーチ活動の出前演奏を見たんだそうだ。(千代小と東富水小)
保護者たちの話では、親子でアウトリーチでの演奏を見てよかったので、このコンサートにみんなで行くことにしたという。
「子どもたちが飽きないペースで盛り上がりました。その時のメンバーは私服で、今日は違った(スーツ)姿だった・・・またぜひ来てほしい!」とお母さんの一人が熱っぽく語る。
コンサートプログラムに報告されているアウトリーチ活動では、子どもたちのリコーダーと「翼をください」を合奏とある。
こんな工夫のこらしたコンサートなら、子どもでも自然にクラシックに入っていけるのではないか。
その後すぐ、メンバーたちはコンサートの疲れもみせず、全員が希望する観客に気さくにサインするというサービス。
メンバーと握手して会話をかわした親子たちは本当に幸せそう!
素晴らしいクリスマスの思い出になったに違いない。
こんなにアーティストと観客が近くなれるコンサートもめずらしい!
普段日本全国さまざまな場所でアウトリーチ活動を精力的に行っているメンバーの努力と市民のボランティア活動のささえがあったからこそ、こんな温かいコンサートができるのだと実感した2011年のクリスマスだった。
追伸
今回の記事は小田原市文化政策課による文化情報紙ワークショップの仕上げとして、正式な取材をさせてもらった。
10人の受講生による取材を講師の芹川明義氏が編集し、情報紙として1月下旬に市の施設に配布するという。
私も小田原市の腕章をつけて、普段よりやや控えめに写真を撮らせてもらった。(コンサート中は撮影できず、残念!)
しかし、私は単独取材の方が自分らしく動けていいかな・・・腕章なんてつけて取材したことがないので、(経済サミットなどでは札をぶら下げて参加したけど)逆に観客へのインタビューなどは照れくさくてあまりできず・・・
最近は学校の広報誌などで取材する機会があるため、子どもたちに取材するのが楽しくなってきた!
その人々とは、「小田原文化サポーター」という小田原の芸術文化振興を支援する市民ボランティアグループやこの公演の主催者「音楽の種を蒔く会実行委員会」(座長芹川明義氏 事務局小田原市文化部文化政策課文化政策係)など。
前列「音楽の種を蒔く会実行委員会」メンバー及び小田原市文化政策課職員と後列「カルテット・スピリタス」メンバー
この日のコンサート開場1時間15分前、入口にはすでに30人ぐらいの人たちが凍える寒さの中、並んで待っていた。
全席自由ということもあって、13時の開場時にはかなりの列ができていたのに驚く。
小田原文化サポーターのレセプショニスト部門会員によるチケットがもぎられ、親子ワークショップで作成された美しいクリスマスリースをあおぐ。
ホワイエには手作りの「音種カフェ」が特設され、地元のお店の手作りのシュトレン(おいしかった)、クッキー、コーヒー、小田原で人気の「片浦レモンサイダー」(これ地元のレモン入りなので、抜群にうまいからうちは家族で飲んでる)まで味わえた。
大きなホールでは味わえない素朴な味わいのまさに「音楽の種を蒔く」地元の手作りの温かいコンサート会場!
音楽を愛する市民たちの努力で、こういう素晴らしいコンサートが子どもたちまで幅広い層の人々の間で安価で楽しみながら聴くことができる。
ちょっと、前置きが長くなってしまった・・・第2部のリポートへ突入しよう。
2部は趣向が変わり、黒い幕があいてブルーの照明がつき、(この照明もクリスマスムードを盛り上げていた)メンバーたちは観客席に現れてサクソフォンをコミカルな音色に変えながら、大柄な松井氏の大げさなアクションを交えたネタで観客の笑いを誘いリラックスムード。
これには子どもたちも大喜び!
そして、舞台に上がり立ったまま演奏を続ける。
テンポのいい「ミッション・インポッシブル」で観客のハートをつかみ、ノリのいいサウンドで疾走!
いきなり彼らのミュージック・スピリットの中へ観客を巻き込む。
まさに「カルテット・スピリタス」の名にふさわしい瞬間だ!
この日の「カルテット・スピリタス」のメンバーの装いは、ネクタイなしの黒めのスーツ姿。
終始抜群のハーモニーをそのチームワークの良さでクリエイトしながら、異なった色のシャツはそれぞれの個性を主張しているかのよう。
個性あふれるメンバーだが、経歴を見ると、全員音楽大学や芸術大学出身で、コンクールでも数々の賞も受賞するという実力派ぞろい。
波多江氏は、7年強在籍したパリ国立高等音楽院を首席で卒業するという快挙も。
グループ名「カルテット・スピリタス」とは、「新しいエスプリ(ラテン語でSPIRITUS)を持つサクソフォン・カルテット」として次世代を担う若手サクソフォン奏者4人(コンサートパンフレットより)という意味が込められている。
2003年に結成し、第5回大阪国際室内楽コンクール・セミファイナリストで、2008年初めてのCD「Scene」をリリース。
ピアソラ作曲の「カランブレ」や葉加瀬太郎のおなじみの「情熱大陸のテーマ」までまさに燃えるような実力をみせつけたメンバーたちだが、打って変わって「森のくまさん」を披露しながら、ギャグもこなすという器用さを示し、子どもたちを喜ばせた。
後でインタビューに応じてくれた小学生の男の子が、「このときが一番面白かった!」とコメント。
この男の子はメンバーに囲まれ、サクスフォンの音を浴びせられ、体が音と一体になり、終始笑顔で答えてくれた。
「ロミオとジュリエット」で観客を夢心地にし、最後のクリスマスメドレーで、気分は小田原の空間を飛び越えて聖夜の星がまばたく闇の中へと誘われていく。
「もろびとこぞりて」「赤鼻のトナカイ」から始まって、ジャズ風にアレンジされた「ホワイトクリスマス」、ムード満点のロマンチックな「クリスマス・ソング」「ジングルベル」「サイレント・ナイト」と続くサックス4重奏マジックで、日々忙しく心の奥に追いやって忘れかけていた懐かしい心のようなものを呼び起こしてくれた。
コンサート終了後、真っ先に私がインタビューしたのは、中央真ん前の席に座っていた4組の親子たち。
「すごかった!」「面白かった!」とキラキラした目を輝かせて、なごりおしそうに舞台の前に立ってコンサートの余韻をかみしめている4年生から6年生の児童たち。
前述の男の子もこの一人で、ピアノを習っているというから、演奏の刺激を受けてどうなっていくのか楽しみだ。
みんな11月8日小田原市内の小学校で行われたメンバーのアウトリーチ活動の出前演奏を見たんだそうだ。(千代小と東富水小)
保護者たちの話では、親子でアウトリーチでの演奏を見てよかったので、このコンサートにみんなで行くことにしたという。
「子どもたちが飽きないペースで盛り上がりました。その時のメンバーは私服で、今日は違った(スーツ)姿だった・・・またぜひ来てほしい!」とお母さんの一人が熱っぽく語る。
コンサートプログラムに報告されているアウトリーチ活動では、子どもたちのリコーダーと「翼をください」を合奏とある。
こんな工夫のこらしたコンサートなら、子どもでも自然にクラシックに入っていけるのではないか。
その後すぐ、メンバーたちはコンサートの疲れもみせず、全員が希望する観客に気さくにサインするというサービス。
メンバーと握手して会話をかわした親子たちは本当に幸せそう!
素晴らしいクリスマスの思い出になったに違いない。
こんなにアーティストと観客が近くなれるコンサートもめずらしい!
普段日本全国さまざまな場所でアウトリーチ活動を精力的に行っているメンバーの努力と市民のボランティア活動のささえがあったからこそ、こんな温かいコンサートができるのだと実感した2011年のクリスマスだった。
追伸
今回の記事は小田原市文化政策課による文化情報紙ワークショップの仕上げとして、正式な取材をさせてもらった。
10人の受講生による取材を講師の芹川明義氏が編集し、情報紙として1月下旬に市の施設に配布するという。
私も小田原市の腕章をつけて、普段よりやや控えめに写真を撮らせてもらった。(コンサート中は撮影できず、残念!)
しかし、私は単独取材の方が自分らしく動けていいかな・・・腕章なんてつけて取材したことがないので、(経済サミットなどでは札をぶら下げて参加したけど)逆に観客へのインタビューなどは照れくさくてあまりできず・・・
最近は学校の広報誌などで取材する機会があるため、子どもたちに取材するのが楽しくなってきた!