『湖中の女』に見るチャンドラーの憂鬱と倦怠と鬱憤と 2019年03月05日 05時41分40秒 | 読書 「湖中の女」は、第二次世界大戦の最中に書かれただけあって、従来のレイモンド・チャンドラーの作風と多少異なる趣を呈します。 長編シリーズの第4作目とあって、完成度と熟成度は、読者の期待を凌駕する程です。訳者の清水俊二氏の高質な文才も手伝い、推理の領域を遥かに突き抜け、濃く深い人間の情愛と強欲の深部にまで拡張していきます。 「長いお別れ」が、友情と正義の間に揺れ動く繊細な人間ドラマだとすれば、この「 . . . 本文を読む