先日は、Unicodeでの数式の出来を確認する為、”旧その1”を久しぶりに更新しました。
一応、見易くはなってるとは思うので、出来るだけ随時、”その1”から順番に更新していこうと。これからリーマン一色になりそうですが、悪しからずですが。
リーマン(1826〜1866)は、オイラー(1707〜1783)の研究を受け、ゼータ関数ζ(s)の解析接続と対称型関数等式を証明した。
更に、x以下の素数の個数、π(x)に対する明示公式を与え、そこで必要になるのが、ζ(s)の零点全体である。
故に、零点全体を精確に見つける事が課題だった。リーマンはその”部分的解決”として、零点の実部に制限し、”リーマン予想”を提出した。
このリーマン予想は、時代と共に大きく拡張され、現代数学全体を巻き込む大問題へと発展する。(以上、『ゼータへの招待』)
リーマンと言えば、リーマン積分、リーマン幾何学、リーマン多様体、リーマン計量、等々、多岐に渡り、数学を一新させた、”現代数学の父”とも言われてます。
特に、アインシュタインの一般相対性理論の基礎となったリーマン幾何学は、その難解さもあり、非常に有名ですね。
NHKでリーマンを特集した番組を見て、何だか面白いかなって。リーマン予想が素数の謎を紐解き、暗号解読に繋がるのは本当なのか?素人って、こういった難しくて怖いものって、背中がゾクゾクっとするんですよ。リーマン予想と暗号解読には何も関係ないんですが。何も知らんのにね。
右も左も判らず、『リーマンと数論』(黒川信重編&加藤文元著 共立出版)という本を借りてきたのですが。読む程に頭が暴発する。難解な関数の羅烈が、数学素人の私を悩ませる。全くの上級者向けですね。
後で、『ゼータへの招待』(黒川信重&小山信也著 日本評論社)と『オイラーとリーマンのゼータ関数』(黒川信重著 日本評論社)を読んだんですが。こっちの方が後出だけあり、初心者向けで判りやすいですかね。
"リーマンなくして数学なし"というのが、現代数学者の共通認識だそうで。”旧その1”でも述べましたが、師匠が、同じドイツの、最高の数学者の一人とされる、ガウス(カール•フリードリヒ•ガウス、1777〜1855)に加え、同じくドイツのディクリレ(ヨハン•ペーター・グスタフ•ルジューヌ•ディリクレ 1805〜1859)、というからこれまた畏れ入る。因みに、イラスト左上はディリクレで、右下が若き日のリーマンです。二人共凄くイケメンですな。
ガウスからは 非ユークリッド幾何学(ガウス曲率)を、ディリクレからはゼータ関数(ディリクレ級数)を引き継ぎ、大きく羽ばたくつもりだったんですが。
生まれ付き身体が弱く、”私講師”(学部からの給与はなく、受講生の寄付のみが収入源)という貧しい環境が長く、志半ばで僅か40に満たない生涯を閉じました。
19世紀って、ナポレオンにリンカーン、ダーウインにノーベルにリビングストン、アーベルにガロアにラグランジェ、ルジャンドルにクロネッカーにポアンカレ、ディリクレにカントールにラマヌジャンに、バルザックにゾラにモーパッサン等、偉人や超人や天才ばかりを生み出した時代なんですね。まさに、奇跡の時代。
”旧その1”を投稿した後で、『リーマン教授にインタビューする』(小山信也著 青土社)を読んだ。縦書きにも拘らず、非常に読みやすい。リーマン教授との対話という形式を取っており、とてもユニークに映る。
まるで、リーマンが現代に生まれ変わった様な錯覚に陥る。最初にこれを読んでたらと後悔する程に、よく出来た本だと思う。堅いんだけど硬くない。堅くないけど、やはり硬い。リーマンという人なりを知るにはオススメの一冊です。
上述した様に、39歳という若さで生涯を閉じたリーマンですが。死後150年以上も謎とされるリーマン予想。”ゼータの全ての虚な零点の実部が1/2であろう”との僅か一行の記述が、人類歴史上、最難関の予想と言われてんですが。
このリーマン予想と言えども、素数の謎を紐読く”自明な”素数公式がメインとされます。つまり、素数の謎と神秘が原点となるんですね。
故に、リーマンの謎=素数の謎で、自然数の中に素数がどのような間隔で分布しているのか?など、素数に関する謎はたくさんあリますが。ずっと昔のギリシャ時代から、興味が持たれ、研究され続けてきた難題でもあります。
また、この謎多き素数に、深い関りを持つのがリーマンのゼータ関数で。数論や力学系の研究を初め数学や物理学の様々な分野で用いられてます。
このゼータ関数にもやはり謎が多く、奥行きも深く、拡がりや結び付きも”半端ない”のです。
リーマン予想の影の主役である、この難解なゼータ関数は、後述するガンマ関数だけでなく、様々な関数ら(合同ゼータ、ハッセ•ゼータ、ガロア表現、保型形式、セルバーグ•ゼータ、p進ゼータ)と密に繋り、ラングランズ予想を経由し、ゼータ関数の統一(絶対ゼータ関数)へと繋がります。
”その10”と”その11”も参照です。
『リーマンと数論』の著者の黒川博士は、素数解明の夢がゼータ統一の夢に繋がり、絶対数学に繋がると指摘してます。この絶対数学の先に構えてるのがリーマン予想であると。
この絶対数学とは、複素数界の完備ゼータを行列式表示し、零点や極の固有値解釈を促す事で、実数界、有限数界、複素数界のゼータを最小の”体”(フィールド)で統一しようと。ここまで来ると、もうサッパリですな(悲)。
もし、リーマンが長生きしてたら、リーマン空間及び、リーマン多様体のゼータの研究が進み、リーマンゼータ関数をリーマン空間のゼータ関数と考え、リーマン作用素(オペレータ)による行列式表示から、本質的零点に固有値解釈を与え、その結果、本来のリーマン予想の証明が完成する事も夢ではなかったろうと。
日本人でこの理論について来れる人がどれ位いるんだろかね?
つまり、ゼータがあまりにも広範囲に広がりすぎて、あらゆるモノに結び付き、複雑になり過ぎて、再び闇の中に埋もれるのを危惧しておられるのでしょうか。
10種類以上ものゼータ関数の中で最も歴史が古いリーマンゼータ関数。そして、このリーマンゼータ関数の謎と素数の謎と、リーマンの深く暗い闇の中を、ズブの素人が探るリーマン探訪。フランクリン隊以上に無謀ですかな。
前置きが長くなりますが。リーマンを知れば知る程に、様々な事が判明し、そして、再び深い闇に包まれていく。リーマンの謎とは、まさしくその背景に深く横たわる、果てしなき”闇”。だから常に、更新が必要なんですかね。
この”リーマンの謎”ブログは、今年の1月に初投稿したもので、当初は軽いウケ狙いで書いたもので、3回程で止めようと思ったんですが。その後更新を重ね、いつの間にか23回に。こうなると、もう引き下がり様がないですね。
”リーマンの謎”に関する詳しい心情と吐露は、”リーマンとオイラーに魅せられて”ブログを参照です。
その後、幾度も更新しましたが。色んな書物やウエブを参考するに連れ、リーマンゼータの闇に光が差し込むに連れ、”旧その1”の更新も半端ない量になりました。結局、”その1”(シーズン1)だけで、12エピソードにはなる筈です。
そこで、”その1”を”プロローグ編”と、11つのエピソードに分けて、日付を新しくし大幅に更新&加筆し、再投稿しました。”その8”と”その9”がまだですが。でも、基本的な流れや展開は殆ど変わってないので、ご安心を。
先日更新した”旧その1”は、全ての更新が終わっても、第一回の記念の為に、そのままにしときます。比較して読んでも構いません。
次回から、”その1の1”に突入です。
続けてコメントします。
ゼータ関数に関するリーマンとオイラーの繋がりは、転んださんも何度も述べられてるように、表裏一体となってます。もっと突っ込むと、ゼータを発見し固有の特殊値を求めたのがオイラーで、ゼータを拡張しはっきりと目に見える形にしたのがリーマンですかね。
オイラーの特殊値を求める過程で、実に様々な関数等式や公式が次々と発見されていくんですが。その流れを眺めてるだけでも、おなか一杯になる程です。それに、リーマンが解析接続によって、次々と難攻不落のゼータの闇のベールをはぎ取っていくあたりは、贅沢の極みというか。
オイラーが、ゼータの周りを”蝶の様に舞い、ハチの様に刺す”のとは対象的に、リーマンは厳格な態度でゼータに接し、その正体を複素数域に追い詰め、素っ裸にしたと。
でも、オイラーは優雅に舞いますね。ゼータの特殊値を求める過程で、様々な公式を編み出し、見事なゼータという女神に作り上げたんですから。
リーマンはリーマンで、ゼータに対しても厳格な態度を崩さず、更に完備ゼータという絶対的な神に作り上げたと。
ホント、paulさんは鋭いヒントを与えて下さる。感謝感謝です。