昔とあるマンガの中で、力道山とスタン・ハンセンが戦っていた。
一方的に力道山が攻め立てられ、弟子の猪木が助けに来るも、2人ともハンセンのラリアットの餌食になり、”ウギャ”という呻き声と共にジ・エンドとなる展開だった。
思わず吹き出してしまったが、十分にあり得る展開だと思った。
勿論、ハンセンの全盛期の頃のマンガだったから、ハンセンの強さが誇張され過ぎた部分もある。しかし誇張という点では、力道山も街頭TVというメディアに浮かされた存在ではあった。
そこで、お互いに全盛期と仮定し、スタン・ハンセンと力道山が闘ったらどうなるだろうか?
”昭和の巌流島”と呼ばれた木村との闘いで見せつけた様な、鬼気迫る殺伐とした力道山の破壊力を持ってしても、ハンセンには敵わないのだろうか?因みに、力道山と木村の因縁の一戦は”アリにはなれなかった男を”を参照です。
そこで今日は、ハンセンvs力道山の夢の対決をお送りします。主観が思い切り入ってますが、悪しからずです。
平成の巌流島
猪木そして馬場と、日本の若きスター候補を粉砕し、勢いに乗るスタン・ハンセンがブルロープを振り回しながら、リングを暴れまくる。
一方、力道山は木村政彦を病院送りにしたものの、憎きハンセンに猪木・馬場と愛弟子を立て続けに病院送りにされた事に、異常なまでに腹を立てていた。お陰で巷では、”力道山のプロレスは八百長だ”との噂が大きく広まっていた。
”あのシロ豚野郎、木村以上に袋叩きにしてやる。真のプロレスがどういうものか教えてやる💢”
一方で、スタン・ハンセンは勢いに乗りまくっていた。
”エノキもバーバも首をへし折られなかっただけ、オレ様には感謝しろ。しかし、リキドザンには容赦しないぜ。キムラ戦みたいな真似したら、本気で潰す。朝鮮人は日本からとっとと消え失せろ。それが身の為だ”
ハンセンと力道山の2人がリングに上がると、互いの国家が斉唱される筈だった。しかし、最初に仕掛けたのはハンセンだった。
ブルロープをいきなり力道山の首に巻きつけ、ドラム缶を凹ますという噂通りの怪力で首を締め上げる。その上、ロープの先についた真鍮製のカウベルで、力道山の頭を何度も叩きつけた。
たちまち、力道山の額からは真っ赤な鮮血が溢れ出す。まるで、デストロイヤー戦での死闘を見てるみたいだった。ドスの効いた低い声で喘ぎもがく力道山だが、ハンセンは容赦しない。
”平成の巌流島”と名付けられた世紀の対決は、ハンセンの奇襲で幕を開けた。
あまりの暴走に、若手レスラーたちが乱入し、ハンセンの執拗な反則攻撃を抑えに掛る。
やがて、力道山の口からは白い泡が吹き出し始めた。リングサイドにケストとして呼ばれてた木村政彦は、満足そうな表情を浮かべていた。
実は、力道山対策として、ハンセンに”木村ロック”を伝授してたのだ。
ハンセンは、力道山の弱点を知り抜いてた。技は空手チョップとボディスラムのみ。打撃さえ注意すれば、楽勝な筈だった。
最後の抵抗
ハンセンが若手レスラーを場外に蹴散らす間に、何とか回復した力道山は、空手チョップを1ダースほどハンセンの首元に見舞った。
鬼気迫る表情の力道山は、デッドリードライブでハンセンを頭からマットに叩きつけると、今度はハンセンがピクリともしなくなった。
明らかに反則だが、力道山は失神したハンセンにブルロープを巻きつけ、レフェリーの制止を無視し、執拗に締め続ける。
やばいと感じた木村は、リングに上がり、背後から力道山の首を締め上げた。
二人は共に失神し、リング上に横たわったままだ。木村はハンセンを叩き起こし、若手は力道山を自軍のコーナーに連れ戻す。
キレたハンセンは若手をかき分け、コーナーでぐったりしてる力道山の脳天に、エルボーを1ダースほどブチ込んだ。白目を剥いた力道山の脳天からも鮮血が吹き出す。
お陰で目が覚めた力道山は、狂った様に空手チョップで対抗する。そして、逆上した力道山の右の拳がハンセンの顔面を捉えた。
”グキッ”っという音と共に、前歯2本が折れ、ハンセンの口元からは大量の出血が吹き出した。力道山はハンセンの真っ赤な鮮血で染まった顎に空手チョップを集中した。
追い詰められたハンセンは、すかさずリング下に逃れるが、力道山はパイプ椅子を構え、ハンセンの脳天を打ち砕く。真っ赤な鮮血が場内を震え上がらせた。
控室でモニターを見てたシャープ兄弟は、”これはプロレスじゃない、殺し合いだ”とため息を漏らす。
力道山はリング上にハンセンを連れ戻すと、ボディスラムで叩きつけ、一気に決着を付けるつもりだった。しかしほんの僅かだが、力道山には油断があった。
そのスキを伺っていたハンセンは、力道山の弱点の左膝に強烈なフットボールタックルを見舞う。爆弾を抱えていた左膝は大きなダメージを受け、再び若手レスラーが乱入し、ハンセンの猛攻を何とか食い止める。
力道山の最期
レフェリーはすかさずドクターチェックを入れた。レフェリーの誘導通りに、医師が力道山の左膝をチェックする。
興奮気味の木村はリングに上がり、ハンセンの上顎をチェックし、マウスピースをくわえさせた。
力道山は明らかに跛を引いていた。
木村はニヤリと微笑んだ。”アンタはもう終わってんだよ”
力道山は逆上した。
”試合を止めたら、お前ら全員ぶっ殺すからな”
試合が再開されると、満足に動けない力道山はハンセンの猛攻撃の餌食になる。左膝はすでに使い物にならなくなり、立つ事もままならない。
寝たきり同然の力道山に、スタンの巨体を生かしたスタンピングを雨あられと突き刺す。頭に腹に膝に、まるで無差別空爆を見てるようだった。
胴体から臓物がはみ出した水牛みたいに、呼吸もままならない。
何とかコーナーに逃げ惑う力道山の大きく力なく開いた口に、スタンは伝家の宝刀であるラリアットを豪快に見舞った。国民的ヒーローの顎は無残にも砕かれた。
ハンセンは力道山の伸び切った両足を引っ張り、リングの中央にゆっくりと引きずり込むと、助走を付けてのエルボードロップを力道山の喉元に突き刺した。
ピクリともしない力道山に、大きく助走を付けての重戦車級のニードロップを、これまた喉元に炸裂させた。
”ウギャ”という低い声とともに、力道山の顔から血の気が消え失せた。
カウントを数える必要もなかった。若手がリング内に乱入し、ハンセンを抑え込んだ。リングに上がった木村はハンセンを宥め、力道山に近寄ると既に脈は消え失せていた。
武士の情け
この試合は最初からセメントだった。こうなる事も解ってた。
木村は冷静な口調で屍と化した力道山を尻目に、レフェリーに向かって叫んだ。
”反則を仕掛けたのは力道山の方だ。デッドリードライブと顔面への拳は禁止されてた筈だ”
レフェリーは首を降る。
”いや違うね。ブルロープもカウベルも反則だ。故に、両者反則負けだ。それにベルトも移動しない”
木村はハンセンに囁いた。
”力道山は君が殺したんじゃない。俺が殺すべきだった。でも俺には、情けというものがあった。だから私は、最後の最後で負けを選択した。でも、あの時負けを選択した事は、今から思うと正解だったよ、スタン”
ハンセンは木村を見つめていた。
”Mr.キムラ、これも武士の情けね。でもアンタの無念を晴らした事だけで、オレは満足さ”
一方、病院から抜け出し、控室で待機していた馬場と猪木は、神妙な顔でモニターを見つめていた。
”寛チャン、俺たちは仲違いしてる場合じゃない。結束してスタンに対抗しないと、殺されてしまう”(馬場)
”力道山のスタイルもやり方ももう古い。スタンに殺されなくても、いずれ木村には殺されてたよ”(猪木)
”ラテンクォーターを売り払い、全日本プロレスの資金源にしよう。朝鮮臭いビジネスもこれでおさらばだ”(馬場)
”豊登ら、力道山の甘い汁を吸ってた古株は全てクビだよ”(猪木)
最後に〜平成の巌流島
死んだ筈の力道山は大掛かりな緊急手術を行い、何とか人工呼吸器を使って生き延びていた。
そこに木村が入って来た。
”武士の情けと言いたいが、今回は容赦はしない。一度はアンタを見逃したが、今度は本気だ”
そう言うと木村は、力道山の口から人工呼吸器を外した。木村が病室を出て数分後、力道山は今度こそ完全に死に絶えた。
結果的には、木村政彦の怨念をスタンハンセンが果たした訳だが、”平成の巌流島”としては悪くないシナリオだろうか。
アメリカ(ハンセン)vs北朝鮮(力道山)という縮図を日本から眺める様は、まるで朝鮮戦争を高みの見物をしてるような複雑な錯覚にも映った。
木村が今の時代に生きてたら、明らかに力道山よりも有利な立ち位置にいました。
今はプロレスよりも総合格闘のほうが人気があり格も上みたいですから。
それにダラダラと続くプロレスよりも一瞬で決まる総合の方が緊張感がある。興行的に見ても美味しいですもの。
でもハンセンVS力道山はセメントでも興行でも昔も今も大受けしたでしょうね。
晩年の力道山は興奮剤を使ってたから弱るのも早かったとか。
馬場さんに言わせると、人間的にも怪しくて、それにあんまり強くはなかったと語っている。
ヒーローのカリスマ性とは所詮そういうもんだろうか。
力道山と木村の戦いは、最初は引き分けでその後は勝ったり負けたりとする予定で、興行的な色合いが強かったみたいです。
今から思うと日本人にしては悔しい気もしますが、転んだサンが言ってたように木村には道着を着て臨んでほしかった。
ただ力道山は酒を呑むと酷かったらしく、ヤクザに刺されたのも酔ってたのが原因でした。木村との戦いでもカッとなって禁じ手を使ったんでしょうね。
でも不思議と女性にはモテたようで、妻の元スッチーの田中敬子さんも美人でしたよね。
たまにはYouTubeとかでプロレスを見て、ストレスを発散して下さい。
私もパイプ椅子を振り上げて殺してやりたいですが、悲しいかな、そのパイプ椅子を持ち上げるほどの力が私にはありません。泣
話は変わりますが、力道山の兄がとても強かったらしく、ハンサムで長身で頭も性格もよく力も強かったとされます。それに比べ、喧嘩っ早い力道山は全ての面で劣ってたらしく、一家の恥とまで呼ばれてたそうです。
でも木村がもう少し若ければ、力道山には勝ってましたね。そういう木村の無念を込めて書いたつもりですが、所詮は空想的マンガですよね。
でもそういう嫌な奴って私にもいます。夢の中で殺したりもしてますが、その度に殺人はアカンなとも思います。
ただ、私だったら空手チョップじゃなく、パイプ椅子ですかね。でも木村にとって力道山は、生涯を犠牲にしても殺したい人間だったと思います。
ブレーキの壊れたダンプカー vs 玄界灘を渡ってきたコリアンファイター。なかなか興味深い対戦ですね。僕もガチンコならハンセン有利と見ます。体格、正味のパワーはハンセンに軍配が上がります。
しかしダーティーリキなら試合前にリング外で揺さぶりをかけてくる気がします。カネ、オンナ、クスリ、ヤクザなど諸々の手練手管を使って丸め込みにかかりハンセンを骨抜きにしかねません。
更に、絡み合う人間模様として鬼の木村まで登場!こうなると妄想は果てしなく広がりますね。マスオーヤマも担ぎ出したくなります。同じ民族の血に殉じて南北のわだかまりを越えてリキに付くのか?拓大と憂国の士の絆を選びハンセン-木村側に立つのか?果たして結果は?
鬼籍にいる「梶原一騎」に大人向け作品としてペンを振るって欲しいくらいです。(笑)
乱文失礼しました。
では、また。
私も、いま、私に失礼なことを言ってくる新人を空手チョップで叩き殺したい気持ち!