前回”1の9”で、素点と完備化とP進距離(P進絶対値)について述べたんですが、後半は少しバテ気味だったので新たに補足です。
この”P進絶対値”という概念は数論の中核をなすので知っておいて損はないと思います。数論に強い人は、これを知るだけでも閉ざされた数学の景色がずっと広がると思います。
タブル所も多々ありますが、悪しからずです。
P進絶対値とP進距離
この”P進絶対値”とは、ある数の0からの距離がPの何乗で割り切れるかで”P進距離”を測る(定義する)としたんですが。このP進距離をP進の概念を使って収束させ、完備化を計る。これこそが2つ目の完備化です。
この素数Pの距離に注目し、数直線上の単なる数に対し、距離の概念を持ってくる事で”P進距離”、つまり”P進絶対値”の定義を用いるんですが。この定義がややこしい過ぎて、殆どがこの現実離れした定義でまず挫折する(笑)。
前回は、2数の差(の分子)がPⁿで割り切れる時、2数間の距離をP⁻ⁿと定義し、これを”P進距離”と言いました。特にP進整数では、整数nがυ(n)乗で割り切れる時、nのP進絶対値を|n|ₚと表し、|n|ₚ=p^(−υ(n))と定義しました。これは、nがυ(n)に置き換わってるだけですんなり入れますね。
次に、P進整数からP進有理数へ拡張する時の定義がまたまたややこしい。
このP進有理数では、有理数m/n(m,n:整数)のP進絶対値が、|m/n|ₚ=|m|ₚ/|n|ₚ=p^(υ(n))/p^(υ(m))=p^(υ(n)−υ(m))と定義されました。P進整数時の定義から明らかですね。
ここで分母と分子が逆転し、故に分母nがpで割れる時、”負のべき乗で割れる”とみなすんですが。P=2を例にすると、|1/2|₂=2¹⁻⁰=2、|9/8|₂=2³⁻⁰=8と、2のべき乗となり、つまり、”−2のべき乗で割れる”となりますね。
”2数の差の分子がPⁿで割り切れる時、P進距離をP⁻ⁿと定義”するとはこの事なんです。故に、P進有理数の分子がPⁿで割り切れる時、P進距離も定義され、同様にP=2に対し、|2/1|₂=2⁰⁻¹=1/2、|4/5|₂=2⁰⁻²=1/4、|8/9|₂=2⁰⁻³=1/8、の様にPで割り切れる程に収束が可能になります。
お陰で、このややこしい定義の意味が理解出き、P進有理数が収束する事が判りますね。
P進無理数とP進有理数列の極限値
最後に、P進有理数列をP進無理数に収束させる事て、第二の完備化つまり、素数の完備化(素点)を得るんですが。これがまたややこしい。もう一息ですよ。
特にこの説明が、ボリュームの問題もあり、前回は少し急ぎすぎたんですが。
前回”1の9”で、複素数の√-2に相当する”2乗してマイナス2になる数”は、3進体Q₃に属すると言いましたね。実数で言う無理数√2やπに相当しますが、2つの数が存在します。
ここでは1つの例を上げます。
α=1+1・3+2・3²+0・3³+0・3⁴+2・3⁵+・・・でしたね。通常の絶対値であれば当然無限大です。
これを2(3−1)以下の整数からなる有限列{1、1、2、0、0、2、、、}の3進法表示と見ると、実は収束する。一般項の3ⁿの3進絶対値は3⁻ⁿですから、n→∞では3⁻ⁿ→0なので、その和も収束する筈ですが。このαもコーシー列の様に収束する事が証明できます。
収束と言いましたが。この極限値αが有理数でないのは勿論で、”2乗して−2になる数”は有理数には存在しない。
故に、この”有理数でないα”に収束する有理数列を見つければ、αが3進無理数である事が解ります。表現が実に微妙ですね。
ここで第一の完備化では、”1の7”で述べた様に、無理数やπを有理数に加え集合を広げましたが。今度は上述の3進無理数αを加え、3進有理数列を”α”に収束させる事で、新たな”第二の完備化”を得るんです。
これは、αの定義式で、最初のn項の和を数列{aₙ}とおき、完備化を進めるんですが、{aₙ}の各項とαの差の3進絶対値を調べ、{aₙ}の収束性を見いだせます。詳細は”1の9”を参考です。
結果、lim(n→∞)aₙ=αなるαは勿論、有理数ではないんですが、3進有理数列の極限値になります。これは無理数を小数展開の極限値と見なした状況(第一の完備化)と同じですね。
しかし、この3進無理数であるαは、√-2の様に実数ではなく、全くの”新しい数”です。
この様に、”P進絶対値”による極限値として現れる不思議な新しい数を”P進数”と呼ぶ事は、前回”1の9”で既に述べました。
つまり、一般に複素数(このケースでは√-2)であっても、P進絶対値に置き換えると”P進数”(P進無理数)というP進有理数列の極限値(α)になる。これこそがP進数全体がP進体Qpとなるという第二の完備化です。故に、”有理数の集合Qの新しい完備化がP進体Qpである”とはこの事です。
2種類の完備化と
通常の有理数もP進数の一種であるが故に、有理数全体の集合Qの完備化に第二の完備化も含まれる訳で、実数全体の集合RとP進体Qpの2種類の完備化が得られます。有理数の完備化と素数の完備化、いや実数RとP進体Qpの完備化ですかね。
ま、流れとしてはこんなもんで、多少はダブりましたが。最後のP進有理数列をP進無理数に収束させる所が難しいですかね。実数では複素数なのにP進では無理数となる。これはもう書いて理解するしかないです。
第二の完備化では、素数という数を素点という(P進)距離に置き換え、その距離が整数や有理数の時は、”P進”という概念を使い収束させ、P進有理数列をP進無理数という全く新しい数に収束させたんですが。この新しい数の実像が複素数という事でした。この”P進”の大まかな概念だけは何とか理解をです。
数学は小説と異なり、読んで理解出来るものでもなく、閃きだけで消化出来るものでもない。ただ只管、思考の積み重ねで理解するもんです。
数学は人類が生み出した最も偉大で難関な学問であり、最も過酷で冷酷で残酷な学問でもありますが故に、誤解が多いのも事実です。
でも何時かは数学が学問の中枢をなし、人類が戦う獣から思考するヒトへと進化し、戦争や無駄な争いをなくし、競争原理や強欲や格差が消滅する、創意工夫や数学的思考が人類の真の美徳となる日が来ると信じてます。
その為にも数学的思考が世界標準になる事を願ってんですが。まだまだ遠く険しい道である事には代わりはないのですが。
以上2回に渡り、”P進”をテーマにしましたが、やっぱり抽象的すぎて解りづらいですかね。反省、反省。
複素数をP進絶対値に置き換えるとP進無理数となり、P進有理数列の極限値になるのですが。これにより、P進数全体がP進体となる事で、第二の完備化の形になる。
これは複素数がP進の世界では、無理数として有理数列の収束値になるという摩訶不思議な現象です。
P進体という得体の知れない世界が、複素数をも極限値として囲んじゃうんですね。
転んださん流に言えば、P進体の謎とP進無理数の実像とですか。
P進体の謎とP進無理数の実像ですか。早速サブタイトルに使わせていただきます。複素数がP進では無理数になり、有理数列にて収束し、P進体に含まれるんですが。全く摩訶不思議な世界ですね。
新年も宜しくお願いします。
ムズいというより、異質。
柔道で言えば、キレイな一本しか認めない。ボクシングで言えば、完全KOしか認めない。メイウェザーJrなんて、全くお呼びじゃないんです。
多額を借金して、メイウェザーをボコボコにしたいな。でも、猪木だってアリにはビビってトドメ扠せなかったから、天心も無理かも、体重も軽いし。
井岡一翔は惜しかったですね。殆ど打たれてなかったもの。挑戦者だからもっと攻めたかった。でもミニマムからスーパーフライと、一昔前なら1つの階級で収まったんですが。
それに距離という概念を使って収束させるというのは、ボクシングで言えば距離を制する事でKOに繋げる事に相当しますね。つまり数学はあらゆる世界の事象に繋がってると言えます。
でもこの”P進数”とは、かなり異質で摩訶不思議な世界でもあるんですが。理解できればかなり病みつきになると。
一方、井岡はマスクと同様に綺麗なボクシングで、嫌いではないんですが。上体が少し堅いですかね、攻めあぐんだ感が拭えないです。メイウエザーみたいに柔らかく上体を使えればボクシングの幅が広がるかなと。
アインシュタインの相対性理論の核は、リーマン幾何にあるんです。リーマンが確立した”空間の歪み”と言えましょうか。
”アインシュタインと”ブログ参考にです。