前回”1の7”に続きますが。カントールのもう一つの偉大な発見は、無限大の大きさを正しく定義し、分類した事です。
これは、前回で述べたカントールの定理である”有利数列の完備化”よりもずっと凄い事かもです。
自然数、整数、有理数が可算無限(数えれるレベルの無限大)であり、実数と複素数はそれよりずっと大きく、非可算無限である事を証明したんですが。つまり、”全単射”という対応付けにより”無限大の考察”に成功した。
もっと言えば、数の論理を使わず集合論を使って無限大を定義したんです。これこそが大天才カントールと言われる所以ですね。
大天才カントールの洞察
外見上実数に近い有理数が、外見が全く違う離散的な自然数や整数と同じ無限大であり、実数もまた、外見が違う平面で表される複素数と同じ無限大であるという、大天才カントールが見出した事実。
つまり、数の世界が直感に反する構造をしてるが故に、無限大の考察は19世紀の数学の大きな障壁となってましたが。その難局を乗り越える為に、天才カントールの洞察が必要だったんです。
このカントールが、リーマンやオイラーやガウスと並ぶ、数学の巨星と言われるのも頷けます。
因みに、”可算無限”とは有限から到達できる無限大であるが故に、”最小の無限大”と定義され、故に有理数は可算無限個であるとされます。
故に、有理数体Qであるリーマンゼータを拡張しても、加算無限個である有理数体Qをはみ出す事なく、完備化出来る。
ここら辺はかなり抽象的な言い方なので、多少混乱するかも知れませんが。加算無限を拡張しても加算無限内で収まるという事ですね。
前回”1の7”でも言った様に、カントールのお陰で、ゼータの完備化という概念が常識となったんです。
もしリーマンが長生きしてたら、カントールに大感謝だったでしょうね。
カントールの無限大の考察
上述した様に、カントールは”数の1対1の対応づけ”に拘る事で、無限大の定義を実証した訳ですが。
先ず、自然数と正の偶数を例に取ると、{1、2、3、、、n、、、}に対し、{2、4、6、、、2n、、、}と対応させる事で、両者の無限の数が同じだとしたんです。故に自然数と整数も、{1、2、3、4、5、、、n、n+1、、、2n、2n+1、、、}に対し、{0、1、−1、2、−2、、、n、−n、、、2n、−2n、、、}と、”1対1に対応”させる事で無限の数が一致します。
次に、自然数と有理数は少しややこしく、2つの自然数の組合せを考えます。つまり、点(m,n)を考えます。但しmとnは自然数。
この時、m=1から順に並べるとそれだけで可算無限になり、全体ではその可算無限より大きくなる。そこで、以下の様な平面上の格子点(マス目)を考えます。
(1,1)、(1,2)(2,1)、(1,3)(2,2)(3,1)、(1,4)(2,3)(3,2)(4,1)、、、という風にです。
因みにこの点列は、m+n=2は1つ、m+n=3は2つ、m+n=4は3つと、全ての自然数の組で埋まり、この2つの自然数の組合せは”可算無限個”になってます。
また、有理数は分母と分子が共に整数の分数(割れる数)で表されるので、2つの整数の組合せで成り立ちます。
故に、2つの整数の組合せは可算無限であるから、整数の分数(分母と分子の組で表される)である有理数もまた可算無限となります。
とまあ、ここまではほんの序の口ですね。 因みに判り易い例として、”THE無限大ホテル”もClick参照です。
カントールの対角線論法
次に、サイズの異なる無限大(非加算無限)を持つ実数です。これには、カントールを一躍有名にした”対角線論法”を使います。
仮に、実数の個数が可算無限と仮定し、自然数と1対1の対応付けで実数を並べた時の矛盾を導きます。
そこで、0〜1の実数の個数が可算無限より大きい事を証明すれば十分ですね。
先ず、”0以上1未満の実数を全て尽くす数列{Sn}が存在する”と仮定します。
整数部は0なので、”小数部からなる実数のみ”を考え、小数点以下を”0と1のみからなる実数”に制限します。故に、この小数部の実数の集合が加算無限より大きい事を示せばいいのです。
そこで、”0以上1未満”の数列{Sn}を、各桁が0と1のみに限定します。
仮定では、その数列{Sn}が全ての実数を尽くす(埋める)筈ですが。埋めきれず、数列{Sn}から”はみ出す要素S”を”対角線論法”を使い、導き出します。
この”対角線論法”ですが。数列{Sn}={S₁、S₂、S₃、S₄、S₅、、、Sₙ}に対し、S₁の小数第1位を見て、0なら1、1なら0と、Sの小数第1位を決めます。同様に、S₂の小数第2位を見て、0なら1、1なら0と、Sの小数第2位を決めます。
以下同様に、Sの小数第3位、4位、、、n位を決めます。結果、対角線上に並んだ数字(0と1)が、Sとは全て異なってる事に注意です(イラスト参照)。
こうして構成した実数Sは、任意の自然数nに対し、小数第n位がSₙと異なってます。
つまり、SはどのSₙにも異なる。故に任意の自然数nに対しS≠Sₙが成立し、数列{Sn}から”はみ出す要素S”が存在しますね。
よって、数列{Sn}は全ての実数を埋めきれず、矛盾が示せました。
故に、小数点以下が”0と1のみからなる実数”の集合が、加算無限より大きい事が判りました。これは、”0以上1未満”以外の実数でも明らかですね(イラスト下部参照)。
もう一つの仮定である小数点以下の各桁が”0または1である”必要もないですね。Sの小数第n位をSₙと異なるように定めれば、0又は1以外のどんな数字でも構わない。
故に、この”はみ出し者S”は無限に存在し、実数全体が有理数全体よりも大きな無限大(非加算無限)である事が証明できました。
勿論、複素数は、a+biというaとbの実数の組合せで表現されますから、複素数も同じ様な大きさの無限大である非加算無限である事は明らかです。
これもpaulさんの言葉を借りれば、実数の最小単位を持ってきて、加算無限よりもデカい事を逆説的に証明するんですが。
カントールは、”写像”という概念を使い、1つ1つパズルを埋める様にして、これを証明したんです。”急がば回れ”という事を、改めて教えられたような気がします。
最後に〜数学と人生の教訓
カントールは”数の概念”に拘る事なく、古代の人類が数を認識した時の”1対1”の対応づけを実践しただけなのだ。
つまり、有限の数の理論を用いる事なく、無限の比較を可能にした。
アメリカの数学者コンリーは”リーマン予想の40%が証明出来た”事を発見しましたが。”その40%は殆ど進展のない40%で、全く異なる新規の方法が必要だ。ただ現状を一言で言えば、リーマン予想は全く解明されてない”と、小川博士は厳しく指摘されてます。
つまり、無限という定義の奥行きの深さが、リーマン予想の解決を困難にしてるんでしょうか。
カントールにとって、19世紀は不運な時代だったんです。
コメントどうもです。
しかしヒルベルトは「カントールが築いた楽園は誰をも否定は出来ない」とカントールを擁護したんだ。
でもリーマン予想ってとても不思議な予想で、その反例を示す事すら困難ですね。
逆に永久に解けない予想である事を証明した方がとも思いますが、冗談に聞こえないですよね。
リーマン予想用のエキスパートのAIを作って、第3の解析接続をもう一度計算し直して、精度を高めるとか。
事実、コンピュータを使ってからゼータの零点の解読は急速に進みましたもの。
未だにリーマンジーゲルの公式に頼らざるを得ないというのも、悲しい現実ですし。
Paulさん、何かいいアイデアはないですかね。
背理法の時点で既に怪しい感じもします。正直、検証すらしたくないというのが、本音でしょうか。
でも、アティア氏はフィールズ賞とアーベル賞の二冠の偉業をもつ人ですから、袖には出来ないのでしょう。90歳近くなる数学者ですが、業績は多岐に渡ってます。ボケが来てる訳でもないのでしょうが。
この手のフェイクにはうんざりという気もします。
ウィキでもあんまり相手にしてないみたいですね。
リーマン予想が人類史上最難関の難題と評されてるが故に、物理学者としては、面白くないのでしょうか。
でも、マイケル氏も物理学者ですから、インチキでもないでしょうか。でも、リーマン予想が、世界中のお茶の間の話題になる事は有難い事です。
個人的には、第三の解析接続を、もう一度煮詰め直す必要があると思いますが。
でも、リーマン予想が解けたからって、それからがもっともっと大変でしょうに。このまま解けないのが平和かもしれんです(笑)。
サイエンス誌は、この証明の疑惑を紹介してますが。まともな証明になってないと、多くの人が思ってるとの報告もあるみたいですが。真相はどうなんでしょうか?
マイケルアティアと言えば、第一人者の数学者と言われてますが。そんな偉い人が平気でイカサマをするなんて事があるんでしょうか。
リーマン予想が解けたというデマはよく聞きます。でも、リンデレーフ予想すら解けないとされてるのに、リーマン予想が解ける筈もないですね。何を持ってリーマン予想が解けたとする評価式自体に誤差があるんですから。
ひょっとしたら、人類の叡智では無理っぽかなとも思います。
量子力学とリーマン予想の類似に関しては、長くなるので、次回に回します。悪しからずです。
それで皆がみんな、リーマン予想に暗号解読に興味をもち、素数の謎=リーマン予想となった様な気がします。
日頃数学なんて全く興味のない連中も素数の謎に注目したんでしょうか。メディアの力って恐ろしい。
結局、NHKがミスを認め、リーマン予想が解けでも暗号は解読できないとなったんですが。今度は量子コンピュータが注目されるようになりました。
この量子コンピュータを使えば、暗号解読の肝である素因数分解が短時間で計算出来るという事ですが。
ホントの所はどうなんでしょうか。これもお得意のフェイクニュースなんでしょうか。
リーマン予想でくぐると、予想が解けたなんて記事をよく見かけますが。転んださんの見解を聞きたいです。
150年に渡る人類の努力がこれ程迄に報われないのも、現代数学においても珍しいと。
この現代数学において、リーマン予想というのは別格の未解決予想なんですかね。
100%と無限大との間に大きな隔たりがあるという事は、コンリーが主張した40%を万が一100%に高めたとしても、無限大にはなり得ない訳で。リーマン予想の解明には程遠いんですよ。
つまり、リーマン予想を満たさない様な反例を見つけ出そうとしてるに過ぎませんね。結局、未だにリーマン予想を上から辿ってるに過ぎませんね。
ゼータ関数と無限大の考察をもっと深めて追及するしかないのでしょうか?
故に、無限大の考察というのが未だにリーマン予感の大きなネックとなってる。
匿名でも構わないので、これからも宜しくです。建設的コメント有り難いです。
つまり、リーマン予想が成立すればリンデレーフ予想も成立するが。逆は不透明です。故に、リンデレーフ予想は弱リーマン予想と呼びますが。
匿名で失礼します。
リーマン予想の過程にあると言われるリンデレーフ予想すら解けてないと言われてます。リーマンが予想した実部が1/2上のゼータ関数の挙動に関する予想なんですが。
ゼータ関数がこの臨海線上で殆ど有界であると。この有界の値が0になれば、リンデレーフ予想が解決するとされてます。
リンデレーフはこの有界値を1/4(1908年)とし、ボーゲンが13/84(0.1548...)まで下げる事に成功(2016年)したんです。
百年の間に僅か0.01しか縮まってないと。こういった所からも、リーマン予想が殆ど解明されてないとなったんでしょうか。
paulサン、あとは宜しくです(笑)。
小川博士も手厳しいです。リーマン予想は全く解明されてないですか。
ゼータ関数の虚根は、10兆個までは解ってるらしいんですが。それがどれ程の大きさかが問題なんでしょうか。
確かに、10兆個を40%と見なす訳にはいきませんもの。