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犯罪代行が使い捨てになる〜”闇バイト”の簡素な罠と甘すぎる誘惑

2024年11月05日 07時31分02秒 | 芸能&三面記事

 ”税金を数十万円滞納し、簡単に稼げるバイトを探した。「ホワイト案件」という投稿を見つけ、指示役と繋がった”
 先月21日、横浜市の住宅で75歳の住人が手足を縛られ死亡した事件で、強盗殺人容疑で逮捕された宝田容疑者(22)が”SNSで闇バイトに応募した”事を供述した。
 指示役側が一般的なバイト勧誘に見せ掛けて実行役を集め、脅迫するなどして強盗殺人事件に誘導した疑いがあるとみて、神奈川県警は捜査を進めている。
 横浜市の事件の実行役は宝田容疑者の他に2人いるとされ、千葉県市川市で17日に発生した強盗致傷事件に絡んで逮捕された藤井容疑者はその1人の可能性が高いとみられる(時事通信)。


単純な程に人は騙される

 元神奈川県警の鳴海氏は”闇バイトは使い捨てであり、使うだけ使って高額な報酬をやる事はない。それに、捜査員から逃げ切れる訳がないし、使い倒されるだけで最後は捕まる様に出来ている”と闇バイトの実態を語る。
 一方、警察庁安全企画課では”勇気をもって抜けだし、すぐに警察に相談してください。警察はあなたや家族を確実に保護します”とアピールするが、それが出来るのなら、社会現象になる程までに闇バイトが拡散する筈もない。
 前出の鳴海氏も”犯罪に手を染めた後でもまだ引き戻せる。ぜひ出頭して家族なり自分の命を守ってほしい”と語るが、所詮はキレイ事に過ぎない。
 人は誘惑と脅しに弱い。”ホワイト案件”で高額な報酬を提示し、甘い誘惑に一旦乗ったら、今度は脅迫して逃れられない様にする。
 こうした凶悪な犯罪は、単純な程に人は騙される。言い換えれば、誘惑と脅しは単純な程に効果がある。

 民主主義の別の顔でもある”格差社会の仕組みに依る”との声もあるが、強盗殺人の実行役までをも裏社会が簡単にリクルートできる、ネット時代の便利さと匿名性の高さも大きな問題である。
 特に、匿名性で言えば、互いに知らないもの同士が手を組む訳だから、犯行はスムーズにかつ合理的に行われる。その上、犯行を指揮する側も匿名性に守られてるから、安心して指図できる。
 つまり、SNSというネット上の匿名性と拡散性が産み落とした犯罪シンジケートとも言える。

 一方で、”闇バイト”とは所詮は犯罪代行の事だし、”パパ活”は売春に過ぎない。結局、新たなフレーズで従来の凶悪犯罪をネット上で拡散し、物事の本質を濁すのも日本人とネット社会の悪い癖でもある。
 故に、日本の警察も”バイト”という興味本位で単純な視点ではなく、複雑に広範に絡んだシンジケートという観点で捜査を進めないと、とても追いつけそうにもない。

 石破首相は闇バイト対策を今年度の補正予算案に盛り込む考えを示し、”政府としてはこうした犯罪者のツールを奪い・・”と語るが、闇バイトの最大のツールは(スマホを利用する)ネット社会である。だが、時代を逆行できない様に、便利になり過ぎたネット社会に背を向ける事は出来ない。
 つまり、ネットという利便性の高いツールがある限り、ネットを通じて凶悪犯罪が広範囲に組織化するのは避けられないし、日本政府や警察が思ってる以上に、”闇バイト”は闇シンジケートの如く、簡単に地下深くにまで棲みついていく。
 また、”民主主義が暴力に屈してはならない・・”とも石破は語るが、自民党が簡単に裏金に屈して信頼が急落した様に、すでに民主主義は自由で無差別な暴力と犯罪のエサに成り下がりつつある。言い換えれば、民主主義の中の自由とは一度悪用されれば、その自由は留まる所を知らない。
 つまり、今や民主主義に平和と自由と安全という大義は存在しなくなったとも言える。


最後に〜国家は政府から腐る

 一方で、青木官房副長官は”防犯ボランティアによるパトロールなど・・全て方々が安心して暮らせる世界一安全な日本を実現する為に力を尽くしていく”と述べたが、今の時代に全てが安心して暮らせる場所なんて何処にも存在しないし、ましてや”世界一安全な日本”という言葉が何処から出てくるのか?常識を疑ってしまう。
 自民党議員が裏金という犯罪を平気で犯してきた以上のスピードで、凶悪犯罪はネット普及のお陰で世界中の何処にでも繁殖し拡散する。つまり、大衆の投票によって選ばれた議員らが汚職に手を染める以上に、大衆も凶悪犯罪に手を染める。

 今や日本の議会政治は世界一汚い世界なのかもしれない。”国は頭から腐る”とされるが、頭が腐れば全身が腐るのはあっという間である。
 先日行われた衆院選での政党の公約の殆どは、汚れた政治からの脱却であった筈だ。結果は、その公約を裏切った自民党の敗北で終わったが、”ウソは自民党の始まり”を実証したようなものだ。 

 そういう意味では、今こそ議会制民主主義が我ら日本人にとって、最適なシステムかどうかが試されてる時代とも言える。
 だが仮に、欠陥だらけのシステムであった事が判明した場合、我々はそれに代わるシステムを再構築する必要がある。

 昨今の闇バイトの繁殖は、議会制民主主義に蔓延る巨悪の構造と構造とよく似てるし、その巨悪の中心に構えるのが自民党である。
 仮に自民党が消滅しても、全ての悪が死滅する事はないが、巨悪が生み出す負の連鎖を断ち切る事は不可能ではない筈だ。同じ様に、闇バイトの構造を数理モデルを使って解析し、複雑多岐に絡み合った悪の連鎖を断ち切る事も可能だろう。

 全ては、悪の連鎖を断ち切ろうとする覚悟と知恵と勇気が今の日本政府には必要ではあるが、闇バイトの実像は今の日本政府の実像なのかもしれない。



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