国際刑事裁判所(ICC)のカリム・カーン主任検察官は20日、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘をめぐる戦争犯罪容疑で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らとイスラム組織ハマスの複数指導者らの逮捕状を請求したと発表した。ネタニヤフはこの動きを激しく非難している。
逮捕状が請求されたのは、イスラエルのネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント国防相。ハマス側では政治指導者イスマイル・ハニヤと軍事部門トップのモハメド・デイフ、ガザ地区における指導者ヤヒヤ・シンワルの計5人。
ICCのカーン氏は、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相について、”ガザ地区での戦争犯罪と人道に対する罪で刑事責任を負うと信じるに足る合理的な根拠がある”としている。
ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、イスラエル側で約1200人を殺害、252人を人質としてガザへ連れ去った。イスラエルは直後にガザへの報復攻撃を開始し、ガザ地区では少なくとも3万5500人が殺害されたとされている。
ネタニヤフ首相は今回のICCの逮捕請求を”不条理で虚偽の命令だ。どんな厚かましさで(両国を)比較するなど現実の歪曲だ”と反論し、更に”(カーン氏が)世界中で猛威を振るっている反ユダヤ主義の火に無情にもガソリンを注いでいる”と非難した。
一方でハマスも”被害者と死刑執行人を同一視しようとする試みを強く非難する”と抗議した。
これに対し、バイデン米大統領は”イスラエルとハマスの間に等価性は全くない”と反論し、ブリンケン国務長官も”米政府はこれを根本的に拒否する。ICCにはこの件に関する管轄権はない”述べた(BBC NEWS)。
歴史にログを残す
但し、逮捕状が出ても、ICCが設置する”ローマ規定”に批准してなければ、逮捕も裁判所への引き渡しも出来ない。事実、イスラエルも(ハニヤ氏の母国)カタールもアメリカも批准国ではない。
確かに、ローマ規定はこれらの国々に対しての実効性はないが、こうした明確な判決を下すのは”歴史にログを残す”という意味で1つの解答を与えた。一方で、”地球の裏側で起こってる事なんてどうでもエエじゃないか”って感覚の日本人が多いかもだが、”アカンのはアカン”と明確に世界中に訴える事は、平和憲法を存続する上でも、とても重要な事だ。
一方で、ハマスが”ガザ地区の市民を盾にしてる”と、ネタニヤフに同調する声も一部にはあるが、ハマスをテロに仕立てたのは彼自身であり、イスラエル国内でも”故意に戦闘を長引かせ、犠牲者を増やしてる”との批判で溢れている。そういう事も考慮してか、ICCはハマス側にも(イスラエル側の2人よりも多い)3人の主導者にも逮捕状を出している。
因みに、ロシアや中国やインドらの大国も未批准国であり、ローマ規定に反発する主要国も多いが、大量虐殺や戦争犯罪に関する法律に関して世界中の国々が理解し、足並みを揃えない限り、大国主導やテロリストらによる戦争がなくなる筈もない。
つまり、戦争がなくなる日は更に遠のく事になる。事実、こうした不条理な戦争という炎に油を注いでるのは、アメリカやロシアなどの言わずと知れた軍事大国である。
事実、イスラエルと同様に、アメリカ国内でも学生やインテリ層の反発がエスカレートし、暴動化している。全く、時代と若者は正直である。
今となっては、彼ら若者たちの沸点に達した怒りが戦争の抑止力になる事を願うばかりである。
補足〜等価と同類の違い
ネタニヤフはバイデンの皮肉な言葉を受け、”ジョージ・ブッシュとビン・ラディンを同類とみなす様なもんだ”と憤慨したとされる。
確かに、過去2度の湾岸戦争においては(バイデンの言葉を引用すればだが)ブッシュ親子とビン・ラディンは等価とも言えるが、厳密には同類ともみなせる。また、今回のイスラエル=ハマスの戦闘では両国の幹部らも同類と言える。
事実、ウサマ・ビン・ラディンの父ムハマドは父ブッシュと共にカーライル投資グループの大口投資家であり役員だったし、ウサマの長兄サーレムは息子ブッシュが経営してた石油会社の共同経営者であった。
若い頃はアラブの宗教と正義に燃えるビン・ラディンだったが、最初の湾岸戦争でサウジアラビアに駐屯する米軍に憤慨し、アルカイダを率いる反米テロの首領となる。
構図で言えば、テキサスの石油族とサウジの金持ちとの戦争であり、”戦争とお金”という点で見れば、本質的に同類なのである。
例えば、ヘビとトカゲは爬虫類としてみれば、全くの同類であり、イスラエルのネタニヤフもハマスの軍事幹部らも属や類で分別すれば、同類とみなせる。前述の様に、バイデン大統領的な皮肉な言い方をすれば”等価”ともみなせる。
因みに、”等価”とは”本質的に等しい価値や様”を意味し、類語には同等・同質などがある。一方で”同類”とは、”同じ種・同じ類”という意味があり、戦争犯罪としてみれば、等価の方が
同類よりも強く、深刻に思える。
更に、等価と言う意味を掘り下げると、等価(equivalence)と等値(equality)の違いに行き着く。数学で言えば、前者は”同値”の事で”A⇔B”(A⇒BかつB⇒A)なる事を意味するが、後者は等式(equal)の事で”A=B”を意味する。従って、意味が同じである事と値が同じである事の違いだとも言える。
即ち、数学的に言えば、同類は”A≒B”に近く、等価の方が同類としてみても、強い意味を持つ事が判る。
言い換えれば、戦争という視点で言えば、勝者も敗者も等価であり、”イスラエルもハマスも国家単位では等価性を持つ事はない”が、両国の軍幹部同士に限っては明確な等価性を持つ。そういう意味では、バイデンの皮肉は当ってはいる。
戦争に至るまでに様々な理由があろうとも、戦争というものに正義が存在する筈もなく、所詮は軍幹部の暴走であり、そういう意味では、共食いという点で見ても、同類いや等価とも言える。
つまり、戦争はバカでも出来るが、平和を維持するのはバカでは出来ない。更に言えば、戦争と平和の上を行くには、アーベルやガロアの様に500年先を行く真の天才じゃないと出来ない事なのかもしれない。
少なくとも、ネタニヤフの腐った頭脳では、先はたかが知れてる様な気がする。
バイデンは両国の幹部らは等価的だと言いたかったのでしょうか。
少なくとも、等価と同値の違いを理解出来てるとは思えませんね。でも、”等価=同類”くらいの認識はあったと思います。
結局は、ネタニヤフもプーチンもブッシュも同類となるんでしょうか。
カッとなったら何しでかすか、わからないような人種だから
特に戦争に至っては陸軍幹部が暴走する。
戦況を詳細に把握せずに、カッとなり力ずくで抑えこもうとする。
転んだ君のいうムラ社会で言えば、頭に一旦血が上るとビール瓶を投げつけるクソ親父のケースだろう。
それと、バイデンは等価的と言ってたけど、意味を判ってて言っていたのだろうか。