政治や経済に関するメディアの報道は、安直なまでに極端だ。特にTVや週刊誌は、その報道こそがイベントに成り下がる。
例えば、日テレが青と言えば、TV朝日は赤であり、TBSが黒と言えば、フジは白と言う。見てくれが全てであるTV局は、報道自体に派手な色彩と明白な結果が求められる。
一方ジャーナルや書籍は、報道ではなく議題や課題として捉え、仮定や推測がメインになる。あくまで答えは、読んでくれる大衆に依存する。
故に、報道は鮮やかで明白な程に持て囃され、ジャーナルやコラムは難しく複雑なほど重宝される。
つまり、世論を作るのはメディア(テレビ報道や三面記事)であり、理論を作るのはジャーナリズムや書籍であると言える。
そういう私は政治や経済には全くなので、プロのコラムを参考にする。メディアの報道とどれ程かけ離れてるか、読んでるだけで面白い。
アメリカと付き合うには金が掛り過ぎる
そこで今日は、先日行われた日米首脳会談についてです。
以下、「異次元の日米関係〜安倍政権の”猛獣使い外交”が抱えるコスト〜NewsweekJapan」を参照です。
トランプ大統領をこれまでになく厚遇した今回の日米首脳会談。しかしそこには、大きなコストが付き纏う。
貿易を初めとする既存の国際ルールを、一方的に破棄してきた”猛獣”トランプは今や、世界最大の”トラブルメーカー”とも呼べる。日本政府がそのトランプ氏との親密ぶりを世界に示したのは、以下の2つの目的があると。
1つは、”アメリカは孤立していない”という宣伝に、日本が一役買う事でトランプに恩を売り、日米間の交渉を有利に運ぶ事。実際、両国間の最大の懸案である”貿易問題”は事実上先送りにされた。
2つに、”暴走しがちなアメリカ政府に影響力を持つのは日本だけ”というメッセージを発信し、日本の発言力を高めようとする事。
安倍首相は、昨年のG7サミットでもアメリカと他国首脳とのパイプ役としての役割を演じた。今回のトランプ訪日では、この関係をさらに強めたと。
あえて懐に入って噛み付き難くすると共に、トランプ政権に一定の影響力を持つ事で、存在感を高める手法は、”猛獣使い外交”とも呼べる。
肝心の中国の反応は?
トランプ訪日に先立ち、中国の英字版グローバルタイムズ(環球時報)は、”日本が中国とアメリカの中間にある事を望む”という社説を掲載したが、目立った論評はなかった。
つまり、中国が日本への配慮を見せた事は、対米関係の悪化を埋め合わせる日本との関係が悪化するのを避けたとみてよい。
日中関係はこの数年で急速に改善してきたが、その一因はアメリカとの関係が悪化した事にある。この背景の元、これまで以上に緊密な日米関係をアピールする日本に中国が無言を貫いたのだ。中国も日本以上に微妙なんですな。
”猛獣使い外交”のリスク
但し、”猛獣使い外交”には以下の3つのリスクが付き纏う。
1つに、日本はこれまで以上にアメリカにつき合わざるを得なくなる。予測が難しいトランプ外交に振り回されるだけでなく、自らの選択の幅も狭まる。事実、アメリカ寄りになった為、北朝鮮やロシアとの交渉は絶望的だ。
2つに、常に猛獣(トランプ)と行動を共にする必要があるが、火の粉を浴び易くなる。
例えば、”アメリカとの関係”を自国の存在の一部としてきた英国だが、この関係により、2003年のイラク侵攻にもつき合わざるを得なくなった。結果的に、56人の死者を出すロンドン地下鉄爆破事件(2005)など英国を標的としたテロを促した。
英国政府はその後、イラク侵攻の誤りを認め、アメリカが一方的に離脱した”イラン核合意”を遵守する立場を鮮明にするなど、一定の距離を保つ様になった。これには、”アメリカにつき合うコストに見合わない”という判断がある。
日本の場合、現状では憲法上の制約から最前線までアメリカとつき合うのは想定しにくいが、アメリカに敵意をもつ国や者の反感を呼ぶ兆候がみてとれる。
因みに、父ブッシュが仕掛けた湾岸戦争(1991)で、日本は191億ドルを捻出した。お陰でアメリカは”繁栄の10年”を、日本は”失われた10年”を味わう事になる💢💢
日米首脳会談で安倍首相が”共同で緊張緩和に取り組む”と提案したイラン危機だが。実際には、緊張の激化を控えるよう、直接アメリカに求める事はなかった。
中東には”親日”が多く、イランも例外じゃない。今や完全にアメリカ側に立ち、”イラン危機”で仲介役を申し出た安倍政権は、もはやイランから見て信用できるものではなくなった。
更に、安倍が力をいれる憲法改正が実現した時、日本が被る火の粉は確実に大きくなる。
矛盾するアメリカとの外交
そして3つ目に、矛盾した言動が増えやすくなる事。猛獣(トランプ)を大人しくさせる事自体に何らメリットはなく(実際に不可能だろうが)、猛獣を野放しにさせるだけか。
これまで安倍首相は、トランプの保護主義を明確に批判してはいない。他の国への関税率はさておき、自国への関税率だけ維持してもらおうとする事自体、アメリカの保護主義を間接的に認める事になる。
日本の利益と安全を確保する事は最重要課題だ。しかし一方で、安倍首相は今年1月、EUと経済連携協定を結んだ際、”日本とEUが自由貿易の旗手としてその旗を高く掲げる”と力説した。
自由貿易の重要性を高々と強調するほど、日本経済は盤石じゃないし、大義と実態のギャップが際立つのは明らかだ。故に、安倍のメッセージはアテにならないとなる。
こうして見ると、”猛獣使い外交”のコストは小さくない。その上、トランプ大統領が再選されようがされまいが、日本がその懐に飛び込む事による影響は、長期的に後を引き易いものばかりで、コストに見合う恩恵を得られるかは疑問だ。
つまり、アメリカとの関係のみに傾く安直な安倍外交は、日本にとって明らかなリスクと言えるだろう。
それでもアメリカにつくべきか?
メディアは今回の日米首脳会談を成功だと見る向きが多いが。こうしてみると非常に危険な付き合いである事が判る。まるで、資金難に追い詰められ、物腰が柔らかくなった”マフィア”と、手を組むようなもんだろうか。
前述した様に、それでも日本は、父ブッシュが捏造した湾岸戦争(1991)で多額の出費を迫られた挙げ句、”血は流さず、金しか出さない”と批判された。その結果がバブル崩壊に続く、”失われた10年”である。
それ以降も日本はアメリカに頼り切り、日本が稼いだお金の多くは、アメリカに吸い取られてるのが現状だろう。
アメリカは、チェイニーとブッシュJrが仕掛けたイラク戦争(2003)では、他国の理解を得られず、戦争資金を捻出出来たかは疑問だが。それでも石油を媒介にした三角貿易で、経常赤字を解消しようとした。
そして今、トランプが保護貿易を主張し、経常赤字を埋め合わせようとしてるのは明らかだ。そしてもし、それがうまく行かなければ、直接日本に資金拠出を迫る事になるだろう。その為の日米首脳会談だった様な気がする。
つまり極論を言えば、今や日米同盟(安保)は戦争資金捻出の為、いやアメリカの経常赤字解消の為だけにあると言ってもいい。
もし、日本がトランプの暴走や圧力に屈し、資金を工面すれば、アメリカはイランを攻め込むだろう。逆に、日本が頑固反対すれば、”イラン危機”は回避され、アメリカは経済的に孤立し、極端な保護貿易を全世界に貫くであろうか。
今や日本は、”追い詰められた”アメリカとの同盟関係を強めようとしてるのだ。外交に二枚舌は必要だが。”アメリカに明日はない”と判断した時、日米同盟(安保)を切り離す心の準備は、しておいた方が身の為だろう。
今のアメリカは尋常じゃない?
今のアメリカは昔のアメリカではない。朝鮮戦争やベトナム戦争時のアメリカには、曲がりなりにも正義があった。日本も韓国もそのお陰で、戦後の経済復興を成し遂げた。
しかし、レーガン政権以降、アメリカは腐敗した。双子の赤字(財政赤字と経常赤字)が増大すると、アメリカの戦争の方法が変化した。
アメリカは以前のように、もはや戦争資金を国内だけでは調達する事ができなくなった為、同盟国に戦争資金を要求する様になった。父ブッシュが仕掛けた湾岸戦争(1991)はその代表的な例だ。
前述した様に、お陰で”繁栄の10年”を迎えたが、その後はネットバブルを喰らい、再び経常赤字に転落すると、今度はイラク戦争(2003)を捏造した。チェイニーが仕掛けたと言われるが、父ブッシュをパクっただけだった。
勿論、二匹目のドジョウはいなかった。前回の様に、550億ドルの”寄付金”がある筈もなかった。勿論、大量破壊兵器がある筈もなかった。
再びアメリカ経済は冬の時代に逆戻りし、経済畑のトランプに期待がかけられた?が。アメリカの冷え込んだ経済を立て直すには、彼は獰猛で変態過ぎた。
アメリカが終わりを告げた夏
かつて、リンドバーグが飛び、アル•カポネが暗躍し、ベーブ•ルースが打つ!底知れぬ楽天主義に満ちた、冒険と情熱に満ちた1927年のアメリカ。
それに対し、レーガンがヘマをやり、ブッシュ親子がバカをやり、チェイニーが暴走し、そして2019年、トランプが狂った。
今や悪意と捏造に満ち、”狂った”アメリカと付き合うメリットが何処にあろうか?世界は今、アメリカの足元をしっかりと見てる。その足元が既にグラつきつつある事を見抜いてる。つまりトランプは、”腐ったアメリカ”が生んだ廃棄物に過ぎない。
”アメリカが終わりを告げた夏”、それは猛獣トランプが失脚する夏であろうか。ビル•ブライスンの「アメリカを変えた夏1927」を読んでつくづくそう思った。
実は私も同じ事考えてました。今更、娯楽用大麻合法なんて虫が良すぎますよ。
これにはどうも裏がある様な気がしますね。戦争を平気で捏造する国です。アホなアメリカ国民をシャブ漬けにして、抹殺する事を計画しても、不思議じゃない。
今アメリカが生き残る為には、大金を使って国外に喧嘩を仕掛けるより、大麻を合法化して、国内のアホを抹殺した方が安上がりですもんね。
全くpaulさんは色んな事を考えさせてくれる。
ビルブライソンも懐かしいです。確かアパラチアントレイルの映画の原作となった作家ですかね。「ロングトレイル」でしたか。好きな作家の一人です。
アメリカが終わりを告げた夏とは、言い得て妙です。戦争も大麻も合法化する大国アメリカに明日はあるのか。私はもうアメリカは半分は終わったと見てます。
大麻の合法化も自分で自分の首を絞めてるようなものですもの。ひょっとしたら、アメリカの人口を減らす為に戦争ではなく、大麻を蔓延させてシャブ中にする事を企んでるかのようです。
本当に転んださんの記事はいろんな事を考えさせてくれます。
習近平の”狸のブーさんは”は言い得て妙ですね。ただ、飼育係の安倍がエサ撒きすぎって所でしょうか。
トランプは猛獣ですが、タテガミがズラなので、意外に大人しいかもです。
とある資本家集団の経営する動物園での役割。
トランプ:猛獣使い。まだ誰も食い殺してはいませんし、言う事を聴かない獣を操っています。
習近平:獅子の皮を被った狸のブーさん。姑息な手段でアチコチを食い荒らしています。
安倍首相:飼育係。アチコチで、餌を撒いています。
今は獣はいても、一強(猛獣)はいないので・・、どうでしょう?