象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

『コールガール〜私は大学教師、そして・・・』その11(20/6/29更新)〜愛しい客と、そして死んだ母への裏切り

2018年06月14日 21時53分27秒 | コールガール系

 前回”その10”では恋人のルイスとも別れ、心機一転と思いきや、ブギーマンに纏わり付かれる始末で、なかなか波に乗れないジャネット嬢ですが。ブギーマン以外にも嫌な客は多くいるみたいで、コールガールといっても全ては客で決まるんですね。

 一番ゲスな客は、金をシブる客。SEXはドラッグと同じで、皆恍惚から冷めれば、誰もSEXに対し、金を払いたいとは思わない。頭の中は次の恍惚の為に、金をどう工面するかで一杯になる。
 飲み屋も同じですな、会計の段になると、不思議とトイレに逃げ込みたくなる(笑)。


障害者だって女を買う

 中には、”支払いゲーム”をする奴がいる。勿論、常連に限っては、約束の時間を過ぎた後でも支払う特権を与えられる。その方がエレガントであり、優雅な気分に浸れる。どうも、前金というのは無機質でアカンですが。

 しかし、客が一度でも金を渋れば、経営者のピーチはご贔屓の常連でも即座に特権を取り消した。私が超肥満のエイブ(”その10”参照です)に痛い目に遭ったのは、ピーチを介さずに仕事をしたからだ。”客を盗むのはタブー”であり、非常に危険でもある。コールガールとは、酷い目に遭った時は自己責任で、誰にも頼れない。
 ただ、エイブの脅しは、所詮ハッタリであったし、彼も限界も知ってはいたであろう。だが、最もタチが悪いのは、支配したがる客だ。長嶋一茂みたいな奴ですね。ソープランドでの彼の奇行は有名ですが。

 一方、そんな嫌な体験を埋め合わせてくれる好人物もいた。マーティンという男性は、妻も恋人もいなく、将来のパートナーに巡り逢う可能性もなかった。
 彼は知的発育障害があり、障害者手当を受け、街の惣菜屋のパートとして働いた。故に、月に一度コールガールを呼べるだけの経済的余裕があった。
 これがアメリカ的豊かさなんですな。日本で、知的障害者がブロンドの女を買う事が出来るだろうか。ソープランドすら出入り禁止だろう。真っ当なサラリーマンでも、月一でソープに行ければいい方だろうか。


それでも信頼できる客には変わりない

 ピーチのエージェンシーこそが、彼の唯一の御用達であった。彼女もマーティンみたいな人には、特に親切だった。お陰で、私もドーチェスターに住む、四肢麻痺の患者の元へ、よく派遣されたものだ。ピーチは、誰よりもこのドーチェスターの客を大切にした。
 コールガールの組織の長といえども、ピーチは、彼には愛情深く辛抱強く接した。彼女にはそういった、母性的側面を持ち合わせてたのだ。

 マーティンは、何時もほんの少しだがチップをくれた。3ドル8セントという、僅かな気持ちが嬉しかった。今でもその気持ちは忘れない。マーティンは私が信頼できる数少ない客でもあった。
 四肢麻痺といい知的障害者といい超肥満といい、アメリカの売春事情というのは広く深く、多岐多様に繁殖してんですね。ある小説に、片足の娼婦の描写があった。その時、アメリカって奥行きが深いんだなって、つくづく感心したもんだ。


死んだ母の事

 しかし、こんな仕事をしてると、ふと死んだ母の事を思い出す。もし母が生きてたら、私の昼の仕事も夜の仕事も歓迎しなかったろう。教育程度の高い家庭でなかったから、修士号や博士号を取ったのも、私が初めてだった。

 それに、実際に母は、私がカレッジで教える事を喜ばなかった。勿論コールガールも。母親は世間体が全てだったから、母は彼女が考える現実の中で、生きるふりをした。
 そして、それが現実となった。私は母の絵空事に背を向け、世の中の現実を受け入れた。そうする事で母を裏切ったのだ。

 私の母親も全く同じですね。そして、母の期待を裏切るかの様な人生を私も送ってます。私がジャネットに同調するのも、そのせいですな。頑張れジャネット、後ろを振り向くんじゃない。

 少しブルーになってきたので、珍しく短いですが、今日はここまでです。



4 コメント

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こんにちは (びこ)
2018-06-15 15:43:06
> 私の母親も全く同じですね。そして、母の期待を裏切るかの様な人生を、私も送ってます。

転象さんがご自分の境遇を語られるのを初めて聞いたような気がします。お母様は、どんな期待をしておられたのでしょうか?^^

ジャネットの話も面白かったけれど、転象さんの境遇も記事にしていたけると、もっと面白く読ませていただける?^^
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Re:こんにちは (lemonwater2017)
2018-06-15 19:43:41
象が転んだです。
コールガールブログ読んで頂いて有難うです。

 私の母も、ジャネット嬢の母親と同じく、世間体が全ての人です。だから、公務員みたいな、堅く単調な仕事に就く事を、強く願ってました。

 一方、私と言えば、色んな才能や可能性を試したかったし、色んな仕事をしたかったんです。故に、遠回りをして母親に多大な迷惑を掛けましたが。

 結局、今から思うと、母の言う事を聞いて、大人しく公務員か学校の先生をしてたら、とも思います。でも、多彩な才能を活かすには、様々な経験や苦労は必須ですし、特に後悔してる程でもないですが。

 ジェネット嬢と同じ様な考えと感覚が、自分にもあるんですね。自分と同じ人種で、同じ様な知能の人が、丁度地球の裏側にいると。サイコパスの著者のJファロンも、同じ様なレヴェルの人種みたいで、他人に思えないのです。ポールオースターなんかに強く惹かれるのもそのせいです。

 日本には、特に田舎には、私の様な人種は皆無だし、受け入れられる事も、スムーズに出世する様な待遇にもないのですが。私が自分の事を話したがらないのは、そのせいかもです。

 別に、男娼をしてる訳ではないのですよ(笑)。
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ありがとう (びこ)
2018-06-15 21:30:37
お応えになりたくないことをお応えくださって。
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Re:ありがとう (lemonwater2017)
2018-06-16 01:35:09
象が転んだです。
いえいえ、こちらこそ、殆ど答えになってなくて。

 でも、男って女性とは異なり、あんまり自分の事は話したがらないですね。男は常に夢に生きるんですよ。女は強いから、現実に生きれるけど。
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