昨日、リーマンと読書ブログのバックナンバーを読んでくれた方、どうも有難うです。最近、リーマンブログに偏ってる傾向にありますが。他のジャンルも宜しくです。
さてと、夏休みになると、勉強とかしたくないですよね。特に、育ち盛りの子供たちは。余程、興味津々な宿題じゃない限りね。
勉強にも遊び心と冒険心がなければ、全く無機質の行為に過ぎませんもの。
ホンの少し難しいですが。暑さを吹き飛ばすには、丁度いい、捻くれた問題です。屁理屈だと思って、聞き流して下さい。
1+2+3+•••=という、自然数の無限の総和があります。さてと、この答えはいくつでしょうか?
無限大か、またまた、−1/12?か。
実は、両方とも正解なんですよ。
というのは、通常の実数の世界では、当然無限大ですね。しかし、実数を複素数の世界にまで拡張すると。答えは、なななんと−1/12になるんです。
自然数の無限の総和が何とマイナスになるなんて、それを考えるだけで、夏休みは終わりそうですね。
証明に入りますよ。覚悟ですよ。
まず、自然数の無限和=X=1+2+3+•••とします。すると、
X−4X=(1+2+3+•••)−4(1+2+3+•••)=
(1+2+3+•••)−2(2+4+6+•••)=1−2+3−4+•••=−3X、ですね。
ここで、初項1、公比−xの無限等比級数の公式を考えます。高校1年位ですかね。
1−x+x²−x³+•••=1/(1+x)、但し、|xl<1です。
この両辺を二乗するか、微分するかで、簡単に1−2x+3x²−4x³+•••=1/(1+x)²が得られますね。
これに、x=1を代入すると、1−2+3−4+•••=1/4です。よって、−3X=1/4より、X=1+2+3+•••=−1/12、となります。エエエ?
因みに、x=−1を代入すると、1+2+3+•••=は、やはり無限大になるんですが。ここら辺は不思議というか、良くできてるというか。
しかし、これはとても危険な計算ですね。x=1では、無限等比級数は発散しますから。だから、通常の実数の世界では、勿論、この答え(=−1/12)は間違いという訳で。
でも、これが複素関数(複素空間)の世界だと、”一致の定理”という”解析接続”によって、x=1を使っても発散しなく、合法なのです。故に、発散する筈の級数が、なんと−1/12に収束するんです。
ここで少しややこしくなりますが。この”一致の定理”について述べます。少し耳が痛いんですが、辛抱です。
無限等比級数の公式:1−x+x²−x³+•••=1/(1+x)、をよく見てください。左辺が収束するのは、|x|<1の範囲で、右辺が収束するのは、x≠−1の範囲です。実は、この2つの領域を繋げるのが、”解析接続”と呼ばれるものです。
この2つの領域を繋げる為に、複素関数論における”一致の定理”を使うんです。この定理は、”複素平面内に広い領域Eとその中の狭い領域Dがある時、2つの関数がD上(狭い領域)で一致すれば、E上(広い領域)でも一致する”というものです。
すると、上式の両辺は、狭い領域D(|x|<1)で一致(収束)するので、その領域外の広い領域E(x≠−1)でも一致(収束)します。
故に、狭い領域D(|x|<1)の範囲外のx=1を代入しても、発散する筈の左辺は、収束する(右辺=1/2)のです。複素数上ではですが。
この狭い領域こそが実数上でのみ許された範囲で、広い領域が複素数上で可能になる範囲となります。解析接続による拡張とは、つまりこういう事ですね。
人間で例えると、会社(狭い領域=実数域)では、全くのダメ社員(発散する)だが、家庭(広い領域=複素数域)では、立派な家族思いの、信頼される父親(収束する)って、何処にもいますよね。もっとわかり易い例で言えば、一見淫乱(発散)に見える放蕩女も、広い視点で見れば、いい女(収束)なんですよ。
つまり、実数の世界では、発散するという姿をした”自然数の和”も、複素平面上では、”収束する美しき無限級数”という事で。
如何でしたか。私が言いたかったのは、定義域を広げる事で、答えも拡張するという事。考え方を広げる事で見方も広がるという事。何事も決め付けはいけませんな。どうです、子供の夏休みの宿題には、ピッタリでしょうに。
無機質な計算ドリルを100万題やるより、こういった有機質な”ひねくれ問題”を1題やった方が、ずっとずっと楽しいですね。
本当にこういう問題は考えるほどに迷いますね。はたしてどっちが本当なのか。発散する筈の無限級数を放蕩女に喩えたのはグーです。
転んださんお得意のゼータ関数も、絶対値というタイトロープで縛りつけ、収束させ、領域を複素数にまで広げますもんね。
でも一致の定理というのは、殆どマジックに近いです。複素数の世界とはいえ、二つの関数領域でどこかに接点がありさえすれば,条件は同じになるんですから。
今、解析接続を何とか勉強中ですが。色んなやり方があるんですね。一致の定理とかその一部で、ホント昔の人って頭良いですね。ものや道具に恵まれない分、知恵を最大限に働かせてたんです。
今の数学者がリーマン予想を解けないのも当然の如く思います。
絶対値がタイトロープとは、全くの言い得て妙です。paulさんらしいです。もう少ししたら、リーマンの謎ブログをその1から、少しづつ更新する予定です。その時は宜しくお願いします。