メジャー史上最大の賭博スキャンダルになる可能性が出てきた。
大谷は、今年1月のNYで行われた全米野球記者協会のMVP授賞式の挨拶で、”いつも僕のそばにいてくれた水原一平さんら、家族や友人に感謝しています”と流暢な英語で語っていた。
だが、その僅か2ヶ月も経たない内に、2人の親密な関係は藻屑と消えた。(報道が正しければだが)悲しいかなその時は既に、水原一平氏の違法賭博を知ってて、彼の借金を肩代わりし、違法賭博師の口座へ送金し続けていたのである。
慣れないアメリカで、一番信頼する友人にある意味、騙されていた。そして水原氏も、違法賭博の恰好なカモとされていたのである。
人には2つの顔がある。1つは信頼を勝ち得る顔と、もう1つは信頼を裏切る顔である。悲しいかな人は、その2つの側面を行き来して生き延びていくしかない。
水原氏は(私が見る限り)典型の”いい人”である。今回の件で、彼には学歴疑惑など、色んな悪い噂が流れ始めている。だが、今回の一番の犠牲者は大谷選手ではなく、水原氏である。
大谷本人も水原氏には絶大なる信頼をおいてた筈だ。だからこそ違法賭博の借金と判ってても、お金を振り込み続けたと言える。
本来なら、溜め込んでる「ガロアの最終論文」を連載して一気に片付けたいが、今日は”違法賭博”をテーマに記事を纏めたい。
2つの賭博スキャンダル
野球賭博と言えば、メジャーでは1919年の”ブラックソックス”事件が有名だが、日本プロ野球では”黒い霧”事件が記憶にある。
前者は、ワールドシリーズ前から噂されていた賭博がらみの八百長疑惑が真実味を帯び、地方新聞の暴露記事がきっかけとなり事件が発覚。最終的にホワイトソックスの主力8選手が賄賂を受け取り、わざと試合に負けたとして刑事告訴された。
陪審員裁判では無罪となったものの、コミッショナーからは永久追放処分を言い渡された事から、”アンラッキー8”(悲運の8人)とも呼ばれている。永久処分された選手の中には、メジャー史上最高の打者とされるジョー・ジャクソンも含まれていた。一方で、ライバルのタイ・カップも八百長に加わってたが、処罰を免れている。
当時は、選手だけでなく審判も八百長に手を染めてたとされる。つまり、多くのメジャーに関わる関係者らも露骨な違法賭博に手を染めていた。しかし、当時MLB史上最強とされたWソックスの選手だけが追放処分となる。
ケチで知られるオーナーの為に、低賃金でプレーしてたWソックス選手らが、賭博師の誘いに乗り、八百長に関与した。が、シリーズ途中で胴元が破産し、選手たちは八百長と手を切ろうとする。しかし、事態はマフィアも関与する所にまで発展し、ある選手は家族と共に脅迫されていた。
全く、事情が事情なだけに八百長に巻き込まれた選手には同情に値するが、8人を永久追放処分にした、当時のコミッショナー(K・M・ランディス)も黒幕の1人だと私は睨んでいる。
日本でも、これと同じ様な賭博スキャンダルが起きた。後者の”黒い霧事件”(1969~71)だが、西鉄ライオンズのエースだった池永を含む、主力3選手が永久追放処分を受けた。
当時、西鉄の主力打者だったカール・ボレスが”ウチにわざとミスやエラーをする選手がいる”と囁き、報知新聞が動いたのが始まりだった。結果、永易投手が暴力団関係者に依頼され、八百長を行ってた事が判明し、西鉄球団を解雇される。
この”黒い霧事件”により多くの球団で処分者を出したが、5名の処分者を出した西鉄の戦力低下は致命的で、79年に埼玉の西武鉄道に身売りされた。
記憶に新しい所では、2015年に読売に在籍する複数の選手が野球賭博に関与してた事が発覚し処分を受けている。
因みに、野球賭博といっても、職場などで”今度の甲子園でどこが優勝するか”などを予想するのとは異なり、違法賭博では、”ハンデ”なるものを付けて、双方に賭けが入る様に調整する。故に、胴元だけでなくハンデ師にも手数料が入る仕組みになる。詳しくは”野球賭博”で検索すれば、色々と考えさせるものではある。
ウソだと言って
仮に、今回の水原氏の違法賭博の件が、大谷の選手生命に終焉をもたらすとすれば、これほど不幸な事件もないだろう。
今の所、その確率がゼロとは言えないが、捜査が進み、真実が判明するに連れ、その確率は賭け金と同じく少しずつ上昇するだろう。無実を勝ち取ろうと藻掻く程に、信用は急落する。
”信用貸し”なしの合法賭博から”信用貸し”ありの違法賭博に手を染めた水原氏も、その水原氏を信用して(結果として)お金を工面した形となった大谷選手も、まさにアンラッキー(不運)である。
人生は頂点の時にこそ凋落が始まるとされるが、その典型である。事実、前述のジョー・ジャクソンも池永正明氏も選手生命のピークにあった時に、賭博スキャンダルが彼らを襲った。
一方で、大谷選手もベーブルース以来の二刀流で大成功し、空前の超大型契約を勝ち取り、更に結婚にまでこぎ着けた。お陰で、大谷本人よりも新妻の話題で、メディアやSNSは毎日の様に浮かれっ放しであった。
日本人の誰しもが、大谷夫妻の輝かしい未来が約束されたものと信じ、心から祝福してた筈だ。が、その裏側で恐ろしい事が起きていたのだ。勿論、水原氏の妻も大谷の新妻もそれを知る由もない。
そんな中で起きた、衝撃的な違法賭博スキャンダル。それは性加害でもなく、裏金疑惑でもなかった。
どんな人間にも表と裏の顔がある。飼い主の前では可愛く振る舞う猫だって同じだ。
熱狂的な日本人のファンならともかく、大谷や野球をよく知らない外国人なら、”影でやってたんじゃないの”とか”逆に水原に責任をなすりつけたんじゃないのか”って疑われても仕方がない。
結局、人はイメージで決まる。いくら外面が良くても何かをきっかけに悪い噂がたてば、大衆のイメージは悪い方にバイアスが掛かる。
つまり、大谷も水原も所詮は生身の人間である。表向きは清廉潔白でも、裏を開けせば??って事も十分にあり得る。
特に、野球賭博の場合、その手口は見事なまでに巧妙化され、広く拡散し深く潜り込む。本当の黒幕はすぐには見つからないから、関与したプレイヤーらが常に犠牲になる。
負債を背負った時点で犠牲を払ってるのに、社会的制裁まで背負う羽目になり、最悪は”野球や球団のイメージを損なった”として、永久追放処分を受ける事もある。
今回の水原氏の違法賭博の件も、大谷が水原氏の負債の肩代わりをしたという問題だけではなく、水原氏が関わった違法賭博を通じ、裏社会と何ら関係や接点があったのではないかとの疑惑すら浮上する。
でなければ、負債が7億近くまで膨らむ筈がない。事実、違法賭博師のマシュー・ボウヤーと知り合った21年以降から、賭博の借金が急激に膨らんでいた。(FBIから家宅捜索を受けた)ボウヤ―氏が常々、水原氏の背後にある大谷選手に照準を絞ってたのは明白だろう。
それに、ギャンブル依存症とは言っても、通訳とは言え、一般人が背負うレベルの額じゃない。勿論、かつての”バスケの神様”Mジョーダンの様に、超高額を稼ぎ出すスター選手が賭博にハマり、多額の借金をする事はしばし見られる事だが・・・
大金が集まる所に巨悪も群がる訳だが、今やスポーツ賭博は違法賭博も含め、ビッグビジネスの世界である。通訳の水谷をカモにして、大谷が狙われても当然ではある。そうやって胴元は巧みに大金の入った財布をこじ開けていく。
違法でなくとも、ビジネスとはそういうもんであろうか。
違法と知りながら・・・
「人は見かけによる」に寄せられたコメントにある様に、SNS上では様々な意見が上がってる。酷いものだと”大谷を逮捕せよ”ってものまである。
表向きは、水原氏が違法とは知らず賭博に手を染め、借金を積み重ね、それを大谷が助け続けたとなる。
メディアでは”借金が7億近くに重なって大谷に助けを乞うた”とあるが、21年末に違法賭博のボウヤーと知り合い、”信用貸し”で借金が急激に増えていった。因みに、合法賭博には信用貸しはありえない。
22年末で1億5千万もの借金を背負ったから、この時点で大谷に助けを乞うたのだろうと、私は踏んだ。ESPNの取材に水原氏が語った所によれば、実際には23年始めに借金が約6億円に膨らんだ所で、”身の不安を感じ、大谷選手に助けを求めた”とされる。当の大谷は渋々と応諾し、彼を”助ける”と約束したという。
因みに、1億5千万の借金は知人や友人に借金したとされるが、後で判った事だが、水原氏には自由に使える大谷名義の普通口座があるらしく、それから支払われた可能性が高い。つまり、FBIが尻尾を掴んだのはこの口座かもしれない。
以上、判ってる事で言えば、その後9回に渡り、大谷選手は水原氏の借金を肩代わりしていた。以降、2人は大谷のパソコンにログインし、大谷の口座から9度に渡り、ボウヤー氏の助言で”ローン”という名目で、計450万ドルを振り込んでいく。これは50万ドル×9回=450万ドルとなり、報道されてる額と一致する。但し、ローンの”9回に分けて”とのボウヤーの指図は、隠し口座に分散する事でFBIの捜査を撹乱できると踏んだのだろうか。
一方で、大谷の資金力からすれば、450万ドル(約6億8千万)なんて僅か1回で支払える筈だ。見方を変えれば、大谷選手は違法賭博の負債と知ってて何度も肩代わりした事になる。
勿論、大谷選手としても、良かれと思ってした事だが、例え僅かな額の送金でも(本来ならば)その行為が法的に合法か違法かの判断は、いや少なくとも、こうした一連の行為が非常に危険なものであるかの認識は必要だった筈だ。が、大谷選手には送金する相手・違法賭博師のボウヤー氏の素性を知る由もない。つまり、水原氏の言葉を信用するしか他なかったのだろう。
所詮は、子供のまま大人になった野球選手の幼稚な金銭感覚に、それを求めるのはそもそも無理がある。
多分、大谷選手も水原氏も”今まで大丈夫だったんだから”って甘い考えもあったかもだが、違法賭博師のボウヤ―はそういう事をすでに見越してたのだろう。事実、ボウヤーは”大谷もやってる”と嘘の宣伝をし、大谷が顧客である事を売りにしていた。
つまり、賭博師にとってこれほど美味しいカモも他にはない。
選手自身が違法賭博に手を染めたのであれば、謝罪する事で最悪は免れるかもしれない。が、違法賭博による借金と知ってて、何度も借金の肩代わりをしたのが事実であれば、第3者も絡んでるので微妙に拗れてくる。
前述の”黒い霧”事件も、西鉄球団だけではなく多くの関係者を巻き込み、多くの処分者を出した。故池永氏も”たかが100万、中洲で遊んで記憶にはない”と言ったか言わぬか、その”たかが100万”がその出処次第では後々に大き過ぎる致命傷となる。
追記
タラレバだが、大谷選手が本当に水原氏を信頼してたのなら、代理人または他の誰かに一言でもいいから相談すべきだった。そんな機会は幾らでもあった筈だ。
しかし、そういう事が判っていながら、何も出来ないのも人間である。
因みに、連邦法では違法スポーツ賭博メーカーへの送金を厳しく禁じている。つまり、連邦法を厳格に適用すれば、被害者である筈の大谷選手は、どんな理由があれど法律に違反した事になる。
事実、連邦法では”禁止州で賭博業を営んだり、賭博業に資金を提供したりした場合、5年以下の懲役や罰金を科す”と定めている。
一方で、MLB機構には”選手が違法賭博メーカーの為に働いた場合、最低1年間の出場停止処分”との厳しい規則がある。
そういう私も(額や規模は違えど)それに近い経験があるから、2人の気持ちは痛いほど理解できる。今はただ、必要最低限の処罰だけで済むことを願うばかりである。
つまり、連邦法を正確に適用すれば、被害者である筈の大谷選手ですが、どんな理由があれど法に違反した事になります。
人の良さが法に触れる事もあるんですね。
勿論大谷選手も水原氏も多分ですが、そうした法律を知ってる筈がありません。
私も今回の件で初めて知りました。
連邦捜査局が球団側がMLB機構側がどう動くか?長期戦になりそうです。
テロリストの口座にお金を振り込んだら
どんな理由があろうとも同胞とみなされますからね。至極、当然の法律だと思います。
ただ、微妙に気になったのが
大谷選手の大胆なお金の使いっぷりです。
チームメイトの妻にポルシェを贈ったり、全国の小学校にグローブを何万個も贈ったり・・・と
勿論悪い事じゃないですが、一般人からすれば常識を少し外れてますよね。
常識を外れてるという点では、違法賭博師と知ってながら、送金を繰り返した事は明確な法律違反でした。
勿論、人の良さと無知がそうさせたのかもですが、水原氏も大谷の通訳という事で顔が広かったんでしょうね。
つまり、顔だけで違法賭博が出来たと・・・
明らかに水原とボウヤーとの接触は何度もあったでしょうね。
そんな人脈を利用してボウヤーはメジャーに入り込んだ。
大谷がエンゼルス時代のチームメイトのフレッチャーもボウヤーとの接触も確認されてます。
水原の金使いの粗さは一部では有名ですが、人がいいだけに調子にノリすぎたんでしょうか。
水谷はボウヤーの怖さも身に沁みてたはずです。大谷も水原の追い詰められた表情を見て、本気で救い出そうとしたんですよ。
でもそこをボウヤーは狙っていた。
転んだサンが言うように
ボウヤーは大谷の人の良さと無知が墓穴を掘ることを最初から見抜いてたんですね。
水原氏とボウヤーとは幾度か接点があった筈です。
何度か逢う内に”口外したら、大谷も潰すぞ”って脅されたんでしょうか。
勿論、水原氏にも学歴詐欺など怪しい所はある訳で、そういう所もすでにボウヤーは掴んでた筈です。
一方で、水原氏も飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する大谷の通訳という事で、天狗になってたんでしょうね。
気持ちは判りますが、”いい人”が陥る典型の墓穴でした。
一方で、連邦捜査局は水原市を捜査の対象とし、大谷選手は外してるみたいで、最悪の結末は避けられそうですが・・・
ただでさえ人気が凋落してるメジャーで、これ以上のイメージダウンは何としてでも避けたいのでしょうか。
田舎育ちの純粋系アスリートは周りの誘惑にいいように転がされると
特に大谷選手は高卒で野球のことしか知りません。
多分人を殆ど疑うことなく29歳まで生きてきたと思います。
会見では大人びたことを言ってますが
全ては水原通訳が考えた言葉でしょうね。故に、大谷選手は彼に絶大なる信頼をおいてた筈ですよ。
契約に関しても
全て代理人任せで大谷選手のプランは全くないものと思う。
悲しい事ですが、飼い猫ですら自分の意思を持ってます。
今回の水原氏の違法賭博も送金も全て彼の主導で行われたものと推測
つまり起きるべくして起きた悲劇だといえます。
この発言撤回に合わせるかの如く、大谷の代理人は”窃盗の被害に遭ったのは大谷本人だ”との声明を発表。”大事な仲間を救う為に借金を肩代わりした”という美談から一転、”水原氏が大谷の口座から勝手にお金を盗んで借金返済に充てた”と、窃盗又は横領容疑の話にすり替えた。
でもこれは明らかにおかしい。
水原氏に全てを押し付けて解決するレベルの事件ではないし、違法賭博が何処まで深く侵食してるかが問題。
転んだサン指摘の様に、真の意味での犠牲者は違法賭博のカモにされた水原氏です。
沈黙を続けてる大谷選手は明日5分ほどの会見を行うとのことだが、本当の事は口が避けても言えないでしょう。
ただ”水原氏が全てやった事です”では、大谷本人の人間性が疑われる。
結局、”全ては代理人に任せてます。ご迷惑掛けてすみません”と言うしかない。
私もその典型のパターンで、受かってた教育大学をボツにされました。
私も人がいいもんだから、相手の素性を確かめずに受験番号を漏らしちゃった。
滑り止めのド田舎の国立大学でしたから、行く気もなかったんですが、運気は落ちますよね。
大谷選手も高卒後トントン拍子で出世し、僅か29歳で100億円プレイヤー。周りが黙っておく筈はないですよね。
特に、裏社会の人種からすれば、お人好しの無知人間は格好のカモです。
ただ、焦点は水原氏がボウヤー氏とどれだけ密に繋がってたか?
大谷選手は潔白とされてますが、ただでさえ人気のないメジャーには止めの一発になりそうな雰囲気です。
初期始動の失敗とも言えますが、傷口が大きくなる前に、大谷は第3者に相談すべきでした。
すでにFBIの捜査は進行中なので、全てが明らかになるのは時間の問題ですが・・
ある情報によると、水原氏には自由に使える大谷名義の(慈善団体用の)口座があって、22年末の1億5千万の借金はそれから支払われたものだと推測します。
多分、FBIにバレたのはそれでしょうね。一方、9回に分けて支払った”ローン”の口座はボウヤーの隠し口座であった可能性もありますから
全く、人の良さと無知がこれ程までに事を大きくするとは・・・
うまく生き抜くには、冷淡になる事も必要なんでしょうか。
代理人権限で50万ドルまでの送金は認められてるとの声もあるけど
水原は単なる通訳であり、世話人も兼ねてはいるが、そんな重要な機密とも言える権限を親友とはいえ与えられてるのだろうか。
更に、7年間もずっと一緒に身を寄せ合って過ごしてきた大谷が、水原のギャンブル中毒を見抜けなかったというのをそのまま信じれようか。
結局、水原氏1人に全ての責任を擦り付けて全てを終らせようとの魂胆も見え隠れするが、事実関係が見えない状況では、大谷サイドの言葉を信じる他ない。
大谷以上に、ショックでした(嘘)。
こんなのなら会見とか開くべきじゃなかったし、大谷の声と言うより大谷サイドに都合よく作られた文章に過ぎない。
結局、大谷の為にではなく、大谷のお金に群がってるだけで、彼らのいい様に振り回されただけでした。
水原氏も大谷選手も所詮は賭博師や代理人双方にとって、いいカモだったんでしょう。
やはり野球だけでは・・勉強もしないと巧く生きていけないんでしょうか。