今朝は柳川市でも雪が積もり、水道の凍結を心配したが、零下3度でも湿度が高ければ凍結しにくいのだろう。珍しく朝早く起き、あっさりとお湯が出たのには安心した。
数年前にも、凍結でお湯が出ない時があり、早朝から10時間近く経ってもお湯が出ないのでパニック状態になった。が、市に相談したら、”今日はどこの家庭も近くの銭湯に通うみたいですよ”と優しく応える。お陰でパニックを抜け出す事が出来たが、その直後にお湯が出始めた。
確かに、窮地に追い詰められた時、冷静になり機転を利かせる事はとても大切な事で、如何に人がパニック時に頭が回らないかを物語るものだ。
突然の最悪事故
旧年の12月の事になるが、韓国の務安(ムアン)空港で29日午前9時すぎ、済州(チェジュ)航空の旅客機ボーイング737型機が着陸時に胴体着陸したが滑走路で止まらず、壁に激突して炎上。韓国消防庁は乗客・乗員181人のうち、179人の死亡(乗客175人全員と乗員4人)を確認。乗員2人(共に客室乗務員)だけは救助され、病院に搬送された。
韓国国内で起きた航空事故としては、最悪の死傷者数に上るが、韓国交通部の説明によると、着陸しようとする旅客機に管制塔がバードストライクの危険を警告し、着陸を待つよう指示。その約2分後に操縦士が遭難信号を通信し、管制塔は反対方向からの着陸を許可し、操縦士はこれを受け入れたという。
映像には、旅客機が胴体着地し、そのまま滑走路を猛スピードで進んだ末に壁に激突。燃え上がる様子が映っている。操縦士は2019年から機長として乗務し、飛行経験は9800時間以上だった。
目撃者によると”飛行機が降下し、もうすぐ着陸するのかと思ったら、閃光がパッと走り、続いて大きな爆発音があり、煙が立ち上り、その後に爆発が相次いだ”と話す。また、韓国メディアによれば、乗客の1人が家族に”鳥が翼にくっついて(飛行機が着陸できない)”とのメッセージを送っていた。
事故直後から、バードストライクが原因で着陸装置が故障したのでは?とされてたが、済州航空側は”事故は整備の問題によるものではなく、定期点検や出発前の整備点検は徹底的に行った”と話した。
一方で、韓国の航空業界は安全性にて確かな実績を築いてきたと評価されてはいる。また、済州航空は2005年に設立され、韓国最大規模の格安航空会社の1つだが、死亡事故を起こしたのは今回が初めてだった(BBCNews)。
そこで疑問に思うのが、バードストライクによってエンジンは勿論の事、着陸装置にも不具合が起き、更には胴体着陸にも失敗して爆発炎上したのか?という事である。
航空機のジェットエンジンは猛烈な勢いで空気を吸い込む為、近くを飛ぶ鳥が巻き込まれ、その衝撃でエンジン内が損傷し、最悪の場合は停止する。因みに、日本国内の空港では年間1000件超のバードストライクが発生し、22年は1421件、23年は1499件(機体損傷59件)が確認されているという。
海外でも1960年米ボストンでイースタン航空375便がムクドリの群れに衝突してエンジンが損傷。機体は墜落し、62人が死亡する事故が発生した。09年にもバードストライクが原因で(レアなケースだが)両エンジンが損傷・停止し、NYのハドソン川に大型旅客機が不時着水する事故があった。
因みに、バードストライクの発生件数が多い空港では職員がパトロールし、空砲を撃ったりスピーカーで音を発生させ、鳥のエサとなるバッタを駆除する場合もある。更に、各航空機メーカーもエンジンの強度を上げるなどの対策を取ってはいるが、航空機の離着陸は高速で、鳥は迫ってくる航空機に間に合わずに衝突するケースが後を絶たない。その上、鳥の種類が多様で対策も容易ではないという。
バードストライクが原因?
バードストライクにより、最悪はエンジンが停止するのは理解できるが、着陸装置までも故障するのだろうか。
旅客機の場合、エンジンと着陸装置は別系統で、油圧や電子系統のトラブルがあったとしても、着陸装置は手動で操作できるという。つまり、機体不良という整備点検上での人為的ミスと考える方が妥当であろう。それに、”整備不良が原因ではない”と言い切る所に、航空会社の隠蔽臭い体質を感じてしまう。
一方で、記事に寄せられてるコメントを纏めると、まず、鳥が片方の翼にぶつかってフラップが出せなくなり、更に(管制塔の指示通りに)旋回してる途中で片方のエンジンにバードストライクが起きてエンジンが停止し、姿勢を保つ為にもう片方のエンジンは減速できずに全開の状態で、逆方向から滑走路に進入。
その直後、(機体不良による)着陸装置の不作動が発覚し、胴体着陸を試みるも、逆噴射はバランス取る為に最小限で、しかも、着地点(滑走路は全長2800mだが1200mの位置)が奥過ぎた。その上、速度も速すぎた為にオーバーランして壁に激突、爆発炎上した。
これは結果論にすぎないが、もう少し長い時間旋回し、冷静に状況を見極め、着地を手前にしておけば、壁に衝突する事もなかったろうと思わなくもない。胴体着率自体の成功率は高いとされるから、燃料を使い果たしての着陸も着陸後の減速を考える上では選択の1つだったかもだが、全ては後の祭りではある。
またレアなケースだが、両エンジンが停止したとして、ギアを出すと失速する恐れがあるので胴体着陸を選択したとの声もある。推力が無い為、フラップやギアを出せば急失速して墜落するので、慌てて目の前の滑走路に滑り込んだが、ギアが出てないのでスポイラーも立たないし、両エンジン停止で逆噴射も出来ない。故に、失速できずにそのまま壁にぶつかり、爆発炎上した。
但し、”ハドソン湾の奇跡”みたいに近くに川があったら・・と思わなくもない。
今の時点で考えられる事は、この2つ位だが、前者の方がより辻褄が合う。
勿論、ドライブレコーダーなどの詳細な調査結果報告待ちだが、着陸装置の不具合、つまり機体不良という整備点検上のミスの線が強い気がする。事実、事故にあった同会社の同型機でも着陸装置に不具合が見つかり、運行が取りやめになったという。
一方で、格安航空会社でなくとも経費削減の為に、整備を外注に頼る航空会社が多いと聞く。が故に、今回の様な大惨事が起きた場合には、航空会社と航空機メーカー(傘下の部品供給メーカー含む)と整備会社とで”責任の擦り合い”に発展するのは容易に想像できる。つまり、各社共に”自社には落ち度はない”と言い切るのだろう。
但し、事故の原因が何であれ、責任の所在がどこにあれ、起きてしまった事は変えられないし、原因を変える事も出来ない。
確率と数字はウソをつかないけど・・
映画などでは、絶体絶命の危機を回避した機長は英雄視される傾向にあるが、実際には200人近い乗客の命を守る立場にある非常に辛い職場でもあるし、そんなケースが度々起こる様では航空会社は存続できない筈だ。
今回の事故で犠牲になった乗客の遺族らも信じ難い気持ちだろうが、亡くなった機長や乗務員らの家族も耐え難い気持ちだろう。
ただ、航空会社側の”事故は整備点検の問題によるものではない”とコメントは責任逃れの何物でもない。
人為的ミスとは、得てしてこういう所から発生するものだが、多数の乗客の命を預かる航空会社の隠蔽体質を根本から変えない限り、今回の事故はレアなケースかもだが、繰り返されるだろう。
つまり、不正や腐敗や隠蔽の先にあるのは、取り返しのつかない悪夢という悲惨な現実である事も、我々は肝に銘じるべきである。
一方で、韓国の航空業界は”安全性にて確かな実績を築いてきた”と評価されてただけに、なぜ今回この様な単純なミスが重なったのか?バードストライクによるとは言え、着陸装置という離着陸には欠かせない基本的なシステムだけに、大いに疑問が残る。
格安航空会社で20年近く、事故らしき事故がなかったというのも幸運なケースかもだが、”航空機事故は忘れた頃にやって来る”の典型だろうか。
日本でも1985年8月に発生し、単独旅客機事故としては史上最悪の死者520人の死者を出したJAL123便の墜落事故が記憶に新しいが、圧力隔壁破壊で垂直尾翼と油圧系統をほぼ失い、山中の尾根に墜落した。
40年も前の事になるが、つい先日起きた事の様に思える。一方で、旅客機の墜落事故は交通事故の様に、毎日どこかで起きる程に頻繁ではないので油断しがちだが、(以下の様に)確率で言えば、飛行機は自動車よりもずっとずっと安全な乗り物である事も理解できる。
因みに、全米国家運輸安全委(NTSB)の調査によれば、航空機の死亡事故率は極めて低く、438年間毎日搭乗して1度の確率(約0.0009%)とされる。特に、2012年のデータでは29億人の乗客に対して死亡者は372人と、死亡者率で言えば約0.0000128%(780万人に1人)となるが、自動車の死亡者率は0.33%(300人に1人)と雲泥の差である。
また、13年の死亡事故率は100万便につき0.41回と発表され(約0.000041%)、666年に1度という計算になる。更に、2019年のフライト数約7000万便のうち死亡したのは287名(死亡事故8件)で、死亡事故率で約0.000011%、死亡者率では1/約20万5552≒0.00049%となる。
一方、オランダの調査会社To70によれば、大型飛行機の死亡事故率は100万便あたり0.27件で、約0.000027%となり、370万回の飛行回数毎に1回の割合となる。勿論、調査会社によりバラツキはあるものの、以上の様に確率で見れば、航空機は様々な交通手段の中でも最も安全な手段の1つである事が判る。
最後に
但し、事故の最大要因が人的要因である事やダイヤの過密化、航空機の大型化などを考慮すると、将来における航空機事故による”人的被害の大幅な減少は期待できない”との指摘もある。
事実、今回の大事故はその”人的被害”の杞憂がそのまま現実となった訳だが、(先述の様に)済州航空が20年近く事故らしき事故がなかったとは言え、韓国国内の10万飛行回数当りの死亡事故率は0.071件で、世界平均の0.04件(2006年)に比べると依然として高い水準にある。
とは言え、90年代には7件の航空機事故が発生し、そのうち4件で合計307人が死亡した事を考えると、2000年代以降”韓国の航空安全度が大幅に高まった”と評価された、その先に起きた”人的被害”による大惨事でもあったとも言える。
因みに、日本国内航空路線の死亡事故率も約0.0009%と、ほぼ世界と同じ様な確率だが、文部科学省は今後30年以内に航空機事故で死亡する確率を0.002%と予想しており、決して甘い見積りではない事が伺える。
某コラムでは、飛行機事故はインパクトも強く、一度そのニュースを見てしまうと不安になるが、”実際に飛行機事故で死亡する確率は宝くじを当てるよりも低い”として、”搭乗の際は不安になりすぎず、楽しい空の旅を満喫しましょう”と脳天気な事を語る輩もいる。
だが、人為的ミスも含めた人的被害がある一定以上の確率で存在する限り、航空機による死亡事故の確率が増えないとも言い切れない。
因みに、韓国航空会社が起こした事故としては、1997年にグアムで200人以上が死亡した大韓航空機墜落事故以来、最悪のケースとなったが、最悪の事故というものは”忘れた頃にやってくる”というのを痛感する。
こうして、確率と数字で旅客機事故を眺めると、こうした大惨事が起きる確率は(かなり低いかもだが)確実に存在し、今回の事故ではそれを見越した徹底した安全対策に手抜かりがあったと言うべきだろう。
因みに、年明け後の1/8の報道では、韓国政府は事故原因の1つとされるバードストライクの発生を認めただけで、詳しい調査が必要だとし、フライトレコーダーに関しても数か月を要するとの見通しを示した。
一方、被害を拡大させた原因として新たに指摘されてるILS(着陸誘導装置)について、国土交通部は”規定違反はなかった”とし、今後必要な改善策を講じるとした。
また、国土交通部傘下の事故調査委員会についても、天下りによる公平性への懸念が指摘され、委員長が辞任の意向を示している(KBSWORLDより)。
全くここに来ても、着陸装置の不具合などの人為的ミスには殆ど触れず、鳥(バードストライク)や電磁波(ILS)に責任を負わせる”笑えない”傾向が伺える。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます