大谷は、思った以上にいいですね。BOS戦で潰されかけたんですが、何とか持ち堪えました。これも”ルースの呪い”か。
ホント、地元で良かった。敵地だったら、かなりキツイ野次とメディアの洗礼を受けたろうね。特に、ボストンのメディアは残酷だから。童顔無垢の詩人リュシアンがパリで潰されたように。またですかバルザック(笑)。
それに、球団側のバックアップも半端ないんですね。何しろ”金の成るルーキー”ですから。今の所、”二刀流”プロパガンダがピタリとハマってます。
私的には、4月で潰れるかなと心配してたんですが、なんのその。5月も”大谷特急”は衰え知らず。このまま進路を変える必要はないみたいです。
大体において、日本人メジャーというのは、勢いや新鮮味もあってか、最初の年は凄く調子いいんですが。メジャーに慣れられてくると、直ぐに陥落してしまう傾向にある。1941の真珠湾攻撃以降、”半年なら戦える”的傾向は、未だ直ってはいない。
日本人メジャーの投手で最高と言われるダルビッシュも、”賞味期限”の3年を過ぎ、肘の手術をしたが、以降は全くのボカスカです。
NYのマー君も、何とか4年連続で2桁勝利をキープしてるが。同じく賞味期限の3年を過ぎ、防御率は悪化の一途を辿る。今年はもう5点台か。
個人的には一番期待してる3年目の前田も、やや下り坂で、今年は試練の年か。
そんな中、一年目のルーキーとは言え、大谷は投打共に安定してますね。多少レヴェルの落ちるアリーグ西地区という事も優位に働いてんでしょうが。
そういう意味では、松坂もBOSではなく、西地区やナリーグだったら、もっと長く活躍出来たでしょうか。
ただ、エンジェルスも台所は非常に苦しく、大谷を中6日から中5日に変更するプランもチラホラと。
でも、これは最初から分かってた事で、球団側の本音としては、脆弱なブルペンのローテに柱を大谷には望んでる事でしょう。打つ方はオプションに過ぎないと。
でも、嬉しい誤算か、大谷が投打共に活躍するから、中6日のローテが、逆に手薄な先発陣に負担を掛ける。多分、球団側も一ヶ月程でボロが出る筈だから、その頃に投手に専念させ、先発の一角として育てるプランだった様に思う。
この大谷の好調な出だしが、果たして球団や本人に、吉と出るか凶と出るか。大谷劇場も”されど大谷”ブログもまだまだ、先は長くなりそうです。
ただ、大谷の二刀流だが。ボストンでは、ルースの二刀流に、ここまで大騒ぎしたであろうか。勿論、BOSがワールドシリーズで毎年の様に優勝した頃は、大騒ぎの連続であったが。二刀流単体で、ここまで騒いだろうか。
前回でも述べた様に、ニグロリーグでは、”ダブルデューティ”と言って、当時は、DHという打つオンリーのエキスパートがいる筈もなく、二刀流は当り前だった。だから、そんなには騒がれなかった筈。ルースが全米中で大騒ぎされたのは、打者に専念したヤンキースの頃からだ。
故に、ルースの代名詞は二刀流ではなくホームランなのだ。それに、ルースの二刀流と大谷のそれとは、根本的に大きく異なる。
ルースの場合、先発の主軸としてローテを守り、登板時以外は外野を守り主軸を打った。登板時も下位だが打席に立った。
最初、監督のエドバローは、”球界の笑いモノになる”と反対したそうだが。コーチの強い進言で、何とかルースの二刀流が誕生した。
当時も今も、3年で65勝してる投の大黒柱を、打の中心に構える事は、クレイジーに思えたろう。それに、二刀流元年(1918)の13勝11本塁打に、昨今のメディアは踊らされてるが。この11本(タイトル)というのは、今に換算すれば、40本近くに相当するであろう。戦争と怪我の影響による僅か95試合での記録だ。
勿論、BOS最終年となる翌年も、9勝29本で、全米を震撼させた。それは二刀流のパフォーマンスではなく、その本塁打の数でである。
フルタイム二刀流のプランは、ルースを常時、投打の中心に置く事で、強豪揃いのアリーグを打破する、チーム戦略でもあった。勿論、大谷の様に人気取りもあったが。当時、”王者の街”と称されたボストンは、優勝を宿命付けられてた。
大谷の”過保護的二刀流”とは対象的に、ルースのそれは、勝つ為の”強制的フルタイム型二刀流”だったと言える。
実質、ルースのフルタイム二刀流は、僅か2年で幕を閉じるが。この二刀流も、ルースを”ベースボール界の巨人”に押し上げる為の、単なる序曲に過ぎなかった。二刀流を辞めたのは、ベースボールを汚す様で嫌だったのかも知れない。
つまり、この大谷の過保護にも見える二刀流協奏曲は、日本がルースをお手本にし、独自に奏で、アメリカへ送り出した”メディア戦略”とも言えなくもない。アメリカからすれば、二刀流の逆輸入ってとこ。
しかし、この大谷フィーバーにより、衰落しつつあるMLBの、人気復活のカンフル剤には成り得るだろうか。ストライキ以降、空洞化した大きな穴を埋める事は可能なのか。
丁度、腐敗と不正の歴史を蹂躙してきたベースボールを、崇高な歴史を辿ってきた日本の野球が浄化する形となってる。大谷に垣間見る”日本の美徳”がアメリカを蹂躙するかの様に。
そういう意味では、今後も大谷の”過保護的二刀流”が、スンナリと全米中で受け容れられる可能性は十分にあるし。大谷劇場の受皿は、ここにて揃ってきたのだ。
でも、こういう杞憂のシステムは、球団側の嬉しい誤算上の恩恵でもあり、大谷が残したパフォーマンスの成果と威力でもある。
しかし、数字が落ち込み、パフォーマンスが萎れてくれば、当然、球団が描いたシナリオも萎れてくる。二刀流という”麦穂で黄金色に輝く麦畑”も一瞬にして、二刀流という”残骸の廃棄処分場”と化すだろう。
出だしが良い分だけ、落とし穴も大きく深いのだ。球団側もどこで大谷の二刀流に見切りをつけるのか?そのタイミングが重要となる。
しかし今、日本のファンもメディアも、上ばかり見てるのも事実。今の内に足元を見とかないと、”大谷バブル”の崩壊に慌てふためくのも、あり得ない事ではない。
本当に大谷は過保護過ぎます。
ソーシア監督がNY戦で大谷を投げさせない事を発表しました。メジャーの人気が下降する中、こんな呑気ボンボンな事でいいのでしょうか。
田中と大谷の投げ合いは、日本のファンもニューヨークっ子も待ち望んでた事でしょうに。
だから、MLBは他のメジャーなプロスポーツに遅れを取るんですよ。大谷の名を東海岸にアピールする大きなチャンスだったのに。
この哀しい決定に、転んだサンはどう思われますか。
でも、大谷の打撃練習はスゴイですね。ヤンキースタジアムの最上段です。全盛期の松井だってあそこまでは飛ばせない。マー君のスプリットをどう打つのか、それだけが楽しみです。
私の推理としては、投手大谷が潰されるのを指を加えて見たくはなかったんでしょう。一度、ボストンに潰されかけ、そのボストンよりも強力な破壊力を持つ、”殺戮打線”のヤンキースが相手ですから。
折角、大事に育てて来た”二刀流ルーキー”を敢えて潰されたくなかったと。それも、敵地の東海岸でです。メディアの酷評も半端ないですし。でも、この消極策がどう出るのかが、少し心配ですね。
今の時期に、投手としてキズモノにしちゃうと、もう使えなくなる。二刀流とかの問題じゃなくなる。大谷という金の成る木が、消え去る訳です。
そういう意味では、懸命な判断ですかね。
大谷の打撃練習ですが。普通練習で、あそこまで本気で打つ選手は、いないんですが。まだ若いし、メジャーに来たばかりなので、練習も本気モードなんでしょう。怪我とか疲れとかが心配ですが。