象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

ダメな人ほど成功する?〜努力しない人が勝ち組になる時代

2024年07月24日 07時16分56秒 | ブログ系

 私は典型の”努力しない”人間である。いや、”努力したらダメになる”典型の人間である。
 「外れ者が進化を作る」(稲垣栄洋 著)では、”頑張らなかったから生き残った”雑草の多様化した個性に論点を当てていた。
 確かに、ユニークな論調である。つまり、頑張らない事が人類の進化を支えるとしたら?言い換えれば、人類がこのまま努力し続ければ死滅するのだろうか?
 頑張らないから生き残れたと仮定し、それが正しい事が証明されたら?ひょっとして私も勝ち組になれるかもしれないのだ。いや、そう考える事で少しは脳内をリラックスできる。

 私達人類は長い間、様々な強迫観念に支配されてきた。
 例えば、”努力は必ず実を結ぶ”とか”神様は常に見ている”とか”もっと頑張ればもっといい結果を残せる”とか・・・こうした信念を持って生きてきた日本人が殆どではないだろうか。
 実は私もその1人であった。
 ”努力では、精神力や根性では絶対に負けない”と常に自分に言い聞かせてきた。つまり、努力や根性という言葉は、私の長年のバイブルであったのだ。
 しかし、60年を生きてきて、頑張る事の矛盾と愚かさが明確になってきた。故に、努力の無駄を何度か記事にした。
 勿論、間違ってはいないとは思うが、世の中には努力で成り上がった人も多い。特に、叩き上げのスポーツ選手はその典型である。勿論、その反動で酷い犯罪も繰り返すが、これも努力がもたらす矛盾と悲劇と言えるのだろうか。


努力しない本当の生き方

 一方で、努力というものを精神医学から眺めると、その景色が変わる。つまり、努力をやめ、自分を責めるのをやめて、思い込みを疑うと、自分のまわりの景色がガラリと変わるというのだ。
 確かに、世の中は親次第で、子どもの運命の8割は環境で決まる。その差を努力で埋めようとしても所詮は無理がある。
 だが、恵まれた環境に生まれた人を見てると、一族の期待が大きく、背負うものも大きすぎる。しかも、日本では上流階級といってもタカが知れてるし、階層自体は脆弱だから、油断してると簡単に没落する。
 以下、「努力は実を結ぶなんてウソ・・」より主観を交え、纏めます。

 名家に生まれ、息抜きの仕方が判らないまま、ドラッグやアルコールに溺れる人は多い。
 彼らに共通するのは、”(家系は良いのに)上手くいかないのは努力が足りないから”と決めつけ、自分を責めてしまう所にある。勿論、努力が成功の全てなら、そうかも知れない。
 例えば、天才数学者の息子がいくら努力しても一流の数学者になれないのは当然である。これは、天才数学者の遺族に彼らに匹敵する数学者が1人も存在しない事から容易に推測できる。
 しかし人は、名家のプライドからか、努力すれば名家の名を、一族の伝統を維持できると思いこむ。
 勿論、全くの間違いではないが、誰もが一度は陥る強迫観念に過ぎない。

 例えば、自分を責めるのをやめ、親に責任転嫁するのもやめれば、大分楽になり、まともな精神状態でものを考えられる様になる筈だ。すると、他の選択肢が見えてくる。故に、様々な思い込みをを一旦は排除すべきである。

 ”俺はやればできる””出来ないから苦労してんじゃないか”
 ”人間みな平等””そんな訳ねーだろ”
 ”努力は報われる””報われないから苦労するんだろが”
 ”親孝行しないと罰があたる””生まれた事自体に罰があたってんだよ”

 この様に、今まで固く信じてきた価値観を疑ってみると選択肢が増える。もっと言えば、捨て去る勇気と覚悟も必要だろう。
 つまり、堅苦しい凝り固まった価値観を拭い去る事で、新しい扉が開くとしたら・・・


人生に正解はない

 「毒親って言うな」の著者・齋藤学氏がクリニックでやってる事は、最初から最後まで患者の凝こり固まった“価値観念をはずす”事である。
 人生の選択肢を柔軟に広げ、選択した結果を他人のせいにしない。100%上手くいく正解はないから、上手くいかなかった部分は再検討するだけでいい。
 ”誰も責めないし自分も責めない”・・それこそが大人の選択である。
 だが、直線的因果論で“これを選べば上手く行く”と考える人は意外に多い。故に、正解を選べずに道を踏み外したのは親のせいだと考え、無駄にした時間を取り戻す為に、無駄に彷徨う時期が”毒親期”なのである。
 できれば負けゲームはリセットし、子ども時代に戻ってやり直したいと、誰もが思ってる筈だ。が、人生に正解がない様に、(私の経験からすればだが)リセットしたとしても同じ様に毒親期を彷徨うだけだろう。

 勿論、人生をリセットする事は不可能だから、そこから変化させていく他ない。どこかに新しい句読点を打ち、自身を変化させてみる。その為には頭を柔軟に再構築できれば理想だが、元々固まりたい人は何かの主義主張に再び凝り固まる傾向にある。
 これは、若い頃は柔軟な思考を持ちえてたのに、歳を食った途端、頑固親父に舞い戻るの典型である。
 主義主張(イズム)に凝り固まると、他の選択肢が見えなくなるし、自分が信じてる以外の選択肢を選んだ人を攻撃したくなる。故に、もっといい加減になり、選択肢を幅広く受けいれ、柔軟に生きる事が大切となる。

 例えば、“働かざる者食うべからず”というのも強力な強迫観念であり、確かに、”働くのが一人前の大人だ”という考えは間違ってはいない。が、正解でもない。
 だが、こうした脅しに近い強迫観念に縛られてるばかりに、次の一歩が踏み出せず、八方塞がりになる人も多い。一方で、強迫をゆるめ、動き出した方が変化が訪れる事もある。

 ”アナタね、早く仕事をしなければとか考えてない?それがそもそもの間違い。今まで仕事、仕事って真面目に考えて、いい思いした事あんの?少しでも天職だと思った仕事はあったの?そうじゃないから困ってるんでしょ”
 確かにだ・・・今まで一生懸命やってきた事の結果は、私に借金と百害しか与えなかった。案外、違う所に成功が待ってるのかもしれない。でも、それを見つけるのは容易な事じゃない。
 とにかく私は、なぜ失敗に終わったか?という原因探しばかりやってて、その仕事に意味があったのか?その仕事を社会が要求してたのか?を考えていない。つまり、間違った方向に一生懸命頭を働かせてるから結論が出ないのだとしたら・・・ 

 そもそも、仕事をしていない時間を無駄だと思う事が間違いで、無駄と思える時間こそが凄く大事なのだ。それに、中途半端に仕事をしてた事は、何もやってなかったのと同義かもしれない。人は悩まないと伸びないし、自分はダメだって悩みがあるのなら、それを利用しない手はない。
 以上、PRESIDENTOnlineからでした。
 

最後に

 だが、これは本人にしか出せない答えであり、それが正解か不正解かも判らない。しかし、強迫観念を緩め、”間違い探し”に従事するよりも、気持ちを楽にして頭をほぐしてる方が変化が現れる確率は高い気がする。
 ただ、私は”プラス思考”が全てに良いとは思わない。でも今の”ダメ”は、明日のダメでもない。それはそれで意味があると思う事も、1つの人生の選択かもしれない。

 正直を言うと、努力せずに成功した人と努力して成功した人の割合は半々だと思う。
 つまり、成功と努力の間には何ら因果関係はないと言えなくもない。ただ、あるとすれば、”私は努力しました”っていう曖昧で幼稚な自己満足だけかも知れない。
 勿論、何をもって努力とみなすかにもよるが、努力そのものよりもやりたい事をした方が、ずっと価値ある事の様な気もしないでもない。逆を言えば、努力は思考を硬直化させるだけの強迫でしかない。

 一方で、努力が結果に結びついた時代は既に過去のものである。むしろ、努力が結果に結びつく事自体が私には奇跡にも思える。
 ”1%の閃きがなければ99%の努力は無駄になる”と語ったエジソンは、努力の無駄を既に見抜き、時代を見越していたのだろうか。



2 コメント

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数学なんかやってると (UNICORN)
2024-07-24 20:35:42
努力なんかでは、到底太刀打ちできない事が痛いほどわかる。
もし努力で何かを成し得るのなら、フェルマーの大定理は僕が3分で解いてみせる。
少なくとも360年は掛からない。
数学の世界はそういった難題ばかりで、数学者の決死の努力をも簡単に跳ね返す。

結局は努力で答えが出るレベルってものは、答えが予め決まってる計算問題の類で、そんな簡単な問題は努力しないでもやり方さえ知ってれば解ける。
しかし人は自己満足を異常なまでに欲する生き物で、何かを成し得た感に酔いたがる。
若い時は皆そうだが、歳をとってくると出来る事と出来ない事が明確になる。
人はどれだけ難関にぶつかったかで、努力の儚さと限界を知る。
頑張る事が如何に無力で当てにならない事も知る。
そういうのが本当の意味での人生の勉強と言えるのだろう。 
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UNICORNさん (象が転んだ)
2024-07-25 13:55:11
特に数学に限っては・・・ですが
努力は努力で終わりますもんね。
天才数学者たちの継承は見事で美しいものですが、難しい問題を解くという事は、その難しさを理解するだけでなく、問題を解くためのトリックやアイデアを必要としますから
努力の積み重ねだけでは簡単に弾かれてしまいます。

先日、NHKで日本男子バレーの復活についての番組が流れてたんですが、とにかくデータを徹底的に洗い出し、それに対応する練習が凄かったです。
特にスポーツでは、まだまだ努力が支配する世界なんですかね。色々と考えさせられました。
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