日本の株式市場は年初から急騰し、1989年(12月)に付けた最高値(3万8915円)に近づきつつある。バブルに踊った前回と比べ、今回の相場はデフレからの完全脱却や企業改革への期待などの材料を伴う事より、足腰がしっかりしたものになりそうだ。
”中国や他の主要市場から日本へ資金を戻す時期が到来している”とか”デフレ脱却が鮮明になり、企業は株主に目を向ける様になった。1年で終わる話ではない”と威勢はいい。
更に、”バブル当時と違うのは割高感や過熱感がなく、過去最高の企業業績に見合って株価が上がっている。6,7月に4万円を突破した後、年末に4万2000円まで上昇してもおかしくない”との声まで飛び出す始末だ。
確かに、”(バブル期の様に)割高で買われ過ぎたものは何かをきっかけに落ちる”事もあるが、現在の日本株は当時の水準と比べると”極めて割安”と見る向きもある。
以下、「80年代バブルの高値に迫る日本株市場・・・」から大まかにまとめます。
日本経済復活?
この様に、日本の投資家らによればだが、今回は非常に威勢のいい強気の声が多い。
これにはそれなりの理由がある。
予想株価収益率(PER)は約15倍と、過去10年の平均とほぼ同水準を維持しているが、バブル期の日本株は別世界で、89年当時のPERは70倍、株価純資産倍率(PBR)は5.4倍と異常な高水準だったからだ。一方で現在のPBRは僅か1.4倍に留まる。
89年に最高値を付けた株価は、その後のバブル崩壊で史上最悪の暴落に見舞われ、2009年の最安値まで82%下落。日本のGDPは10年以上も前に中国に抜かれ、今やドイツにも抜かれ4位に転落。株価や不動産価格は20年以上にわたり低迷を強いられたが、現在は再び上昇基調にある。
バブル以降の日本は、こうした”失われた30年”を生き延びてきた。多くの専門家が日本経済復活を声高々に叫ぶのも無理はない。だが、冷静に考えると、専門家の(特に日本の)意見が的中した試しは殆どない。それは、コロナ渦やウクライナ戦争が証明している。
一方で、2024年の日本の利益成長率は1桁台前半と予想され、”最高値を更新するのはまだ先だ”と考える向きもある。
また、Bloombergのまとめでは、アナリストによる1株当たり利益(EPS)の成長率予想は3.1%で、日経平均の相対力指数(RSI)は70を超すなど、テクニカル指標は”短期的な買われ過ぎ”を示唆している。
更に、野村証券の某ストラテジストは、利回りが上昇方向で再調整される可能性が高く、”株価もそれに応じて再調整される可能性が高い”と予想する。
しかし、多くの投資家は現在起こってる経済や企業の変化は本物だと受け止めている。というのも、ここ数十年で最大の賃上げを約束する日本企業は増え、お陰で投資家はインフレ見通しに対し、なお強気である。
更に、現在進行中の長期的な構造変化がポジティブな事を考慮すれば、調整する可能性があるものの、投資家が”日本株を再評価する絶好の機会になろう”との見方もある。
以上、Bloombergからでした。
大衆の狂気がバブルを生む
バブルの語源は世界3大バブルの1つであるイギリスの”南海泡沫事件”の様に、無数の株式会社が乱立し、泡(バブル)の様に消えた事に由来する。
この様なバブルの乱立と崩壊は、ドットコムと名がつけば実態の伴わない企業でも株価が上昇した”ITバブル”とその崩壊を彷彿とさせる。
作家のマーク・トウェインは”歴史は繰り返さないが、韻を踏む”との言葉を残したが、これは株価バブルにも当てはまる。
”チューリップ・バブル”とは、元々と富の象徴とされてきたチューリップの球根が1630年代のオランダにて、常軌を逸した値上がりをし、そして暴落した。記録が残っている中で世界で最初の投機バブルとされる。
これは、実態を伴わない価格高騰は必ず崩壊するという事を我々に教えてくれる。
前述の”ITバブル”も、業績に連動しない株価の急騰が極端なバブル崩壊を生んだ。
前述の南海泡沫事件だが、天才ニュートンもその犠牲者の1人である。
事の起こりは1711年、戦争により膨らだ債務に苦しんでた英政府は南海会社が設立した。この会社は政府から引き受けた負債の6%を利子として受け取り、南米との貿易により負債を整理していく計画だったが、事態は思わぬ方向へ進んでいく。
1720年になると、南海会社が政府債務を全額引き受ける見返りに、会社株の時価と国債の額面を交換するという愚挙に出た。
株価が上がり続ける事を前提とした危険極まりない大博打だが、人間はその渦中にあっても気がつかないものだ。大衆の熱狂は実態のない会社の株価を更に上昇させていく。
南海泡沫事件の顛末は今更言うまでもないが、万有引力の法則で有名なアイザック・ニュートンも大損した。早い段階で投資してたニュートンは株価上昇局面で売却し、7000ポンドの利益を得るが、その後は株価上昇を予測し、高値で買い戻してしまう。結果、その後の暴落で2万ポンドを失う羽目に・・・
英国が生んだ世紀の天才は”私は天体の動きは計算できたが、人々の狂気までは計算できなかった”と悔やんだ。
以上の様に、過去に起こったバブルと現代でもしばし発生するバブルとでは、人々の”無分別な熱狂を伴う”という点では何ら変わってはいない。
また、その様な熱狂を伴った投機バブルは必ず崩壊するという事実も忘れてはならない。
以上、「”世界3大バブル”の狂気の実態」から大まかにまとめました。
日本がひとり勝ちする時代
「日本がひとり勝ちする時」の小幡績氏は、”膨張しない経済”を唱え、日本経済と日本社会の安定性や効率性という強みが発揮されると期待した。つまり、バブルで萎んだ後の”長期停滞・膨張しない経済・膨張しない時代が始まる”と語っている。
確かに、殆どのエコノミストらは”デフレ脱却こそが日本経済の復活に繋がる”と叫び、日本の様に”賃金の上がらない経済は最悪だ”とこき下ろしてきた。
事実、今回の株価高騰の背景には、本格的なデフレ脱却や成長力強化に対する期待が高まり、最近の日本企業の値上げ・賃上げ・投資積極化こそが、日本経済が長期低迷から脱却する動きとして大きく評価されている。
つまり外国人投資家は、今春闘における30年ぶりに高い賃上げを特に大きな変化と捉え、経済成長力の強化に繋がる企業の前向きな支出行動が持続する事を期待しているのだろう。
一方で、米著名投資家の日本株への強気姿勢が心理的に影響してる面もあるし、米国株が冴えず中国にも投資し難い為に、”日本株が消極的に選択されている”との指摘もある。
「お金で世界を読む」(2019)の著者ジム・ロジャーズは過去に、リーマンショック、中国の台頭、トランプ当選、北朝鮮開国に至るまで、数多くの予言を的中させてきた。
”歴史は繰り返すのではなく、韻を踏む”というのが彼の口癖だが、世界の出来事の殆どは、以前にも起きている。
全く同じ事が起きる筈もないが、戦争・飢餓・不況・外国人迫害・貿易戦争・移民問題──これらの問題は形を変えて何度も起きている。
つまり、歴史は”韻を踏む”様に少しずつ形を変えながら反復し続けるのだ。
例えば、90年代後半から2000年にかけ、アメリカでは住宅と金融を中心にした資産価値が高騰した。不動産業界は”今度は違う”と叫んだ。(今回の日本株の様に)”更に高騰する”と安易な考えを持っていた。
しかし、歴史を学んだ人には”明らかに90年前のバブル崩壊と同じ兆候がある”と踏んでいた。1920年代、第一次世界大戦で疲弊したヨーロッパはかつての勢いを失っていたが、代わりに台頭したのがアメリカだ。当時のフーバー大統領は”永遠の繁栄”と叫び、”黄金の20年代”という言葉も生まれた程だ。
だが実際は、ただのバブル景気にすぎなかった。ほどなくNYのウォール街で株価が暴落し、29年からの世界大恐慌に波及する。
著者が、リーマンショックを予想した時も”頭がイカれてる”と笑われた。2016年に東京で、”これからは北朝鮮が台頭する”と発言した時も、危うく逮捕されそうになったが、その僅か2年後には、彼の発言通りになった。
2016年のアメリカ大統領選の時も”勝つのはトランプだ”と言い、家族は皆ひどく腹を立てた。あくまで”彼が勝つ”と言っただけだが、結果は予想通りとなる。
最後に〜日本だけが取り残される
ロジャース氏は、”これからはアジアの時代が来る”と予言するが、世界最大の債権国の日本はその”アジアの中で唯一取り残される”と断言する。
対外純資産は世界1位の約300兆円(2018年)で、外貨準備高も世界第2位の1兆2000万ドル(同)の日本が・・・である。
事実、国内の財政を覗くと、腰を抜かす程の赤字だ。日本が抱える長期債務残高は2017年の時点で(地方を除いた国だけでも)約898兆円。しかもその額は年々増える一方で、借金を返す為に公債を発行し、その借金を返済する為にまた公債を発行するという悪循環に陥っている。
これら借金の返済には将来世代への負担となるのだ。
つまり、債務が大きい国は常に酷い姿になって終焉する。これらは全て歴史が教えてくれる。
現在、世界の負債は西洋に、資産は東洋にある。故に、この10年で近隣のアジア諸国がどれだけ力をつけたかを鑑みると、両者間の落差には目眩がする。一方で、アジア全体は莫大な資産を持ってるのに、特に日本は莫大な借金を抱え込んでしまったのだ。
人と異なる考え方をすれば、他の人には見えないものが見えてくる。もし、周りから自分の考えをバカにされたら、大チャンスだと考えればいい。人と同じ事をして成功した人は今までにもいないのだから・・・(「30年後の日本大変なことに」より)
熱狂が続く時は冷めるのも一瞬です。
今回の株価高騰も日本企業の好調さというよりも米国景気と円安による所が大きく
国の金利政策と大統領選でリスクに転じる可能性もある。
それに今では新NISAなどをメディアが煽り、一般人や主婦までが株をやる。つまり新規の投資家が広がったのも大きい。
確かバブルの頃も株を買わない奴はバカだと言われましたが、結果は周知のとおりです。
しかし具体的に個別の銘柄名をあげて”今後この株価が上がる”と予測する専門家まで登場してますが
まず当たることはないですよね。
いっぽうリスクには2つあって
下がったまま上がらないリスクと底と思ったら更に下がるリスクがある。
靴磨き少年の話のように
メディアが騒ぎ始めたら株価凋落の始まりとも言われてますが、ビットコインもそうでした。もちろん”戦時は買い”という言葉もありますが
株素人にはとても勉強になります。
ただ思うんですが、株なんて金持ちにやらせときゃいいんですよ。
素人や庶民がやるべきもんじゃない。が故に、株投資ははギャンブルに成り下がると思う。
事実、靴磨きの少年は株はやらないですし、メディアが株を煽るというのも不自然に思えて、結局は米半導体大手nVIDIAの好決算によるもので、日本企業とは無関係のようですし・・・
日経平均株価は3日続落し
前日比で492円安の3万9598円で終えました。
下げ幅は今年最大となり
半導体関連株や輸出関連株が売られましたし急落リスクも無視できなくなりましたね。
22年末の東洋経済の記事で
日経平均は最悪1万9324円まで下がると予想してた人がいましたが
そこまでは酷くなくてもそれに準ずるくらい急落は起こりそうな気配です。
メディアや専門家は日本企業が好調の証だと胸を張ってホザイてましたが、ウソもいい所で・・・
結局、彼らにとって株投資とはギャンブルに過ぎなく、大衆が大損をするのを喜んでるんでしょうか。
そういう私は株は全くですが
これからメディアや専門家がどう騒ぎ出すか?高みの見物と行きたいです。
コメント勉強になります。