前々回の「プロローグ」で紹介した[補題1]ですが、”既役な方程式は、有理的な方程式を割り切る時を除けば、共通根を持つ事はない”とガロアは述べてるが、f(x)=0とF(x)=0が共通根αを持てば、F(x)がf(x)で割り切れる筈であり、”a,b,c,…が全て共通根になるのでは?”と思った人も多いだろう。
だが、f(x)=0が既約であるにしても、それは体K上での話で、体K(V)上で既約ではない。故に、[補題1]を[補題3]に適用する事は出来ない。
つまり、[補題3]は”f(x)=0の根a,b,c,…が全てK(V)の要素である”と言い、f(x)はK上で既約だとしても、1次因数にまで分解されるのである。この[補題3]は今では「単拡大定理」と呼ばれ、正確には[補題3]よりももっと強い主張である。だがガロアは、[補題2]を飛ばし、あっさりと以下の様に述べている。
”体Kに、Kの要素を係数とする方程式の根a,b,c,…を添加した時、あるVが存在し、K(a,b,c,…)=K(V)を満たす”[単拡大定理]。
つまり、Kに色んな数を添加しても、それらの数をたった1つの数で代表できる。もっと判り易く言えば、Q(√2,√3,√5,√7,√11,…)との様に拡大した体が僅か1つの数θの添加、Q(θ)に等しい。但し、「単拡大定理」が成立するには、”添加する数がもとになる体の元を係数とする方程式の根である”必要がある。
こうした有理数体Qの元を係数とする方程式の根を”代数的数”と呼ぶが、有理数体Q上で単拡大定理が成立する為には、添加する数が代数的数、つまり有理数やべき根である必要がある。但し、有理数体Qの元を係数とする方程式の根にはならない実数を超越数と呼ぶが、拡大体を考える時、(正体がよく掴めてはいない)超越数は無視できる。
体の拡大と「単拡大定理」と補題4
前回「#1」を簡単に振り返ると、ガロアは[補題3]で”与えられた方程式の全ての根はVの有理式で表せる”としたが、厳密に言えば(有理式ではなく)”多項式で表せる”となる。
この証明には、[分母の有理化](=分母の√を外し、無理数から有理数にする事で有理式を多項式にする)と同じ手法を用いた。
そこで、体Kの拡大体K(V)について補足する。まず、Vの最小多項式をg(x)としその次数をnとする。Vはg(x)=0の根よりg(V)=0となる。K(V)の任意の元αは、Kの元とVとの加減乗除により作られるので、Vについて整理すればVの分数式となる。 故に、α=q(V)/p(V),p(V)≠0とすると、まずp(V)の次数がn以上の時は、g(V)を使い次数を下げる。それをr(V)とすると、α=q(V)/r(V)と出来る。
そこで、r(x)の次数はnよりも小さいので、[補題1]より、r(x)とg(x)は共通根を持たない。これは、仮に共通根を持てば、既約であるg(x)がr(x)を割り切る事となるが、r(x)の次数がg(x)の次数よりも小さいので矛盾する。つまり、r(x)とg(x)は互いに素となる。従って、冒頭の多項式版”ユークリッドの互除法”により、K(V)上の多項式m(x),n(x)が存在し、m(x)r(x)+n(x)g(x)=1が成り立つ。
この式でx→Vとすれば、m(V)r(V)+n(V)g(V)=1となり、g(V)=0より、m(V)=1/r(V)を得て、α=q(V)/r(V)=q(V)m(V)となる。但し、q(V)m(V)の次数がn以上の時はg(x)=0を利用し、次数をn−1次以下まで下げておく。
以上より、K(V)の任意の元は(Vの分数式ではなく)n−1次以下のVの多項式で表せる。
この結果を適用すれば、[補題3]は”与えられた全ての方程式の根はVの多項式(有理式ではなく)で表す事が出来る”と言い換えれる。
最後に[補題4]では、以下の様にガロアは書いてる。
”Vについての方程式があり、可能な限り因数分解し、その既約な因数のうち、Vを根とするものを選ぶ。その既約方程式の根をV,V’,V’’,…とすると、a=f(V)が与えられた方程式の根の1つならば、f(V’)もまた与えられた方程式の根の1つである。
実際、V−φ(a,b,c,…)に全ての根を施したものを掛け合わせると、Vの有理式を得る。これはVについての既約な方程式で割り切れる筈だ。従って、V’はVでa,b,c,…の置き換えをしたものと等しくなる。
そこで、F(V,a)=0で、Vについて全ての文字を並べ替えた方程式について考えると、F(V’,b)=0という方程式を得る。bはaと等しいかもだが、明らかに与えられた方程式の根の1つである。その結果、与えられた方程式とF(V,a)=0からa=f(V)が得られたのと同様にして、与えられた方程式とF(V’,b)=0からb=f(V’)が出てくる”
この[補題4]は、[補題3]の結果と[補題1]を使えばすぐに証明できる筈だが、ガロアは[補題3]と同様、判りにくい証明を記している。
まずは[補題1]を使った簡潔な証明を述べる。元の方程式f(x)=0に、その根であるa=θ(V)を代入すれば、f(θ(V))=0となる。
そこで、この式の右辺はKの元を係数とするVの多項式より、Vを変数xに変えた式f(θ(x))とVの最小多項式g(x)を比較する。xにVを代入すると、f(θ(V))=g(V)=0となり、2つの式は根Vを共有する。g(x)は既約多項式により[補題1]からf(θ(x))はg(x)で割り切れる。
つまり、g(x)の根V,V₁,V₂,…は全てf(θ(x))の根になり、従って、f(θ(V))=f(θ(V₁))=f(θ(V₂))=⋯=0となる。故に、θ(V),θ(V₁),θ(V₂),…は全てf(x)の根になる(証明終)。
次に、ガロアの証明を説明する。
まずガロアは、V=φ(a,b,c,…)の共役V,V₁,V₂,…がφ(a,b,c,…)に置換を施したものに等しい事を示した。そこで、V−φ(a,b,c,…)に全ての根を施し、それらを掛け合わせたものをGとすると、G=(V−φ(a,b,c,…))(V−φ(b,a,c,…))…となり、Vについての多項式となる。Vを変数xに置き換え、G(x)とVの最小多項式g(x)を比較すると、G(V)=g(V)=0となり、G(x)とg(x)は1つの根Vを共有するので、[補題1]よりG(x)はg(x)で割り切れる。従って、G(V)=G(V₁)=G(V₂)=⋯=0となり、Vの共役V,V₁,V₂,…はφ(a,b,c,…)に置換を施したもののどれかと等しくなる。
更に、a=θ(V)の時、θ(V),θ(V₁),θ(V₂),…も元の方程式の根になる事を示す。[補題3]でガロアは、V−φ(a,b,c,…)=0でaを固定し置換した全てを掛け合わせてFを作り、F=(V−φ(a,b,c,d,…))(V−φ(a,c,b,d,…))(V−φ(a,b,d,c,…))…=0を得て、これをF(V,a)=0として元の方程式g(x)と比べる事で、a=θ(V)を導いた。
今度は、φ(b,a,c,…)をV₁として、V₁−φ(b,a,c,d,…)=0のbを固定して置換した全てを掛け合わせてF₁を作る。つまり、F=(V₁−φ(b,a,c,d,…))(V₁−φ(b,c,a,d,…))(V₁−φ(b,a,d,c,…))…=0となり、全く同様の計算をすれば、b=θ(V₁)を得る(証明終)。
以上より、4つの補題と「単拡大定理」を含めた序章の”諸原理”はここで終わりますが、非常に重要な所なので、もう1度整理します。
第1章〜ガロアの分解方程式
「プロローグ」にてガロアは、まず既約方程式f(x)=0の根a,b,c,…の1次式で、a,b,c,…のあらゆる置換で異なる有理式V=a+2b+3c…(の様なもの)を作り、Vの最小多項式を作った。
これこそが”ガロア分解式”となるが、この分解式に=0をつけた”ガロア(分解)方程式”は、全ての根が任意の根の多項式で表される。元の方程式の根もガロア方程式の任意の根の多項式で表される。
故に、以下の特徴を持つ。
つまり、元の方程式の係数体をK、Vの共役(係数の入替え)をV₁,V₂,…とすると、K(a,b,c,…)=K(V)=K(V₁)=K(V₂)=⋯となり、ガロア方程式がべき根で解ける事と元の方程式がべき根で解ける事は同値である事がわかる。
少し砕いて説明すれば、f(x)=0は係数体K上では既約だが、Kにa,b,c,…を添加した体K(a,b,c,…)では可約となり、1次式にまで分解される。この時、K(a,b,c,…)を”ガロア分解体”と呼ぶ。
ここで、体Kの元を係数とするa,b,c,…の1次式で、f(x)=0の全ての根a,b,c,…の置換で値が異なる式Vを考えると、[補題3]よりK(V)=K(a,b,c,…)となり、a,b,c,…は(根の置換による)Vの多項式θ,θ₁,θ₂,…を使い、a=θ(V),b=θ₁(V),c=θ₂(V),…―①と表される。
ここで、VのK上の最小多項式をg(x)とすると、g(x)=0もf(x)=0もK上で既約であり、ガロア分解体K(a,b,c,…)=K(V)上で1次式にまで因数分解され、故にどちらかが解ければもう一方も解ける。
更に、g(x)=0の根をV,V₁,V₂,…とし、a=θ(V)とすれば、[補題4]により、θ(V),θ(V₁),θ(V₂),…も全てf(x)=0の根となる。つまり、a,b,c,…がVの多項式で表されるのと同様に、V₁,V₂,V₃,…の多項式で表されるのだ。
一方で、V₁=φ(a,b,c,…)に①を代入すれば、V₁=φ(θ(V),θ₁(V),θ₂(V),…)となり、V₁がVの多項式で表される。ここで、V₁=λ₁(V)と表すと、他の共役根も同様に、,V₂=λ₂(V),V₃=λ₃(V),…と表せる。
これは、K(a,b,c,…)=K(V)=K(V₁)=K(V₂)=…を意味し、つまり、g(x)=0の任意の根V,V₁,V₂,…が、f(x)=0の任意の根a,b,c,…の多項式で表される事と同値となる。この時のg(x)=0をガロア(分解)方程式と呼ぶが、g(x)の最高次の係数が1になる様にしておく事に留意する。
繰り返すが、元の方程式f(x)=0とガロア方程式g(x)=0は共に体K上で既約で、ガロア分解体K(V)上で1次式にまで分解される。これは”ガロア方程式が解ければ、元の方程式が解ける”事を意味する。
そこでガロアは、この分解方程式を主役に立て、方程式を分析していく。
第2章〜ガロア多項式とラグランジュの分解式
次に、f(x)=0の根a,b,c,…のあらゆる置換で異なる有理式Vを、その共役であるV₁,V₂,…に置換する操作として、ガロア群を定義する。因みに、共役とは(例えばa+2bとb+2aの様に)係数を入れ替えた関係を言う。
V→Vₖは元の方程式の根a,b,c,…の置換の一部と1対1に対応するが、a,b,c,…の全てと対応してる訳ではない。つまり、根a,b,c,…の全ての置換は対称群となるが、ガロア群はその部分群に過ぎない。
ガロア群は(次回「#3」でも述べるが)”その元は置換で不変⇔基礎体Kの元である”と”ガロア群の置換は拡大体の演算を保持し、θ(V)=0⇔θ(Vₖ)=0となる”の2つの特徴(性質)を持つ。
まずは、ガロア多項式の仕組みを砕いて説明する。
V=φ(a,b,c,…)で、a,b,c,…のあらゆる置換を施す値は異なる。故に、f(x)=0がn次方程式の場合、Vはn!個の値を取る。それらの値をV,V₁,V₂,V₃,…とすると、ガロアはまずg(x)を求めるには、(x−V)(x−V₁)(x−V₂)…という多項式(分解式)を考えた。つまり、この式の中の、Vを含む既約成分がg(x)となる。
仮に、元の方程式f(x)=0が一般(既約)の方程式なら、その根a,b,c,…の間に特別の関係はない。すると上の式全体が既約となり、上の式がg(x)となる。一方で、一般の方程式でないなら、上の式が可約となる可能性があり、Vを含む既約成分がg(x)となる。この時、g(x)の次数はn!よりも小さくなる(以下の実例2を参照です)。
そこで、一般の方程式を考える。2次方程式の場合、ガロア方程式は2!で2次、3次方程式の時は3!=6次となるが、4次方程式だと4!で24次、5次方程式だと5!で120次となる。ガロア方程式が6次程度なら何とかなるが、24次となると苦悶し、120次となると手も足も出ない。ラグランジュやルフィニがガロア方程式を計算した筈もないが、120次方程式の周辺を彷徨い、計算の泥沼にハマった。
つまり、ガロアは”計算の上を飛ぶ”事で、この難関を突破したのだ。
以下、簡単な3つの具体例でガロア(分解)方程式を検証する。
[例1]x²+2x+3=0で見ると、係数体は有理数体Qで、この2根をa=ー1+√2,b=ー1ー√2とし、V=a+2bとするとV=ー3ー√2iを、V₁はVの共役よりa,bを入れ替えV₁=b+2aとするとV₁=ー3+√2iを得る。故に、g(x)=(x−V)(x−V₁)=x²+6x+11=0となり、これはQ上既約なので、これがガロア分解式となる。
そこで、a,bとVの関係は、a=θ(V)=ーVー4=ー(ー3ー√2i)ー4=ー1+√2、b=θ₁(V)=V+2=(ー3ー√2i)+2=ー1ー√2となり、これにV₁を代入し、θ(V₁)=ー(ー3+√2i)ー4=ー1ー√2b、θ₁(V₁)=(ー3+√2i)+2=ー1+√2=aを得る。
従って、VとV₁の関係は、V₁=b+2a=V+2+2(ーVー4)=ーVー6=λ(V)と、ガロアの言う通りになる。
更に、[例2]x³+6x−2=0で見る。解の公式を使えば、根a,b,cはa=³√4−³√2,b=³√4ω−³√2ω²,c=³√4ω²−³√2ω。但し、ω=(−1+√3i)/2は1の3乗根で、以下³√2=s,³√4=s²とすれば、a=s²−s,b=ωs²−ω²s,c=ω²s²−ωsとなる。
Vはa,b,cの置換であらゆる値を取るので、上の様にV=a+2b+3cとしてもいいが、ここは3乗根を使ったラグランジュの分解式:V=a+ωb+ω²cを使う。
まずガロア流に、a,b,c⋯置換①…a,b,c、a,c,b…置換②、b,a,c…置換③、b,c,a…置換④、c,a,b…置換⑤、c,b,a…置換⑥として、Vに①〜⑥を施すと、以下を得る。
置換①→V=a+ωb+ω²c=−3s、
置換②→V₁=a+ωc+ω²b=3s²、
置換③→V₂=b+ωa+ω²c=3ωs²、
置換④→V₃=b+ωc+ω²a=−3ω²s、
置換⑤→V₄=c+ωa+ω²b=−3ωs、
置換⑥→V₅=c+ωb+ω²a=3ω²s²と、Vの共役V,V₁,V₂,…,V₅が簡単な形となるのもラグランジュの分解式のお陰である。
そこで、ガロア方程式を求める。(x−V)(x−V₁)(x−V₂)(x−V₃)(x−V₄)(x−V₅)=(x+3s)(x−3s²)(x−3ωs²)(x+3ω²s)(x+3ωs)(x−3ω²s²)を得るが、これは複雑な展開式になる筈だ。が、ω³−1=0よりω²+ω+1=0となり、s³=2を代入すれば、気持ちいい程に項が消え、=x⁶−54x³−5832を得る。
これが既約ならガロア方程式となるが、=(x³+54)(x³−108)と因数分解出来る。
ここで、V=−3s=−3³√2はのx³+54=0解になり、Vが含まれるのはx³+54の方になる。故に、これがガロア分解式となり、(x−V)(x−V₄)(x−V₅)=x³+54となる。但し、Vの共役がV₄とV₅だけになってる事に注意する。
最後に、aがVの多項式θ(V)に含まれる事を確かめる。θ(V)=V²/9+V/3とすると、=(−3³√2)²/9+(−3³√2)/3=³√4−³√2=aと確かにそうなってる。更に、θ(V₄)=V₄²/9+V₄/3=(−3³√2ω²)²/9+(−3³√2ω²)/3=³√4ω−³√2ω²=b、θ(V₅)=V₅²/9+V₅/3=(−3³√2ω)²/9+(−3³√2ω)/3=³√4ω²−³√2ω=cとなり、[補題4]の結果を得る。
上と似た[例3]x³+3x−2=0の3次方程式もこの3根は、a=s+t,b=ωs+ω²t,c=ω²s+ωt,但しs=√(1+√2),t=√(1−√2)。ここでもラグランジュの分解式を使い、V=a+ωb+ω²c=3tとなる。上で使った置換を使えば、Vの共役は、置換①→V==3t、置換②→V₁=3s、置換③→V₂=3ωs、置換④→V₃=3ω²t、置換⑤→V₄=3ωt、置換⑥→V₅=3ω²s、と簡単になる。
そこで、Vの最小多項式であるガロア方程式を求めるが、(x−V)(x−V₁)(x−V₂)(x−V₃)(x−V₄)(x−V₅)=x⁶−54x³−729を得て、これ以上は因数分解できない。故にこれがガロア分解式となる。aをVの式で表すと、a=θ(V)=(−V⁵+54V²+81V)/243を得る。同様に、θ(V₁)=a,θ(V₂)=b,θ(V₃)=b,θ(V₄)=c,θ(V₅)=cとなり、上の補題を満たし、ガロア分解式の解はx³+3x−2=0の解a.b.cとなる。
長くなりすぎたので、今日はこれでお終いです。
以上より、体の拡大を「単拡大定理」に結びつけ、[補題4]を通してガロア方程式を説明しましたが、ここでも(単拡大定理に続き)ラグランジュが活躍します。が、ガロア群からはガロアの独壇場となります。
次回「#3」では、いよいよ本文に入ります。ガロア群を実際に作りますが、ここでガロア群の構成に慣れる必要がありますね。
では・・・
ガロア群はラグランジュの単拡大定理の延長上にあるって言う人もいるけど
分解式も含め、ガロア群の基盤となってるのは確かだろう。
よってガロアもあえて補題とみなして検証してたんだね。
特に補題3の<方程式の全ての根はVの多項式で表せる>という主張は単拡大定理の弱い主張とも言えるけど、ガロアのオリジナルに近い。
つまり、ガロアはラグランジュを継承してはいない。ただ、ガロア群を説明するには単拡大定理や分解式を通した方が理解しやすいだけなのだ。
転んだ君が「序章」で言ってたが、ガロア理論の先には楕円関数(モジュラ方程式)や積分法が待ち構えていた。
それが判ってて敢えて<(ラグランジュの)の命題>として触れ、<証明なしで引用できる>とのガロアの言葉が証明している。
勿論、ガロアはラグランジュの研究は知ってた筈だし、でもガロアの証明はラグランジュに比べ、独自のものでした。
事実、次回で述べる第1節からはガロアの独壇場です。
ただ、ここまで丁寧に説明するつもりもなかったんですが、この機会に単拡大定理を理解しておくのも悪くはないかなとも思ったんですが、”分母の有理化”も含め、丁寧すぎたかなとは思います。
更に3つの具体例も、解の置換とガロア方程式に慣れる為であり、既に理解してる人には必要ない。
あくまで高校生や数学素人を対象にしたんですが、事実ガロアの第1論文は友人のシュバリエに宛てたもので一番長く、第2第3論文は一気に専門的に抽象的になり、概略だけの短い論文になってます。
でも、この第1論文でさえ理解されるには非常に長い時間が掛かりました。
結局、本人のみにしか知り得なかったガロア理論ですが、ガロアが創設し完成したガロア理論なんですよね。そういう意味ではラグランジュですら脇役に過ぎないのかもです。
長い長〜い記事にコメント有り難うです。
ここにおいてもガロアが奏でる世界は高木貞治氏の言う夢のようである。
計算の泥沼にハマったラグランジュやルフィニですが、遥かその上を飛んでいたガロアにはもっと先の何かを見つめていたのだろう。
ガロアの広大な迷宮の世界に舞い込んだって感じなのかな
2つの世界を行ったり来たりして
翼を持つ若き天才も夢のように舞い
その短い人生を全うしたんだ
まるで詩人のような生き方
とのリーマンの言葉も有名ですが
ガロアの発想はラグランジュやルフィニとは全くの異質ですよね。
勿論、ガウスやアーベルを強く意識してた節はありますが
”パラレルワールド”とは、まさにいい得て妙ですが、ガロアは、拡大体や置換群という従来の世界とガロア群の中に潜む正規部分群という新たな世界を行き来しました。
でも、ガロアの本音は何処にあったんですかね。
何時もコメント有り難うです。
全ては自分が理解する為なんですかね。
勿論、ガロアの様に空を飛べれば理想的ですが、現実にはついていくだけで精一杯です。
ガロアは遺書の中で”僕の思考はこの広大な領域の中で十分に展開されてはいない”と語ってますが、十分に羽根を広げたガロア理論を読みたかったです。
まさに、詩を詠んでる様な論文ですね。
いつもコメント感謝してます。